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» 2015年06月04日 18時30分 UPDATE

フランスで最も有名な日本人「レ・ロマネスク」って何者?

[新刊JP]
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 スポーツや芸術、ビジネスなどどの分野にも、大きな成功を収め世界的に名が知られている日本人がいる。

 「世界一有名な日本人は誰か」という議論はたびたびなされているが、ことフランスに限っていえば、「一番有名な日本人」は“世界のキタノ”でも“芸術は爆発だ”の岡本太郎でもないようだ。

フランスで最も有名な日本人「レ・ロマネスク」って何者? フランスで最も有名な日本人「レ・ロマネスク」って何者?

 「レ・ロマネスク」と聞いて「ああ、知ってる!」となる人は、まだ日本では少ないだろう。しかし、2000年にフランスでボーカルのTOBIとコーラスのMIYAによって結成された彼らは、その奇抜なヴィジュアルとパフォーマンス、ムード歌謡的な楽曲が受け、パリコレで演奏を披露したり、「出演した番組」のYoutube再生回数が仏国内で1位になるなど、現地で絶大な人気を誇るポップデュオなのだ。ヨーロッパやアメリカの各都市でも公演を行っていることを考えると、「世界的アーティスト」と言ってもいいだろう。

 しかし、「何でフランスなのか?」「そのド派手な衣装(メインボーカルのTOBIはピンクの衣装に黄色の巻き毛と王冠、コーラスのMIYAはドラァグクイーン風のメイクと金髪のアフロ)は何なのか?」など、不思議に思うことは多い。

 『レ・ロマネスクファンブック〜ジュテームのコリーダ』(扶桑社/刊)は、そんな彼らの素顔に迫り、数々の疑問に答えてくれる。

就職する会社が全て倒産、そしてパフォーマンスの道へ

 本書に掲載されているインタビューによると、「レ・ロマネスク」の結成は「ひょんなことから」という表現がふさわしい。

 大学生時代からアルバイトをしていたイベント会社にそのまま就職したTOBIは、ある日突然、出勤したら会社が夜逃げしてなくなっていて、同じ日に住んでいたアパートからの立ち退きを要求されるという憂き目にあった。本人いわく、そこから「就職する会社、就職する会社、必ず倒産していく」という「負のループ」が始まったという。

 その何社目か、風俗情報誌の編集部で働いていたとき、酒に酔った勢いで友人に頼まれた「年忘れ爆笑ライブ」への出演を引き受けてしまう。当時の彼のステージ経験は、学生時代にやっていた落語のみ。しかし、ここがポイントなのだが、「普段着で出るのは恥ずかしいので、カツラを被って、フリフリのフリルの格好をして」ステージに上がり、「ムード歌謡」を披露した。これが「レ・ロマネスク」の原型となった。

音楽活動に行き詰まりフランスへ

 このステージが好評を得て、結婚式の二次会や宴席の余興の仕事が舞い込むようになり、断りきれずに引き受けているうちにテレビの深夜番組などからも声がかかるようになってきたというTOBI。ところが、音楽活動に時間を取られ、就職活動がおろそかになり、やっと決まった会社も入社すると会社が潰れるという繰り返し……。

 完全に人生の袋小路にはまったTOBIはワーキングホリデーでフランスに行くことを決意したのだが、この時の心境は自分の何かを変えたいという一心だったようだ。

 フランスで心機一転と行きたいところだったが、パリについた2カ月後、捨てたつもりだったカツラやステージ衣装がなぜか船便で届いてしまう。そしてその翌日、何とも皮肉な話だが、フランスでのバイト先(在仏日本人向けのフリーペーパー編集部)で、「日本人パフォーマー急募」の広告に応募がこなかったことから「あなた、出ない?」と頼まれ、またも断れず日本時代と同じ扮装でステージに立つことに。とてもピンでやる勇気がないからと、「後ろに立ってくれますか」と頼み込んだのが、当時パリに留学で来ていたMIYAだったという。

 そのステージの後、なぜか次々とオファーが来て、それを二人でこなしているうちにフランスで11年活動してしまったと語るTOBIだが、その間前述のパリコレでの演奏やパリ国際映画祭の公式マスコットへの選出、ベルリンでのワンマンステージなど、どんどん人気が広がり、2011年には日本に凱旋してフジロックフェスティバルに出演。さらに2013年にはNHK Eテレの『お伝と伝じろう』へのレギュラー出演と、その人気は「逆輸入」の形で日本でも火がつきつつある。

 本書にはTOBIへのインタビューのほかに、彼らが尊敬するというタレントの清水ミチコとの対談、そして新曲を含む3曲が収録されたCDもついている!

 収録曲は、本書のために書き下ろした新曲「ジュテームのコリーダ」、ほか、ライブでしか聞くことができなかった「ファンのテーマ」など、ファンにとっては嬉しい1冊。

 これから日本でもブレイクしそうな「世界的アーティスト」。「レ・ロマネスク」が日本を席巻する日は近いかもしれない。

(新刊JP編集部)

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