インタビュー
» 2015年05月15日 11時00分 UPDATE

貯蓄ゼロの綱渡りな人生を避けるために必要なこと

[新刊JP]
新刊JP

 お金がなかなか貯まらない、節約しているはずなのに出費がかさむ……。家計事情に余裕がある人はなかなかいません。

 『お金に困らなくなる黄金の法則』(河出書房新社/刊)の著者で、ファイナンシャルプランナーでもある長尾義弘さんは、書籍の中で、「お金が貯まりにくい人」に特徴的な行動や習慣を挙げ、それらから脱して「お金に好かれる」ようになる方法を説明してくれます。

 今回、新刊JP編集部は長尾義弘さんにお話を伺い、わたしたちはどのようにお金に対して向き合えば、お金に困らない人生を送ることができるのかを聞きました。

(インタビュアー・記事:神知典)

貯蓄ゼロ、綱渡りの人生を避けるために必要なこと

『お金に困らなくなる黄金の法則』著者の長尾さん 『お金に困らなくなる黄金の法則』著者の長尾さん

―― 『お金に困らなくなる黄金の法則』を執筆されたきっかけからお聞かせください。

長尾さん(以下敬称略) もともとはまったく違う内容の本を書こうと思っていました。でも企画づくりの段階で、あるライターさんと話をしているうちに、その人が宵越しの銭を持たない「貯金0円」な人だということがわかって、「心配だな。もしこれから何かあって仕事ができなくなったら、どうするんだろう? 何か伝えなきゃ」と思って方向転換をしたんです。それが、今回の本の執筆動機ですね。だから当初書こうと思っていた内容とはまったく違うんです(笑)。

―― そういった「お金を貯められない人」は、根っこにどのような問題を抱えているとお考えですか?

長尾 お金に対する意識に問題があるのだと思います。「貯めようとは思っているんだけど、なかなか貯まらない」という現実に向き合わず、心のどこかで「それでもなんとかなるだろう」と思って、やりすごしている。でも、ほんの少し意識を変えれば、こういう人でもお金は自然と貯まりはじめます。

―― 「それでもなんとかなるだろう」と考えている人は確かにいます。ただ、現実はそうではないと。

長尾 一生独身でいた場合は生涯で約1億円、お子さんが二人いた場合は約2億円ほど掛かります。さらに自分で稼いだ額のおよそ4割が税金で持っていかれるということも忘れてはいけません。

 また、老後の費用だけでも3000万円は掛かると言われています。これは厚生年金が6000万円分もらえることを前提としています。ゆとりのある老後を過ごそうと思った場合は、少なくとも3000万円用意できないとまずいというのは確かです。

 貯めておかないといけない費用がある中で、一番効率の良い貯め方をしなければいけない。効率の良い貯金の仕方は幾つもあるので、それを頑張るしかないと思います。

―― 生涯に必要なお金はどれくらいなのかが分かると、「お金をどう管理しよう?」という意識が自然と沸いてきます。毎日コツコツとお金を貯めていく上でまずは家計簿をつけようと思う人も多いと思いますが、「家計簿をつける必要はない」というメッセージがとても新鮮でした。

長尾 家計簿はつけるのにとても手間が掛かります。わたしから見れば、1日単位でお金の出入りをチェックすることに、それほど意味があるとは思えません。年間の収支がどうなっているかを押さえておけば充分でしょう。

―― お金を貯める上で、家計簿をつけることはあまり意味がないのはなぜですか?

長尾 10円20円単位の出費を気にして家計簿をつけるくらいだったら、日々の生活の中で「お金について考える時間」を少しでも多く確保した方がいいと思いますね。

 「この税金は、どうしてこういう仕組みになっているんだろう?」と調べてみるとか、「少しでも高い金利でお金を預けられるところはないか?」と情報収集をしてみるとか。同じ銀行であれば、あっちの銀行よりもこっちの銀行の方が金利は良いとか。自分の持っているお金をもう少し効率よく運用できるように考えるべきでしょう。

―― 銀行の活用方法についてもっと詳しくお話をうかがいたいのですが、個人が銀行をうまく使うために、気をつけるべきポイントを教えて下さい。

長尾 ネット銀行をうまく活用することです。あまり知られていないようですが、ネット銀行の中には、大手都市銀行に比べて金利が高く、振り込み手数料が安いところも結構あるんです。

 わたしがおすすめしているのは、新生銀行の「2週間満期預金」(定額預金)です。この仕組みを使うと、年利換算で0.1%の金利がついてきます。しかも、預けて2週間経てばいつでも下ろすことができる。大手都市銀行の定期預金の金利相場が0.025%程度だということを考えると、これを使わない手はないと思います。

日本人は保険に入りすぎ? 損をせずに「お金を貯める」には

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―― 人生の中で大きな支出があります。その時に「ローン」というのは、避けて通れないと思いますが、その点はいかがでしょうか?

