「同棲マンガ」に学ぶ、同棲生活の素敵なメリット4つ

» 2015年06月19日 12時30分 公開
[ぶくまる]
ぶくまる

 今回は、同棲をテーマにしたおすすめマンガ4作品に登場するカップルの生活から、同棲の幸せポイントを4つご紹介いたします。

 恋人のことは好きだけど、結婚に踏み切るにはもう少し時間が欲しい……そんなカップルが始める「同棲」。好きな人と同じ家に帰れる幸せをかみしめながら、一緒に食事を作ったり、お風呂あがりに眠くなるまでお喋りしたりと、ワクワクすることも多いですが、一方で不安はなかなか拭いきれないもの。憧れている方や迷っている方は、ぜひ「先輩カップル」の暮らしを参考にしてみてくださいね。

その1:ゆっくりと将来のことをシミュレートできる 『喰う寝るふたり 住むふたり』

喰う寝るふたり 住むふたり 1巻

『喰う寝るふたり 住むふたり』 日暮キノコ/ノース・スターズ・ピクチャーズ

 町田りつ子(リツコ)と野々山修一(のんちゃん)は、高3から付き合って10年、同居生活は8年目の「恋人以上、夫婦未満」なアラサーカップル。毎回のエピソードを、リツコ視点とのんちゃん視点の両方から描いている「恋愛ザッピングストーリー」です。2014年にBSプレミアムでドラマ化され、小西真奈美と金子ノブアキが2人を演じました。

 リツコは、第1話の冒頭で「8年も一緒に暮らしていて、なぜ結婚しないのか?」と訊かれます。子どもがほしい、親からのプレッシャー……結婚に踏み切るタイミングは人それぞれですが、この2人は長く一緒にいすぎたがゆえに、そのタイミングを探っている途中。仕事もまだまだ頑張りたいし、それぞれ好きなことをして遊びたい週末もある。そんな中でイケメンや可愛い子にときめく瞬間もあるけれど、結局、戻る場所は2人の家。帰り道で寂しい思いをせずにすむのは、一緒に暮らす大きなメリットですね。

 8年も一緒にいるからといって、お互いの考えがすべて以心伝心で分かるわけではない! というのが、男女両方の視点で描かれている本作の肝であり、面白いところでもあります。喧嘩したときやハプニングが起きたときの、気にするポイント・考え方が、男女で大きく異なることにびっくりです。

 例えば、合コンに誘われたリツコの話。のんちゃんは誘われてもすぐに断るのに、リツコは少々迷っている様子。本当はイヤだけど、一緒に暮らして8年の余裕も見せなければ! と、笑顔で「行ってきなよ」と言うのんちゃん。のんちゃんの余裕さに、リツコはモヤモヤし、半ば反抗心で行くことに。浮かれているように見えるリツコに、またのんちゃんはザワザワして……と、ザッピングストーリーならではの「実は全然違うことを考えてた!」という、現実でもたびたび起こる「男女のズレ感」が面白いです。

 時折、2人以外の登場人物の目線によるストーリーもあり、そこまで読んで初めて「この話、こういうことだったんだ!」と感心させられることも。子供の話、お金の話、夜の話など、カップルなら誰もが直面する問題が描かれていて、身につまされることも多いです。

 まだ「夫婦」ではないけれど、「相方」にはなりつつある。そんな気づきを経て、少しずつではあるものの、自分たちの将来を考えるようになるリツコとのんちゃん。意地を張っていても、「ただいま」「おかえり」が言える生活は、やっぱり素敵です。カップルの方は、リツコとのんちゃんのどちらに共感するか、感想を言いあってみると面白いかもしれません。

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その2:仕事でイライラしていても、甘えられる場所がある 『逃げても逃げても』

逃げても逃げても

『逃げても逃げても』 ねむようこ/小学館

 付き合って5年のカップルである、少女漫画家のサキとサラリーマンデザイナーのみいくんの、ほんわか同居ストーリーです。

 常に〆切に追われるサキは、切羽詰まるとついイライラ。みいくんの気遣いを素直に受け取ることができず、困らせてしまうこともしばしばですが、海のように広い心を持つ優しいみいくんと、飼い猫のキャベツに心を癒され、なんだかんだで幸せに毎日を過ごしています。

 それぞれ、お互いの好きな物を買って帰ってきて、夜のお喋りに興じたり、それなりに部屋数のある家の中で、一つのソファに2人と1匹でギュッと寄り添ってみたり、「こんな暮らし、いいなあ」と思える同居生活が描かれています。

 ですが、いいところばかりをピックアップしてるわけではないのが、この作品の見どころ。例えば、みいくんはサキの参加してる飲み会に、元カレがいるんじゃないかとイラッとして、サキはSNSにアップされていた、みいくんと同僚の女の子とのツーショットにイラッとする、というエピソード。

