インタビュー
» 2015年05月26日 17時45分 UPDATE

新人営業マンがまず身につけるべき必須スキル

[新刊JP]
新刊JP

 4月に営業部に配属され、そろそろ研修も終わり。いよいよこれから自分が主体となって商談の席に座る……。そんな段階に来ている新人営業マンは多いはず。また、もしかしたらもうバリバリ営業している人もいるかもしれません。

 『最高の営業デビュー』(日本実業出版社/刊)はそんな新人営業マン達に向けて書かれた、営業の基礎の基礎を叩きこんでくれる一冊。

 今回、新刊JPでは本書の著者で、セールスコンサルタントの佐藤昌弘さんにインタビューを行い、営業マンに必要なことを聞いてきました。

営業はバンジージャンプと同じだ!

『最高の営業デビュー』著者の佐藤昌弘さん 『最高の営業デビュー』著者の佐藤昌弘さん

―― まず、この本を執筆した経緯からお聞かせください。

佐藤 同じ出版社で『凡人が最強営業マンに変わる魔法のセールストーク』という本を2003年末に出したのですが、非常に好評で「成績が伸びました!」という嬉しい報告や感想を多数いただきました。でも、その一方で、あの本の内容を部下に教えても、なかなか成果に結び付かないという声が届いていたんですね。

―― なかなか実践することができない。

佐藤 そうです。社長がこの本は良いといって部下に読ませるのですが、読んでもできるようにならないという相談事を受けるようになりまして、僕自身、なぜある人はできて、ある人はできないのか分からなかったのですが、調べてみると、実践できていない人はそもそもの段階すら越えていないことが分かったんです。

―― そもそもの段階とは?

佐藤 『凡人が最強営業マンに変わる魔法のセールストーク』はヒアリングを重視した営業法なのですが、その前段階である営業の基礎の部分、もしくはヒアリングする前の段階ですね。

 挨拶から入り、コミュニケーションを取って、雑談を経て今から説明をすることに合意をしてもらう。それができていない人は、挨拶の次にいきなりヒアリングに入るんですね。そうするとどうしても警戒されてしまう。準備も出来ていないのに、いきなり根掘り葉掘り聞かれたら嫌な気持ちになりますよね。それを解決するために、ヒアリングの前の段階をノウハウ化することにしました。

―― それがこの『最高の営業デビュー』に書かれていることですね。

佐藤 そういうことになります。ヒアリングに入る前に、今から何をヒアリングしようとしているのかという合意と理解はもちろん、ちゃんと答えてくれるようにこちらの第一印象のコントロールも必要でしょう。こうしたことを取りまとめていくと、新人向けのノウハウになるんです。だから新人営業マンを中心に、なかなか取引先の懐に飛び込めずにいる営業マンに向けて、好印象の与え方や顧客の心理を理解するヒントをまとめることにしたんです。

―― 本書の冒頭で「大人気の研修を書籍化したもの」と書かれていますが、もともとは研修だけでお伝えしていたのですか。

佐藤 そうですね、はじめは研修でセールストークの前段階にあたる基本編を教えていたのですが、非常に参考になったという声をいただき、本にすればもっと多くの人に役立ててもらえるのではないかと思いました。

―― この本では、大きく「メンタルを改善するスキル」と「営業スキル」の2つに分けられています。

佐藤 営業にはどちらも大事です。頭では理屈が分かっていても、なかなかその通りに実践できないのが営業です。営業に出る前は誰もが恐怖心を持っています。でも、その恐怖心を拭うことはできません。例えばバンジージャンプって世界中で行われていますが、飛んだ人の数と死んだ人の数を計算して、死ぬ確率はものすごく低いわけですよね。それを頭では理解していても、怖い。怖さはなくならないし、みんな怖いまま飛ぶんです。

―― それは実際に行ってみないと、なぜ怖いのかが分からない。

佐藤 そうなんです。どれだけバンジージャンプの安全性やロジック、ゴムの材質を調べて、飛んだ後のシミュレーションを繰り返しても、怖さはなくならないんです。メンタルのコントロールができないと、恐怖心が強まって飛べなくなってしまいます。

 もしこれが営業ならば、大きな機会損失ですよね。だから、営業スキルと心構えをセットにして提供できたほうが入門書としてはいいのかなと。

営業は「感情が合理的な判断に勝ってしまう」仕事

新人営業マンたちよ、営業は“バンジージャンプと同じ”だ 新人営業マンたちよ、営業は“バンジージャンプと同じ”だ

―― 研修などでも新人の方々と触れる機会は多いと思いますが、今の新人営業マンはどのような傾向があると思いますか。

佐藤 「今の若造は」という言葉は昔からありますし、若者をひとくくりにして評するのは大変難しいことだという前提の上でお話をしますと、1年という期間への期待が高く、10年という期間への期待が低すぎるというように思います。

