eBook USERがお勧めのマンガ作品を毎週ピックアップしてお届け。今回は亜人モノのニューカマー、『亜人ちゃんは語りたい』を紹介。
『あじん』って響きカワイくないでしょ?
だから女子高生とか若いコの間ではね?
デミって言うの!
今回紹介したいのは、2014年創刊の『ヤングマガジンサード』(講談社)で連載中の『亜人ちゃんは語りたい』(ペトス)。同じ亜人モノでも『good! アフタヌーン』で連載中の「亜人」(桜井画門/講談社)とはかなり異なるテイストの作品です。
バンパイア、サキュバス、デュラハン、雪女など、作中で登場する亜人は、遺伝による突然変異で生まれてくるもので、人間とちょっとだけ違う特別な性質を持つ存在。
とはいえその存在は恐れや迫害の対象ではなく、1つの個性として認知され、普通の人間と同じ社会で生きています。日常生活に不利な性質を持つ亜人には生活保障制度も用意されていたりもしますが、その絶対数は少なく、基本的に亜人との出会いは限られている現代社会を舞台にしています。
そんな亜人の生態に並々ならぬ興味を持つのが、とある高校の生物教師・高橋鉄男。大学でも亜人の研究を熱望していたものの、何もできぬまま卒業し教師となったためか、人生の目標を見失ってしまったようなけだるげで枯れた感じを漂わせる彼が高校の新学期、思わぬ形で亜人たちと出会い、交流していくストーリーとなっています。
それぞれ固有の性質を抱えるが故の悩みや葛藤(かっとう)。マイノリティーである存在を理解し、先生として、ときに人間として亜人と接する高橋先生の姿は学者、それも民俗学者のようにすら映ります。
派手でトリッキーな展開や描写はありませんが、キャラの設定でゴリ押しするわけでもなく、丁寧に描かれているのが伝わってくるこの作品。1話のラストで、記事冒頭の言葉を亜人から聞かされて、決して表情豊かではない高橋先生の瞳に光が宿る様子など、行間を読むのが楽しくなります。
9月上旬に2巻が発売されたばかりのこの作品は、悲劇過ぎず、喜劇過ぎない亜人モノとしてこれから先じわじわと人気を集めそう。今からチェックです。
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