新潮社、「週刊新潮」電子版の配信へ――ただし海外限定

新潮社は、「週刊新潮」の電子版を11月19日から配信することを明らかにした。ただし、電子版のターゲットは海外在留邦人で、日本国内からは利用できない。電子書籍市場の肌触りを確かめる考えだ。

» 2010年11月16日 17時30分 公開
[西尾泰三,ITmedia]

紙と電子のダブルスタンダードは成るか?

 新潮社は11月15日、「週刊新潮」の電子版を11月19日から配信することを明らかにした。ただし、電子版のターゲットは海外在留邦人で、日本国内からは利用できない。配信日は毎週金曜日の午後6時(日本時間)。販売期間は各号1週間で、バックナンバーは販売されない。価格は450円。

海外市場のみの限定配信で、電子書籍ビジネスを検討する慎重な取り組みだ

 iPhone/iPad向けには、ヤッパと共同開発した新潮社の電子書籍ストア型アプリが11月中をめどに配信開始され、そこからアプリ内課金の仕組みを用いて各号を購入する。ヤッパのソリューションを採用したケースとしては、直近では学研グループの「学研電子ストア」が挙げられる。また、ヤッパと電通による電子雑誌有料配信サービス「MAGASTORE」とも連携可能。

 紙面版の340円より高額に設定されているが、海外在留邦人から一定のニーズはあるだろう。しかし、同社のプレスリリースによると、海外在留邦人の数は現在全世界で約110万人。魅力があるとはいえない市場性だが、「電子書籍ビジネスの手触りを確かめたい」(同社開発部電子書籍事業室の伊藤氏)という考えのようだ。加えて伊藤氏は「(電子版の)値付けは難しい」とも話しており、そうした状況で電子書籍市場に飛び込んでいくべきかどうか慎重に見極めていきたいとコメントしている。

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