最後に、読みやすさの検証です。
楽天Kobo電子書籍ストアで販売している電子書籍は、Windows(7以上)、Mac OS X(10.7以上)、Android(4.0以上)、iPhone・iPod touch・iPad(iOS 6.1以降)、専用電子ペーパー端末(Kobo Aura、Kobo Glo HD、Kobo Aura H2Oなど)で読むことができます。PCからの閲覧にも対応しましたが、ブラウザビューワはまだ未提供です。
ここ1年ほどの間に、他の電子書店もマルチデバイス対応を急速に進めています。中でも、ブラウザビューワを導入するストアが増えており、またLinuxでの閲覧も公式にサポート(ブラウザビューワ)するところも出現していることを考慮すると、優位性はやや薄れ始めています。
楽天Koboのサービス利用規約に沿った私的かつ非営利の利用、つまり、常識的な個人利用の範囲内であれば、1つのアカウントで登録できる端末の台数には特に制限が設けられていないことは特筆すべき点です(☆+0.5)。大半の電子書店では規定台数が設けられており、他の端末登録を解除しなければならないなどやや煩わしい制限がある中、楽天Koboは先駆的です。
購入した書籍は、一度端末にダウンロードしてしまえば、通信環境がない場所でも読むことができます。本棚の並び順、最後に読んだ位置、マーク・しおり・コメントなどはクラウド上に保存されます。最後に読んだ位置は、他の端末とも同期されます。デスクトップで読んでいた続きを、外出先からスマートフォンで読むといったことも簡単にできます。
読書機能としては、しおり、複数色のマーカー、コメント、本文検索、Web検索(Google、Wikipedia)、辞書、文字サイズやフォントの変更、読書モード(標準/夜間/セピア)、ページ切り替え効果の変更などができます。Koboが以前から力を入れてきた「ソーシャルリーディング」機能では、「ページヘのコメント」を同じコンテンツを読んでいる人と共有できます(☆+0.5)。
Android向けアプリでは、「コンテンツのインポート」メニューから、メモリーカード内のDRMフリーEPUBを読み込むこともできます。
機能的にはAndroid版とほとんど同じですが、「コンテンツのインポート」やピンクアイコン(Pulse)がありません。DRMフリーEPUBのインポートは、PCのiTunes経由です。Pulseは範囲選択してコメント追加する際に、公開するかどうかが選択できます。また、Facebook連携ボタンは用意されていますが、本稿執筆時点では連携できない状態になっていました。
こちらの詳細は、7月23日から新たに国内販売開始された「Kobo Glo HD」と、「Kobo Aura」「Kobo Aura H2O」を比較した記事”Kobo史上最高の解像度 300ppiの「Kobo Glo HD」をほかのモデルと比較してみた”をご参照ください。Pocket(後で読む)機能との連携などが可能になっています。DRMフリーファイルのインポートは、microUSB経由です。
スクリーンショットが撮れないため、画面イメージは割愛します。機能的にはモバイルアプリ版とほぼ同じですが、ソーシャルリーディング機能は非対応です。また、複数の本を同時に開くことはできません。マーカー、コメントなどは自動的に同期されず、アプリ起動時か自分で「同期」アイコンをクリックしたときだけ反映されます。DRMフリーファイルのインポートには非対応です。
機能的にはWindowsデスクトップアプリとほぼ同じです。
専用電子ペーパー端末とモバイルアプリには、自分の読書データやバッジの確認、Facebook連携によって友だちが読んでいる本のチェックや読書データ・バッジの比較などが可能です。買った本のうち何冊、何ページ読んだといったデータがすぐにチェックできるのは、あまり他では見られないユニークな機能です(☆+0.5)。
評点:☆4.5
2012年のオープン当初、あまりに未完成な状態でリリースしてしまったことで、ユーザーにネガティブなイメージを与えてしまったのは事実。ただ、あれから3年、地道にコツコツと改善を積み重ね、死角の少ないサービスになっています。
例えば楽天Koboライティングライフが始まったことでKindleダイレクト・パブリッシングの国内販売は米国TIN番号の入力が不要になったり、楽天Koboでセールが始まると必ずと言っていいほどKindleストアでもプライスマッチングが始まるといった、サービス競争が起きています。願わくばこのまま良きライバルとして、お互い切磋琢磨しユーザーの満足度を高めていって頂きたいところです。
フリーライター。NPO法人日本独立作家同盟理事長で、『月刊群雛』と『群雛ポータル』の編集長。ITmedia eBook USER、INTERNET Watch、ダ・ヴィンチニュース、マガジン航、DOTPLACEなどに寄稿。ブログ『見て歩く者』で、主に電子出版、ソーシャルメディア、著作権関連の記事を執筆。著書『クリエイターが知っておくべき権利や法律を教わってきました。著作権のことをきちんと知りたい人のための本』は弁護士福井健策氏の監修。
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