デモ参加は就活に不利? インターンは行くべき? 採用のプロに聞く「内緒の面接思考術」

Twitterのフォロワーは10万人以上。就活生に人気の著者に聞く就活の極意、心構え。

» 2015年08月15日 06時00分 公開
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『就活生に知られたくないっ!合格できる内緒の面接思考術』(丸山智士) 『就活生に知られたくないっ!合格できる内緒の面接思考術』(丸山智士)

 夏真っ盛り、例年よりも暑いと言われる2015年ですが、就職活動(就活)にも大きな変化が起こっています。これまで12月解禁だった会社説明会が3月に、そして4月開始だった選考が8月へと後ろ倒しになりました。これにより、長期のインターンが可能となるなど、準備に時間を掛けることができるようになった一方、就活はまだ先と準備を先延ばしにする学生も出ているという話もあります。

 ひとくちに就活といっても、何から手をつけていいのか分からず、しかもいざ面接を受けてもふるいにかけられ、いつしか自信をなくして塞ぎがちに……何てことも。

 そういった悩める学生たちに向け、採用コンサルタントとして大手企業を中心に新卒採用支援に携わり、現在Twitter(@tinclehoi)で、就活生のためになる情報を発信し続ける丸山智士さんに、著書『就活生に知られたくないっ!合格できる内緒の面接思考術』に込めた思いや、最近話題となっているデモ参加の就活への影響、インターン・OB/OG訪問はした方がいいかなど話を聞きました。

就活がうまくいっていない人のために

―― 著書に込めた思いを教えてください。

丸山 私はTwitterで就活のヒントをつぶやいているのですが、予想以上の反響をいただきまして、フォロワーが10万名を超えました。

 メッセージをいただくことも多いのですが、就活が不安という内容がほとんどです。正直、就活は迷いの連続だと思います。志望業界、仕事内容、企業規模など、選択肢は限りなくあって、やっとたどりついた面接も不合格。落ちた原因さえわかりません。すると、自分に自信が持てなくなり、面接でも本領発揮できず、不安の虜……という学生も少なくありません。ただ、その原因は就活への視野が少し狭くなっているだけなのです。

 この本では、就活の負のスパイラルから抜け出すための思考術を分かりやすくシンプルにまとめました。それは面接で合格するための考え方とテクニックです。ぜひ、就活が上手くいっていないと感じるあなたはご参考いただければ幸いです。

―― 今年から就活のスタートが8月に後ろ倒しになりましたが、どのような影響が考えられるでしょうか。

丸山 昨年と傾向が異なる点は、8月前に「面接」ではなく、「面談」という機会を作る企業が増えたことです。この中には、学生評価を行っているものもあり、実質、面接と変わりません。学生の皆さんは、この呼び名に惑わされることなく、企業に訪問する際は、いつも評価されているものと気を引き締めて臨んで欲しいです。

 また、8月以降に内々定者の確保ができず、再応募を行う企業も必ずありますので、思うような結果が出ていない方も絶対に諦めないでください。

―― インターンシップはしておいた方がいいのでしょうか。

丸山 推奨します。メリットは2点ありまして、1点目は企業側もインターンで結果の良い学生をチェックし、採用活動でもその結果を引き継ぐ傾向にあること、2点目は、就職活動の予行練習ができることです。就職活動は、社会人と面接するという経験値がとても重要になります。インターンで面接慣れした学生と就職活動で初めて面接をする学生との結果の差は歴然です。ぜひ、就職活動に向けて、インターンを活用しましょう。

―― OB/OG訪問という手もあると思います。

丸山 OB/OG訪問はとても重要です。志望先の情報を得るという目的もありますが、インターンと同様、社会人と話す機会を作ることは、就活の面接での度胸に必ず繋がります。また、OB/OG訪問での会話がヒントとなり、自分の価値観や自己PRの表現方法に気付くことも多いです。ぜひ、積極的に訪問しましょう。

―― 面接で緊張して話せない、実力が出せないときはどうすればよいでしょうか。心構えや、対策などを教えてください。

丸山 実力が出せる心理状態を意識できていないことが原因です。「面接ではミスなく完璧に答えなければならない」と自分で自分にプレッシャーを掛け過ぎていないでしょうか。そんな時は、志望度が低い企業の面接を受けてみるのも良いかもしれません。失敗しても良いと思える面接で、一度、思いっきり、自由に話してみてください。きっと、面接でも意外と話せる自分に気付けると思います。それが意識できれは、どんな面接でも大丈夫です。

デモに参加すると就職に不利という意見もあるが

―― デモに参加すると就活に影響するという話が出回っていますが、実際はどうなのでしょうか。

丸山 モラルがある企業であれば、基本的に面接官は思想などを聞くことを避けるはずです。なぜなら、そのような内容で面接の合否を判断してはいけないからです。そのため、デモ参加については、あなたがアピールしたいと思わない限り、話題にのぼることは少ないでしょう。

 また、個人的な意見になりますが、デモ参加は面接でのアピールポイントにはならないと思います。面接官が知りたいことはたった一つ。あなたが入社して「仕事ができるかどうか」だけです。そこでデモ参加のことを話すよりも、学生時代の成果とそれに至るプロセスを話すほうが、よっぽどアピールになるでしょう。面接時間は限られています。仕事ができると面接官に思わせるアピールポイントをよく考え、その優先順位が高い内容を集中して話すことが面接の鉄則です。

―― 就活が続いて(落ち続けて)辛いときにはどうすればいいでしょうか。

丸山 考え方を変えましょう。面接はあなたを良いか悪いかだけで判断して落とす訳ではありません。あなたが、その会社で生き生きと働けるかどうかのマッチングも見ているのです。

 どんな会社でも合格できるような人はいません。落ちると言うことは、その会社に入っても、上手くいかないと判断されたからです。決して自分を責める必要はありません。

 良い人材であっても、面接官は、自分の会社には合わないと判断し、泣く泣く不合格にすることもあるのです。ただし、就活を諦めたら、幸せに働ける会社との縁は遠くなる一方です。辛い時ほど、自分を信じることが、就活では一番大切なことです。

―― これまでに読んだ記憶に残る印象的な本を一冊教えてください。

丸山 「7つの習慣」(スティーブン・R・コヴィー)が印象的な本で、たまに読み返します。人の原理原則が書かれているため、悩んだ時に自分の価値観を整理できます。

―― 電子書籍は普段利用しますか?

丸山 利用してます。すぐに手に入り、スマホで手軽に読めるので、通勤時間の活用に最適です。

―― 著書を通してどのようなことを伝えていきたいですか?

丸山 就職活動は、誰かのためではありません。紛れもなく、自分自身のためです。就職活動は、辛いかもしれません。ただし、自分の可能性を広げるためのチャンスです。諦めることは自分のためにはなりません。そして、内定を取ることだけが就職活動ではありません。長期的な視点で、自分と向き合うことが必要です。

 今、がんばらなくて、いつがんばるのでしょうか。自分の人生をより良く生きるために一生懸命チャレンジしてください。あなたの就職活動を心から応援しております。

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