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» 2015年04月14日 11時00分 UPDATE

「鬼斬」「トレバ」生み出した“変な社長”の経営哲学

[新刊JP]
新刊JP

 IT業界にはユニークな制度を取り入れている企業があったり、変わったビジョンを持つ経営者がいたりする。

「鬼斬」「トレバ」生み出した“変な社長”の経営哲学 「鬼斬」「トレバ」生み出した“変な社長”の経営哲学

 『変な会社』(サイゾー/刊)は、オンラインゲームを世界で展開するベンチャー企業、サイバーステップ株式会社創業者で現代表取締役社長の佐藤類さんが自身の経営哲学をつづった一冊。そんな彼の目指すところは「変な会社」だ。

 サイバーステップは2015年3月現在で創業15年目を迎えたが、つくったオンラインゲームは5本だけ。ゲーム開発会社としては極めて少ない。しかし、「GetAmped」や「鬼斬」といったインパクトの強いゲームを生み出してきたほか、他の会社がやらないようなアッと驚くサービスをリリースしている。最近ではスマートフォンなどを使ってオンラインでクレーンゲームが楽しめる「トレバ」を開発したことでも話題になった。

 2006年7月には東証マザーズ上場を果たし、売上高は14億円(連結)。そんな謎多きベンチャー企業の素顔とは果たして?

「とりあえず世界一」にこだわる

 佐藤さんが標榜する言葉、それが「とりあえず世界一」だ。なぜ「とりあえず世界一」になったのかはもう忘れてしまったというが、「世界一」を目標としているのは昔から変わらないと述べる。

 では、この「世界一」とは何を示しているのだろうか? 佐藤さんは次のように語る。

私の中では「世界一」とは「世界中の人が使いたい、遊びたいと思った時に、私たちのサービスが使え、遊べる状態にあること」が最低限の前提だと思っています。そこまでたどり着いた時にそれぞれの人が判断した結果が「世界一」なのだと思います。(本書14ページより)

 その上で彼は、「誰もやらないことをやる」という志を持ち、次々と画期的なアイデアを生み出していく。どこかで見たことがあるものではなく、どこにもないもの、誰も作らないものを作る。これは佐藤さんが学生のころからずっと興味を抱いてきたことであり、今でも原動力となっているようだ。

サービス立ち上げのために役員報酬を0に!?

 2013年12月5日、サイバーステップは新作オンラインゲーム「鬼斬」のサービスを開始した。5年ぶりの新作ということもあり、大々的に広告を展開したが、そこで使った予算は6000万円。3000万円をテレビCMに投下し、3000万円はインターネット広告に出稿したり、ニコニコ動画などで集中的に宣伝をして、高い注目を得ることができた。

 実はこの裏で、サイバーステップは2013年6月から役員報酬を0にしていたという。もちろん業績が悪いからではない。積極的な広告宣伝を行う上で、あらかじめ社内の経費を削減し、サービス立ち上げの原資にまわしたのだ。

 あまりにも思い切ったやり方だが、これだけ自社サービスに懸けている経営者はどのくらいいるのだろうか。

年平均10%の昇給を目指す

 本書の核となる第3章「変な考え」は、まさに佐藤さんの経営哲学があますことなく語られているのだが、その中でもひときわ目を引くのが「目標は年平均10%の昇給」という項目だ。

 佐藤さんは「社長の唯一の役目は、社員の給料を増やすこと」だと考え、何とかして社員の給料を高められるように思案する。しかし、これは「社員のことを思って」というような心情的なものではなく、合理的に考えた結果のものであるようだ。

 基本的に佐藤さんは社員に対して情を持って接するようなことはしない。あくまで雇用契約で結ばれた関係であり、佐藤さん自身は会社を現時点で代表するだけの立場だと考えているからだ。そして、社員一人ひとり何に満足度の指標にしているかは異なるわけで、それらを1つの会社ですべて実現するのは至難だ。だから、会社は社員に対していかに給料を上げられるかどうかを考え、それを実行するのが役目だと考えているという。

 他にも「結婚して離婚」「世の中から戦争をなくす」「アルファベットの数だけ海外現地法人を作る」「会議室にワインセラー」「社員の名前を覚えない」「負けるのが好き」「新卒は0歳児」「役員を目指せ」など、破天荒でいて、刺激的な言葉が目次に並ぶ。

 こうした言葉にも現れている、その「変な」経営スタイルは、一見奇をてらっているように見えるが、本質はかなり合理的で多くのビジネスパーソンも参考になる部分があるだろう。また、第4章と第5章は就職活動をしている学生にとって有意義な内容となっている。

 変な社長が目指す、変な会社。その先にあるものとは――?

 なお、「鬼斬」「トレバ」ユーザーや、これからやってみたいという人には嬉しい購入特典がついてくるので、そちらも注目ポイントだ。

(新刊JP編集部)

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