最後に、読みやすさの検証です。
MEDUSA形式を閲覧できるブラウザビューワの動作環境は、Windows Vista以上(RT含む)、Mac OS X以上、iOS 6.1以上、Android 2.0以上です。対応ブラウザは、Internet Explorer 8.0 以上、Firefox 3.6以上、Safari 5.0以上、Chrome 10.0以上、Opera 11.1以上です。別途、Kindle Fireシリーズにも対応していますが、Kindle Paperwhiteなど電子ペーパー端末には非対応です。
多くのブラウザビューワが採用しているプログレッシブダウンロード(ダウンロードしながら読める)ではなく、ダウンロードが完了するまで読み始めることはできない形ですが、閲覧中に通信が切れても読み続けられるメリットがあります。
また、AndroidとiOSには書庫アプリがあり、Web本棚からダウンロードして閲覧することも可能です。ブラウザビューワより高機能なので、じっくり読みたい場合は書庫アプリの方がいいでしょう。ただし、オーディオブックとXMDF形式と.book形式は非対応です。
MEDUSA形式には「端末登録台数」や「ダウンロード可能台数」といった、他ストアでありがちな台数制限は設けられていません。ただし、複数端末からの同時ログインはできない仕様になっています。また、XMDF形式と.book形式も前述の通りファイルのコピーや移動に制限がないので、何台でも利用可能です(☆+0.5)。想像するに、このユーザーフレンドリーな制限の緩さが、出版社に敬遠されラインアップ不足を招いているのではないかと思われます。
前述の通り、ブラウザビューワは手軽に利用できる分、書庫アプリより機能が限定されています。
文字の拡大/縮小、明朝/ゴシックの切り替え、文字色・背景色の切り替え、ルビの表示/非表示、縦書き/横書きの切り替え(一部非対応の作品あり)、目次による移動などが可能です。しおりや付箋機能はありませんが、最後に読んだ位置は異なる端末間で同期されます。
ブラウザビューワの機能に加え、フォント変更、輝度変更、背景色変更、本文検索、しおり、メモ、ハイライト、Web検索などに対応しています。読み上げ機能に対応している点(☆+0.5)は、他ストアでも滅多に見かけない意味でも特筆すべきでしょう。
基本的にAndroid版とほぼ同じですが、こちらには内蔵辞書を利用した検索機能があります。また、Androidとは異なり、メニュー非表示状態では全画面表示(つまり他にアイコンなどは表示されない)になります。
「ブンコビューア」や「T-Time」などは、パピレスのアプリではないため、当レビューでは割愛します。
評点:☆4.0
実はビューワアプリが相当高機能なので、これでラインアップさえ充実していれば……と思わざるを得ません。数少ないDRMフリーXMDFの取り扱いストアでもありますが、時代のすう勢がオープンフォーマットへ移行していく中で、正直その部分だけが化石のように取り残されている感があり、とても惜しいように思います。その一方で、姉妹ストアのRenta!は過去のしがらみを断ち切ることで、別次元の進化を遂げています。こちらはまた別の機会にレビューしたいと思います。
フリーライター。日本独立作家同盟代表で、『月刊群雛』編集長。ITmedia eBook USER、ダ・ヴィンチ電子ナビ、INTERNET Watch、マガジン航などに寄稿。ブログ「見て歩く者」で、電子出版、ソーシャルメディア、著作権などの分野について執筆。自己出版で『これもうきっとGoogle+ガイドブック』を1〜3巻まで配信中。
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