大企業同士の政略結婚や、利害関係の上に成り立った契約結婚などが「愛なき結婚」。一見、羨ましいほどの玉の輿ですが、夫となる相手は傲慢で、愛に対して懐疑的。借金のカタに、復讐のため、と理由はさまざまですが、冷えきった関係から始まった結婚生活が、いつしか本当の愛情に変わっていく様子が感動的です。
『拒絶された花婿』 ヘレン・ビアンチン/アリスン
亡き父の会社で副社長を務めていたアリーシャは、遺言により、プレイボーイの海運王・ルーカスとの政略結婚を迫られる。アリーシャは、かつて結婚相手から暴力を受けていたトラウマから、男性とキスをすることさえも恐怖を感じるようになっていた。その拒絶の理由を知ったルーカスは……。
世の女性を虜にしてきた、自信家で傲慢なルーカスが、怯えるアリーシャを優しく受け止め、彼女の過去ごと愛していく……その変化と包容力にキュンとします!
『花嫁は絶体絶命』 ルイーズ・アレン/橋本多佳子
弟の莫大な借金のために、令嬢キャサリンは「死刑囚と結婚して借金を帳消しにする」という条件をのむことになった。恐ろしい容貌のジャックと会ったその日に結婚したキャサリンは、覚悟を決めて監獄で一夜を過ごすことに。しかし身なりを整えた彼は見違えるような美青年だった。さらに、彼から意外な真実を聞き……。
「死刑囚との結婚」という、衝撃的な展開から始まる本作。1巻ものが多いハーレクインコミックスにしては珍しい、全2巻の中編ものです。さらに、長髪ヒゲ男という、粗野な魅力も新鮮。物語の後半では、彼の素性とその確執が明らかになり、一難去ってまた一難のジェットコースターストーリーです。
『僕だけを愛して』 ダイアナ・ハミルトン/藤原基央
トップモデルのアリーは、母を楽させるために家を買うことが夢だったが、ある日、亡くなった伯父の屋敷の相続を告げられる。ただし、その条件は「伯父の死後1ヶ月以内にアリーが結婚していること」だという。アリーは、自分に想いを寄せていた窓拭き屋のジェスロに、お金で便宜結婚を持ちかける。だが彼の真の姿は実業家だった。
アリーの事情と、自身の身分を偽ってアリーに近づいたジェスロの理由が複雑に絡みあいつつも、次第にお互いを想うようになっていきます。ジェスロの窓拭き屋としての顔と、実業家としての顔の二面性も、本作の魅力の1つです。
『十二カ月の結婚』 マーガレット・メイヨー/白井幸子
エレナは年上の幼なじみで銀行家のビダルと姉のレイナの婚約パーティーに参加することに。しかし、その婚約は両親の銀行を救済するための政略結婚であり、レイナは婚約を破棄して失踪してしまう。パーティーで、代わりにエレナが婚約者であると紹介されてしまい、偽りの結婚式を挙げることになる。
ビダルがかたくなに女性を信用しなくなった理由が、徐々に明らかに。傲慢だけど、それは不器用さの裏返しとも言えます。彼がエレナとの真実の愛に気づく瞬間は感動的です。
『買われた純潔』 ミシェル・リード/小越なつえ
実業家のアレクサンドロスから愛されてプロポーズされたと思っていたネルは、挙式目前に、実は負債を抱えた父の会社に融資するための契約結婚であることを知る。そのため別居婚を続けていたが、1年後、屋敷を飛び出して事故を起こしたネルは、病院で彼と再会する。愛人疑惑をかけるパパラッチから逃れるため、アレクサンドロス所有の島に行ったネルは、そこで彼の意外な一面を見ることに……。
プレイボーイのアレクサンドロスが、ネルの愛人に対して嫉妬する姿は、激しく情熱的。お互いに愛人がいることによる不信感もあり、なかなか分かり合えない2人ですが、真相が明らかになると、怒涛のクライマックスへと向かいます。
いかがでしたか? ハーレクインコミックスは、少女マンガなどでも活躍している人気漫画家が作画を手がけており、また1巻完結ものが多いので、手に取りやすく読みやすいのも嬉しいところです。
もともと小説が好きだった方も、活字が少し苦手な方も、ハーレクインコミックスの世界に飛び込んでみませんか? お気に入りの作品が見つかったら、次はその作家の他の作品にも手を伸ばしてみてくださいね。
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