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» 2015年09月21日 06時00分 UPDATE

ANAが「雑談」を奨励しているワケ

[新刊JP]
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 職場での「雑談」や「おしゃべり」は、基本的にはあまりいいことだとはされません。仕事の効率を落とすということで「私語禁止」という職場もあるはずですし、仕事中におしゃべりをすることに罪悪感がある人もいるでしょう。

 しかし、この「雑談」をする場を意図的に作り出し、業務に役立てているユニークな会社もあります。航空大手の全日空(ANA)がその1つで、『ANAが大切にしている習慣』(ANAビジネスソリューション/著、扶桑社/刊)の中で、「雑談」をコミュニケーションのひとつとして奨励しています。

 これは、単に「コミュニケーションが円滑になる」ということにとどまりません。「雑談」にはもっと実務的なメリットがあるようです。

雑談が会社にもたらすメリット

ANAが「雑談」を奨励しているワケ ANAが「雑談」を奨励しているワケ

 ANAが雑談を「いい習慣」として推奨する目的は「誰に対しても自由にものがいえる風土」を育てることです。

 この風土によって、立場が上の人にも遠慮なくミスを指摘できるようになり、ヒューマンエラーが起きにくくなるのと同時に、新しいアイデアが出やすくなる効果もあります。

 さらに大きなポイントは、ベテランスタッフが経験として持っている、明文化されていない知識や勘が若手にも浸透し、蓄積されていくことです。こういう「暗黙知」はその場では役に立たなくても、いざという時に自分を助けてくれます。

 ANAにとって「雑談の習慣」は「航空機の安全な航行」に直結しているのです。

「人が集まらざるを得ない仕掛け」を作る

 次に大切なことが、雑談の「場」を意図的に作っておくことです。

 かつて、航空業界には、天候が悪くて飛べない便のパイロットが航空機の格納庫で雑談をしたり、冬の屋外作業の合間に整備士たちが暖をとるためにストーブを囲んだりと、ノウハウが伝わったりアイデアが生み出される雑談の「場」があちこちにありました。

 今は技術の発達によって自然に雑談の場が生まれることは減ってきているため、ANAでは、オフィスの奇数階に休憩室を設けたり、食堂をオープンテラスにするなど、意図して雑談の場を設けているといいます。

 もちろん、「場」は喫煙所でも構いませんし、工場なら休憩所、小売業なら商品倉庫などでもいいでしょう。

 ここでポイントなるのは、「場」の数を少なくすること。あまり雑談の場を作りすぎると、人が分散してしまいます。そうなると、部署を超えた交流による知識の伝達がされにくくなってしまうため、場の数は絞って、さまざまな部署のさまざまな世代の人が、「そこに集まらざるを得ない」状況を作ることが大切です。こうした取り組みによって、ANAでは「集まって雑談をする文化」が根付き、今日も活発な情報交換やアイデア出しが行われているのです。

社内で徹底されている、「おせっかい運動」とは?

 また「誰に対しても自由にものがいえる風土」を作るためには、スタッフ一人ひとりが「気になったことがあったら、とりあえず声をかける」習慣を身につけることも必要になります。

 そのためにANAが実践しているのが「大丈夫だと思うけど……」「わかっているとは思うけど……」と前置きして、信頼していることを示しつつ、気になっていることを確認する「おせっかいでも一声運動」です。

 どんなことでも、ひっかかることがあればとりあえず共有する習慣を全員が持つことで防げるヒューマンエラーは多いはずです。ANAでは作業用ヘルメットに「思った瞬間に一声」「たかが一声、されど一声」といったキャッチコピーが書かれたステッカーを貼ったり、ワッペンをつけるなどして、この意識の徹底を図っています。

 「雑談」への取り組みのほか、この本にはさまざまなANAの「習慣」が取り上げられています。これらはANAならではのものですが、その効果はどんな職種であれ組織を活性化させるものです。

 世界トップクラスと評される会社のノウハウは、あなたの勤め先について考えてみる良い機会をもたらしてくれることでしょう。

 本書で述べてある数々の「習慣」を、組織をいい方向に変えるために活用してみるといいかもしれません。

(新刊JP編集部)

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