 10年間営業を続けると、すごい到達点まで昇り詰めることができるはずなんです。例えば毎日官公庁に名刺を1枚ずつ置いてくるということを、10年やったら恐らくほとんどの人と知り合いになれるはずです。でも、1カ月では名前も覚えてもらえないかもしれません。傾向として、1カ月や3カ月で歴史に残ろうとする、結果を出そうとする人が多いように思います。

 また、調べられる不幸というのもあると思います。スマートフォンやPCで検索をかければすぐに答えが出てしまう。ただ、営業の場合、答えを知っていても感情を殺すことはできませんし、そもそも答えがあってないようなものですから。イレギュラーなことばかり起こるなかで、答えばかり気にしてしまっている気がしますね。

―― では、そんな新人営業マンたちが最初に身につけるべきスキルは何だと思いますか?

佐藤 好印象でしょうか。営業活動は対人能力が重要なので。ただ、それだけ言うと身だしなみやマナーを良くすればいいと誤解されるのですが、わたしはマナーをそんなに重要視していません。新人の営業マンで馴れ馴れしいのに可愛がられる人がいますが、そういう人は必ずしもマナーが良いわけではないですよね。どちらかというととっつきやすさの方が大事だと思います。

―― 佐藤さんご自身が初めて営業の仕事をされたときの印象を教えてください。

佐藤 わたしが初めてセールスの仕事をしたのは、大学から技術職で都市ガス会社に入社し、そこから独立して住宅リフォーム会社を立ち上げたときです。

 当時のことを思い出すと……胸が苦しくなるくらいつらかったです(苦笑)。わたしは自宅を事務所にしていたので、自宅の近辺で飛び込み営業をしていたのですが、一軒一軒訪問をしていくと、同級生が出てくるんです。本当に気まずい想いをして、近所ではなく少し遠いところをまわるようにしたのですが、遠い場所にある事務所にわざわざリフォームをお願いする人はなかなかいません。でも、近所は嫌だから戻れない。合理的な判断よりも感情が勝ってしまうんです。

 また、訪問先から手で「シッシッ」とされたこともあります。午前中にそれをされたときは、1日ブルーで営業が怖くなってしまうんです。立ち上げて間もなく1日営業まわらないってまったく合理的ではないけれど、そうなってしまう。そういう感情と合理性が衝突するようなケースを、営業に出ていっぱい経験しましたね。

―― では、もし当時この本があったとしたら、どのページから読みたいですか?

佐藤 僕だったら「好印象の与え方」。次に「消費者の購買心理プロセス」ですね。飛び込みだったので。

―― 佐藤さんがセールスの仕事をされてきた中で、営業において最も大事なことは何だと思いますか?

佐藤 一言でいえば「契約をとる」ことなんですが、それを言いかえると「妥協させること」になります。

 お客さんが望んでいる諸条件と、営業が出せる諸条件が一致するケースはまずありません。もし一致するなら通信販売で事足ります。営業マンがいる理由は、お客さんが望んでいるさまざまな条件と、提供できるさまざまな条件の食い違いをすり合わせるためです。それを言いかえれば、「お客さんを妥協させる」という言葉になるんです。それが一番重要なのではないかと思いますね。

―― この『最高の営業デビュー』をどのような方に読んでほしいですか?

佐藤 営業に配属された新人。あとは昨日までエンジニア、SEといった仕事をしていて、辞令で営業部に転属した人たちには、ぜひ読んでほしいです。

 また、営業部の上司1年目の方々にもおすすめしたいです。営業が得意な人から上司になっていくのは当たり前の話ですが、才能だけでやってきた人は部下に教えることができないんです。なぜできないのかが分からない。なので、教え方が分からないという人は良い教材だと思うので、ぜひこの本でトレーニングをしてほしいですね。

―― 最後に、このインタビューの読者の皆さまにメッセージをお願いします。

佐藤 いろいろなことを書いていますが、せっかく営業という仕事をするのだから、頑張ってほしいというのがこの本の一貫したメッセージです。

 根性論になるかもしれませんが、世の中言われているほど景気は良くないですし、むしろ逆風の方が強いように思います。その中でこの本から勇気や頑張りを受け取っていただいて、気合い入れて頑張ってほしいです。書いてあることが参考にならなくてもいいので、とにかくやってほしいですね(笑)

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