もちろん 何かあるなんて思ってない 何もないって知ってるからこそ このイライラは行き場をなくす

 『喰う寝るふたり 住むふたり』にも描かれている、「信じていないわけじゃないけど、納得がいかない」心のモヤモヤ。一緒に暮らすカップルは、普通の恋人よりは関係性が近いけれど、夫婦ではありません。だから、縛りつけるのもどうなの? と思うし、その不満を相手にぶつけて、同じ部屋の中で険悪になっても嫌だし……と、この独特な“モヤモヤ”は、一緒に暮らすならではの悩みなのかもしれません。

 こんな風に、時にあまのじゃくにもなってしまいますが、やはり身近にあったかい存在を感じられるのは同居ならでは。忙しくて心が荒んでいる時、そっと出てくる飲み物やご飯に癒されて、いつの間にか元気が湧いてくる。疲れた夜も、思いっきり甘えることができちゃいます。

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その3:多少のアクシデントも、寄り添う愛で乗り越える 『シアワセ行進曲』

シアワセ行進曲

『シアワセ行進曲』 山川直人/KADOKAWA/エンターブレイン

 物語の時代は今から少し昔。売れない漫画家の幹太と、喫茶店でウエイトレスをしている絵美は、六畳一間の素朴な部屋で暮らしています。あるのは幹太の作業机と、ステレオと、茶ぶ台。部屋の電気は長いひもを引っ張るタイプ、映画を観るのはシネコンではなくて名画座、などなど、絵柄と作風でどっぷりと昭和ノスタルジーに浸れる作品です。

 とっても仲良しな2人ですが、苦労もたくさん。お互いの生活時間のズレ、毎月の家賃の不安、ついには督促状まで……。収入があると、ついムダ遣いしてしまう2人ですが、どんな苦労も明るくのほほんと描かれていて、気持ちがほっこりします。

 幸せを感じるポイントは、生活のささいな「アクシデント」のエピソード。大晦日の夜、石油を切らしたせいで、ストーブが消えてしまいました(最近は石油ストーブも少なくなりましたよね)。幹太は、壁も窓も薄くて寒い部屋で、どうやって夜を越そうかと慌てます。すると隣にいた絵美が、「大丈夫 こうしていっしょにいれば……」と幹太に抱きつくのです。寒くて不便な夜も、2人の愛であたたかく乗り越えられるのですね! おアツイです。羨ましいです。

 もちろん仲が良くても、エロ本が見つかってちょっと険悪になったり、甘えたいのに仕事だからとつれない態度にしょんぼりしたり、ということもあります。でも、売れない漫画家の幹太は、そばに絵美がいて応援してくれているから、自信がなくなっても、また頑張れるのです。心の支えとなる人が家にいてくれるのは、かけがえのない幸せですね。

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その4:ダメなところも見えるけど、その分ギャップにときめく 『トド彼』

トド彼(1)

『トド彼』 高嶋あがさ/小学館

 ごくごく平凡なOLの茶山優子(霊長目ヒト科ヒト属ヒト)。職場恋愛で一緒に暮らすことになったそのお相手は、何と……トドのトド山さん(猫目アシカ科トド属トド、体重530キロ)! トドなのに直立歩行で裸でエンジニア、さらには職場の上司や友人も、ウミウシだったりネコだったりゴリラだったり 、何かが……何かが絶対おかしい! そんな世界のトド山さんとの同居生活なのに、2人(1人と1匹)のやり取りは妙にリアルなのです。

 トド山さんは、酒好きで巨体(トドだけに)、ゲームオタクなオヤジキャラ。口が悪く、優子さんを呼ぶときも「お前」、デリカシーのない「女子って年かよ!」などの発言の数々に、読みながら銛で突き刺してやりたいと思う瞬間も(トドだけに)。トド山さんの甥っ子のちびトドくんが来た時は、優子さんがちびトドくんばかり構うのに妬いて、大人げなく対抗意識を燃やします。表紙のふてぶてしそうなお顔を見ても分かる通り、可愛いゆるキャラを想像してはいけません。

 そんなトド山さんですが、突然ケーキを買ってきて「お前ここの好きだろ」「あのくさい茶もいれていいぞ」とポソリ(“くさい茶”とは、フレーバーティーのことです)。普段のダメっぷりや悪態とのギャップに、思わず嬉しくなってしまう優子さん。よくケンカもしていますが、いわゆる「ケンカするほど仲がいい」カップルなので、険悪なムードの後のラブっぷりには思わず「あまーい!」と叫びたくなります。

 同居しているとお互いの悪いところが目につきすぎてしまうこともありますが、だからこそ、ときめく時は心の底からときめくことができるのかもしれませんね。お互いのダメな部分を認めながら、いい意味で「適当さ」を許容するようになる、というのも、一緒に住んでみて初めて理解できること。作品世界はシュールですが、人間同士の恋愛にも生かせる要素がたくさん詰まっています。

『トド彼』を立ち読みする

まとめ

 いかがでしたか? ご紹介した4組のカップルは、それぞれ個性は違えど、相手を気遣い、支え合えるパートナーと暮らしています。

 これから一緒に暮らす生活を始めようとしている方も、既に一緒に暮らしているけれどマンネリ気味という方も、マンガから「幸せのヒント」を見つけてみてくださいね。明日からは、パートナーにちょっとだけ優しくできるかもしれません。

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