長尾 ローンは無理をして組まない方がいいです。余裕を持って組まないと破綻してしまうことがあります。晩婚が進んでいる現在は、「教育費」「住宅ローン」「老後資金」などが重なるトリプルパンチになった時に困りますからね。

―― そうなると、ある程度長期スパンで人生設計する必要がありますね。

長尾 この本にも書きましたが、ライフプラン表は作っておくべきでしょう。

 65歳までに老後のお金を貯めなくていけない。ただ、人生は思うように行かないことがいろいろあります。今、申し上げたように、教育費と住宅ローンが重なることがありますし、その上に老後資金も乗ってくるということがあります。そんな時にライフプラン表を作っておくとだいたいの予想ができますから、早めの対処ができます。

―― 長尾さんはファイナンシャルプランナーの資格をお持ちでいらっしゃいますが、本書で「日本人は保険に入りすぎ」と警鐘を鳴らしています。

長尾 かなり多くの日本人が「入る必要のない保険」に入ってしまっている印象があります。例えば医療保険。万が一、入院した場合でも「高額療養費」という制度を使えば、個人の負担額をおよそ8万円程度に抑えられます(※)。その意味で、医療保険に入る必要はないと思いますね。(※被保険者が70歳未満かつ一般区分(上位所得者、低所得者以外)に該当する場合)

―― 逆に、「これは絶対に入っておくべき」という保険は何ですか?

長尾 個人賠償責任保険や火災保険……中でも家財保険ですね。わたしが入っている個人賠償責任保険は年額700円で保証額は1億円です。家財保険は35年の長期契約をしていて、年間3万円ほど払っています。

 前者の個人賠償責任保険は、自動車を運転していて死亡事故を起こしてしまった場合、賠償額が数千万から数億単位になることを考えれば入っておくべきでしょう。また後者は、家財にまで保険をかけるひとは少ないですが、実は火災のときに一番ダメージを受けるのは家財なので、これも入っていて損はしないはずです。

―― 本書に出てくる「1世帯あたりの年間払込保険料は平均41万6000円」という数字を考えれば、長尾さんが現在払っている年間保険額は相当安いですよね。

長尾 これだけ保険料を抑えれば、その分貯蓄にまわせますからね。多くの人が「保険料を払い過ぎている」ことに気づいていません。だから、ぜひ一度、ご自分の入られている保険を見直していただきたいです。

―― また、本書では「税金」についても触れていますが、こちらも抑えることはできるのでしょうか。

長尾 そうですね。税金は払うしかないものですが、節税のやり方はたくさんあります。

 例えば確定拠出年金や小規模企業共済のように、掛け金が全額控除になる制度を使えば、税金をかなり抑えることは可能です。

 また、結婚してお子さんがいる家庭なら、扶養控除や配偶者控除を受けられますが、独身だとそういった控除が一切ありません。その分、意識していないとかなりの額の税金を払うことになるので、国や行政がどのような仕組みを用意しているのかしっかりと調べる必要があります。

―― なるほど。節税に限らずそういったお金にまるわる情報を集めるには、具体的にどのようにすればいいのでしょうか。

長尾 わたしも特別なことはしていませんよ。普段から地道にネットで検索をかけたり、お金のことに詳しい知人に話を聞く機会をつくったり、そういったことです。また『日経トレンディ』や『DIME』といった情報誌の記事からも、意外と使える情報が見つかります。

―― では最後に、このインタビューの読者の皆さまへメッセージをお願いします。

長尾 はじめにも申し上げたように、貯蓄ゼロの「綱渡り」な人生がひとりでも減るようにと思って書きました。どんな方でも、ちょっとしたきっかけさえあれば、「お金の意識」は変えられますし、お金を貯めることは可能です。この本が、その原動力になってくれれば嬉しいですね。

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