「老活」「終活」を考える僕らの世代にこそ、電子書籍はぴったり 神谷明の“I Love ebook”宣言(3/4 ページ)

» 2015年06月06日 07時00分 公開
[出版デジタル機構]

いずれタブレットが教科書になる

神谷 明さん

 僕は今、学校で生徒に朗読や演技の指導をしています。表現をする人は、とにかく本を読まなければいけないと思います。「声に出して読む」という意味ではありません。僕たちにとって一番大事なのは、知識や積み重ねといった、人間的な深みとなる経験です。経験が多くなれば、自分の世界が広がっていく。そうなれば、表現する幅も増えるということです。観劇や映画鑑賞と同じように、読書もまたわたしたちが表現をする際に大きな助けになります。

 朗読の教科書としては、「だだっこ」的な感情の起伏の激しいキャラクターが登場するものなど、普段の生活ではあまり自分が表現することのない作品を探しています。紙の書店は、ある程度中身を見てから買えますから、教科書として授業で使う本を探すのは、今のところ紙の書店が多いです。電子書籍は立ち読みできても冒頭だけの場合が多いですからね。もちろん全部を読めなくてもいいのですが、映画の予告みたいに、面白いところをかいつまんで見せてくれる「盛り上がりお試し版」みたいなものができるといいなあと思います。

 あと、いずれ電子版で買った書籍を、教科書用にテキストデータだけ引用できるようになったら便利ですね。教科書がタブレットになる時代はもうすぐ来ると思っています。

 声優としてはオーディオブックにも興味がありますね。NHKラジオで、1957年から2008年まで50年間にわたり放送されたラジオドラマ番組『日曜名作座』で、森繁久彌さんと加藤道子さんが読んでいた名作は良かった。僕もいつか、名作をちゃんと読みたいと思っています。

神谷 明さんの<I Love ebook宣言> 神谷 明さんの<I Love ebook宣言> 物が増えない。「老活」「終活」を考える僕らの世代にこそ、電子書籍はぴったり。光量と文字サイズが調整できるのも良い。僕は「夕刊フジ」もタブレットで読んでいます。
写真/鈴木智哉 取材・文/和久井香菜子 ©出版デジタル機構

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