jig.jpはスマートフォン向け電子書籍リーダーサービス「ツイパブ(β)」をリリース。Twitterなどのソーシャルサービスのソーシャルグラフをからコンテンツのクチコミを誘導し、水平型にコンテンツが消費される場を用意した。
jig.jpは4月18日、ソーシャルリーディングサービス「ツイパブ(β)」をリリースした。サービスは無料で利用できる。
同サービスは、Twitter上で“ソーシャルリーディング&パブリッシング”を可能にするEPUBリーダーサービス。技術的な言葉を用いてサービスの概要を表現すれば、DropboxのストレージサービスAPIとTwitter API、そしてWebアプリとして実装したEPUBリーダーのマッシュアップサービスだ。
対応端末はiPhone 3GS/4、第3世代以降のiPod touch、iPad、Android OS 2.1 update 1以上を搭載した端末となっている。基本はWebアプリケーションだが、ユーザーインタフェースなどのデザインはよく作り込まれ、iPhoneアプリなどと同じように見える。なお、Android版はアプリとして用意されている。
同サービスでEPUBコンテンツを読むには、自身で追加する方法と、ほかのユーザーのコンテンツを読む方法の2種類がある。まずは前者について説明しよう。
ツイパブ(β)の[ライブラリ]タブから、「本の登録」ボタンを押すと以下のようにDropboxとの連携画面に遷移する。なお、直接URLを指定してインポートすることもできる。ここでは、青空文庫のコンテンツ(走れメロス)をEPUB化したものをサンプルとして利用した。ツイパブ(β)ではDropboxのpublicフォルダ以下にあるEPUBファイルを取得、ライブラリに反映させるので、あらかじめ同フォルダにEPUBコンテンツを配置しておく必要がある。
これだけであれば、個人利用を想定したDropboxと連携するEPUBビューワでしかないが、ツイパブ(β)はさらにソーシャル性を持たせた。つまり、このEPUBコンテンツを世界に公開できるのだ。ツイパブβの公式Twitterアカウント(@twePUB)と相互フォローしている場合、上図中央のように公開/非公開ボタンが表示される。公開すると、専用のハッシュタグが生成されるので、それを利用してフォロワーと読書体験を共有することができる。
コンテンツホルダーやセルフパブリッシャーがツイパブ(β)上で所有コンテンツを公開し、Twitterのソーシャルグラフを利用したプロモーションを行うことも可能となっている。実際、以下に挙げる幾つかのコンテンツホルダーは同日から自社のコンテンツを同サービス上で展開し始めた。いずれも基本的には試し読み用のコンテンツで、正式版は自社サイトで公開される。
コンテンツホルダー | Twitterアカウント | 公開タイトル |
---|---|---|
学研ホールディングス | @gakken_estore | 「一瞬で心をつかむ話し方」「ワルの『モテしぐさ』口説かずオトせる最強の心理学!」など4タイトル |
インプレスR&D | @ondecklab | OnDeck 5タイトル |
オールアバウト | @allabout_books | マネー情報誌「あるじゃん」編集の3タイトル |
アゴラブックス | @agorabooks | 「Twitter後のネット社会 〜コミュニケーション中毒患者の処方箋〜」「小説テレビディレクター」の2タイトル(後者は4月22日公開予定) |
ディスカヴァー・トゥエンティワン | @d21ebook | 「ソーシャルメディア革命」 |
このほか、電子書籍作成販売プラットフォーム「パブー」で公開されている作品の中から、4月12日付けの無料人気ランキング上位100位までのタイトルがツイパブ(β)公式アカウントで随時紹介される。
現在公開されているものは、ストレージサービスにDropboxを、ソーシャルサービスにTwitterをそれぞれ利用しているが、将来的にはそのほかのサービスとの連携――例えばEvernote、SugarSync、Facebook、mixi――も想定される。そうした既存サービスの利用者を取り込むことで、急速に拡大するかもしれない。
ツイパブ(β)を構成する要素技術は特に目新しいものではない。技術的なイノベーションというよりは、目的のイノベーションを起こしたのだといえる。その目的は、電子書籍におけるUGC/CGMの実現だ。今後が楽しみなサービスだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.