ベールを脱いだREGZA Tabletとブックプレイス

東芝が発表したAndroid 3.0搭載タブレット「REGZA Tablet AT300」。同時に電子書籍ストア「ブックプレイス」も立ち上げ、タブレット市場の覇権を狙う。ここでは、eBook USERならではの切り口でAT300とブックプレイスをみていこう。

» 2011年04月20日 18時46分 公開
[西尾泰三,ITmedia]

 東芝が4月20日に満を持して発表したAndroid 3.0搭載タブレット「REGZA Tablet AT300」。同日には独自の電子書籍ストア「ブックプレイス」もオープンさせた。ここでは、eBook USERならではの切り口でAT300とブックプレイスをみていこう。

REGZA Tablet AT300

重量級の仕上がりとなったAT300

 スペックの詳細などについては、「“REGZA”ブランドのAndroid 3.0搭載タブレット──『REGZA Tablet』」をご覧頂きたい。以下では、ほかのAndroid 3.0搭載タブレットとの比較でAT300をみていこう。

 まずは本体重量。10.1型の液晶を搭載するAT300の重量は約765グラム(予定値)。すでに国内発売されているAndroid 3.0搭載タブレットである「MOTOROLA XOOM Wi-Fi」(約700グラム)や「Optimus Pad L-06C」(約620グラム)と比べても重量級だ。ちなみに、765グラムという重量は、10.8型液晶を搭載する「GALAPAGOS ホームモデル」とほぼ同じ重さである。

 次に本体サイズについて。以下は、AT300とXOOM、そしてGALAPAGOS ホームモデルの本体サイズを比較したものだ。XOOMは横持ちが基本なので、幅と奥行きが逆転していることを考慮いただきたいが、それでもAT300はやや大型で、厚みもあることが分かるだろう。

製品名 本体サイズ
REGZA Tablet AT300 177(幅)×273(奥行き)×15.8(厚さ)ミリ
MOTOROLA XOOM Wi-Fi 249(幅)×167(奥行き)×12.9(厚さ)ミリ
GALAPAGOS ホームモデル 177(幅)×286(奥行き)×14.7(厚さ)ミリ

AT300はコンテンツをよりよく見せる工夫が満載

 サイズや重量には特に優位性はないAT300だが、東芝らしい特徴は端末の設計に顕著に表れている。

 例えば拡張性を重視している点。本体の厚さを犠牲にしても搭載を決めたSDHC対応SDメモリーカードリーダー(ブリッジメディアスロット)、USB 2.0(Standard-A)×1ポートなどがはその好例だ。

 また、AT300にはほかのAndroid搭載タブレットに見られない独自の差異化技術が盛り込まれている。それは、東芝の執行役上席常務、デジタルプロダクツ&サービス社社長の大角正明氏が語った「(東芝は)コンテンツを持たないが、(コンテンツを)よりよく見せる工夫を特徴としたい」という言葉に象徴されているが、AT300は高画質・高音質を追求している。

 例えば、屋外でもメリハリのあるあざやかな映像に自動調整する「Adaptive Display」、REGZAの高画質化技術をベースにした映像高画質化技術「レゾリューションプラス」、スピーカーの特性に合わせて音質を調整する「オーディオエンハンサー」や「ノイズイコライザー」、臨場感のあるサウンドに補正する「SRS Premium Voice Pro」などがほかのAndroid搭載タブレットとの差異となっている。

 また、ほかのタブレット端末にはあまり見られない特徴として、バッテリーパックが交換可能になっていることが挙げられる。展示されていたバッテリーパックのスペックは2030mAh、10.8V、21.9Whだった。この数字は、GALAXY Tab(4000mAh、3.7V、14.8Wh)よりも大きく、XOOM(3250mAh、7.4V、24.1Wh)よりも小さい容量だ。なお、AT300のバッテリー動作時間は、動画連続再生時で約7時間とされている。

背面はラバー仕上げでグリップ感がある(写真=左)/背面カバーを開けると交換可能なバッテリーが現れる(写真=中央)/バッテリーのスペック(写真=右)

 このほか、注目しておきたいのは、製品発表会の席上で、2011年度中にグラスレス3Dタブレットの投入を明言したことだ。こうした意欲的な取り組みにより、2013年度にはグローバル市場におけるタブレットシェア10%を目指すという。東芝が示しているタブレット市場の推移グラフと併せて考えれば、2013年度までの累計で約2430万台を売り上げるということになる。これはかなり意欲的な数字だ。

製品発表会で示されたグローバルのタブレット市場の推移(写真=左)と2011年度中のグラスレス3Dタブレットの投入を示唆した図(写真=右)

電子書籍ストア「ブックプレイス」はBookLive!ベース。独自の読み上げ機能も

ブックプレイス 東芝の電子書籍ストア「ブックプレイス」。

 AT300についてはこれくらいにとどめ、同日からオープンした東芝の電子書籍ストア「ブックプレイス(BookPlace)」に話を移そう。

 同ストアは、凸版印刷系の「BookLive」と協業したもので、東芝は「物事を進めるスピードを重視し」てBookLiveをパートナーに選んだのだと展示場の説明員から説明があった。

 ブックプレイスのコンテンツラインアップはBookLiveの電子書籍ストア「BookLive!」に準じている。東芝のプレスリリースでは、サービスイン時のラインアップは約2万冊、年度末までに10万冊とある。東芝独自のコンテンツが用意されている様子は見られないので、コンテンツの調達はBookLive!に依存していると考えてよいだろう。

 サイト構造を見れば一目瞭然(りょうぜん)だが、基本的にはBookLive!のシステムやデータをそのまま流用する形でサイトが構築されている。これはつまり、ユーザーデータベースも共通化されていることを意味しており、実際、BookLive!のアカウントでブックプレイスにログインできるほか、ポイントや購入した書籍なども共通化されている。

 BookLive!との違いは、ビューワアプリである「ブックプレイス リーダー」に音声読み上げ機能が追加で実装されている点。テキストデータから音声を生成する東芝独自の音声合成機能「TOSHIBA Speech Synthesis」が採用されており、高音質な合成音声による読み上げを楽しむことができる。この読み上げ機能は、文字属性を持っている活字系のコンテンツに限られ、画像系のコミックなどはこの機能を利用できない。現時点で読み上げに対応しているのは約6000点となる。

 なお、AT300には「ブックプレイス リーダー for Android」がプリインストールされた形で出荷される見込みだが、シャープが電子ブックストアサービス「TSUTAYA GALAPAGOS」をAndroidを搭載したスマートフォンから利用できる「GALAPAGOS App for Smartphone」をシャープ製の端末に限って提供しているように、「ブックプレイス リーダー for Android」の音声読み上げ機能は現時点で東芝製Android端末でのみ利用できるようになっている(読み上げ機能以外はどのAndroid端末でも利用可能)。また、PCから利用する場合は、ブックプレイス リーダーとTOSHIBA Speech Synthesisをそれぞれインストールする必要がある。

 展示場では、AT300に表示した電子書籍コンテンツを液晶テレビ「レグザ」に映すといったデモも披露されていた。これは、AppleでいうiOSデバイスまたはiTunesからデジタルコンテンツをApple TVやAirPlay対応機器にストリーミングできる「AirPlay」のようなものだ。将来的には、東芝の液晶テレビから直接電子書籍を読むことができるようにする構想もあるとしている。

変更履歴:「ブックプレイス リーダー for Android」の音声読み上げ機能が利用できる端末について、一部修正を加えました。


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