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» 2015年09月20日 06時00分 UPDATE

すぐ答えを欲しがる、自分は有能だと思い込む……精神科医が指摘する現代の若者の気質

[新刊JP]
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 清潔感があるイケメンで、性格は真面目。大学の授業は全出席した24歳の青年。大学卒業をするも「特に就きたい職業はない」ということから大学院に進学することにした。家庭に経済的負担はかけたくないと、奨学金をもらい、1日3時間、週5日、夜の時間帯にホテルの受付のアルバイトをしている。バイト先の決め手は「コスパ」(コストパフォーマンス)の良さだ。

 楽しみはネットカフェで面白いブログを見つけること、飲み会はそれなりに付き合うが、「それほど楽しくはない」と言う。また、女性との付き合いについて著者が尋ねると、それなりにあるが、ワクワクするようなことはないと言う。「ワクワクするのは疲れます。居心地の良い付き合いが、僕には向いています」。

精神科医が指摘する現代の若者の気質

 『子どものまま中年化する若者たち』(幻冬舎/刊)は、臨床心理士であり精神科医として、30年以上「若者世代」を見続けてきた鍋田恭孝氏が、若者がどのように変わってきたのかを説明しながら、現代の若者像を示した一冊だ。

 冒頭の青年は、本書の中に現代の若者の一例として登場する。

 「ワクワクすることがない」「居心地の良い付き合いが好き」「飲み会は好きじゃない」「コスパ優先」……何とも“現代の若者っぽい”文言が並ぶ。その上の世代からすれば、少し違和感を覚えるような価値観の中で彼らは生きている。

 では、今の若者はどんな傾向を持っているのか? 本書から3つ、紹介しよう。

自分は有能で評価に値する人間だと思い込んでいる

 これはいわば根拠なき万能感ゆえの、傷つきやすい自己愛である。

 学校は今や「サービス業」的な進化を遂げ、生徒や保護者を「お客様」として扱っている。至れり尽くせりで育てられた若者たちは、大人が準備したものをクリアして褒められ、根拠なき万能感を持ったまま社会人になる。ところがお客さまからサービスをする側にまわった途端、その幻想は崩れてしまう。そこで引き起こされるのが、被害者意識である。社会や上司たちが、自分に意地悪をしていると思ってしまうと著者は指摘する。

すぐに答えを欲しがる

 「考える」という行為を積み重ねることは、成長において非常に重要な過程だろう。

 ところが本書によれば、大学の相談センターなどに寄せられる学生の相談内容が変わってきているという。それは、悩みの本質を相談し続けるのではなく、具体的ですぐに役立ちそうな答えを求める学生が増えているというのだ。

 これは、実は社会人の相談室でも同じ状況が生まれているという。確かに具体的な答えをもらってそれを実践すれば事は早い。しかし、自分なりに考えてこそ、その後の行動にも責任が持てるのではないのか、とも思うのだが……。

フラットな世界の中で生きている

 著者は人間関係の構造の変化についても述べている。上下関係から横の関係、つまり友だち感覚で付き合う関係が増えているのだ。親や先生、先輩だけの関係だけではない。お稽古事でもその傾向はあるという。

 フラットな関係化を最も特徴づける現象は、特にインターネット上にあらわれている。匿名性が高いネット上では、年齢関係なくどんな相手にもフランクに話しかけることができる。こうして、心の中の対人世界の中から縦構造が消えてフラットな世界の中で生きている若者たちがいるのである。

 これらの特徴は、もちろん全ての若者に当てはまるものではないだろう。しかし、こうした傾向があるということに共感を覚え、日本の将来に対して憂いを感じる人も少なくないはずだ。著者自身も『子どものまま中年化する若者たち』という本について「新しい世代に対して悲観的な内容だったかもしれない」と書いている。その一方で、著者自身は若者たちを肯定的に捉える姿勢も持ち合わせ、「現在の状況が良い形で機能していると思う」と述べている。

 社会は絶えず変化を続けていて、新しいテクノロジーも次々と生み出されている。その中で若者の気質も変化してきた。今、中年の人たちも若者のころには「近ごろの若者は……」と言われたはずであり、若者という存在が常に大人たちからの「批判」の対象となるのは、避けられないことなのかもしれない。

 そして、新しい文化が新しい時代をつくると考えれば、理解しがたい若者たちの行動の中に、新たな文化の芽を見出すことができるのではないだろうか。本書の中に出てくるさまざまな若者たちの考えをどのように受け止めるか、それが大事なのだろう。

(新刊JP編集部)

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