インタビュー
» 2015年03月31日 13時00分 UPDATE

「こんなにアコギな商売はない」不動産業界の裏側を暴露 (1/2)

[新刊JP]
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 企業には、それぞれ独自の「経営理念」があり、その理念とは企業の哲学であり存在意義です。

 ただ、いかに立派な理念を掲げていても、売り上げがなければ空念仏。ということで、「経営理念」とは日々の売り上げノルマの前ではないがしろにされがちです。

「こんなにアコギな商売はない」不動産業界の裏側を暴露 「こんなにアコギな商売はない」不動産業界の裏側を暴露

 そんな中、住宅販売とリフォーム事業を展開するリアンコーポレーションを経営する五嶋伸一さんは、自身の著書『儲けることばかり考えるな!お客様が涙で感動する仕組み――売上150%アップは当たり前 住宅販売全国1位の秘密は「皆生感動システム」』(コスモ21/刊)の中で「お客様の幸せを第一に考え、感動を提供する」という企業理念を挙げ、この理念を単なる理想ではなく本気で実現するために取り組んでいます。

 「理想論」で終わりがちな経営理念ですが、五嶋さんはどのようにこれを実現させてきたのでしょうか。ご本人にお話を伺いました。

―― 『儲けることばかり考えるな!お客様が涙で感動する仕組み――売上150%アップは当たり前 住宅販売全国1位の秘密は「皆生感動システム」』についてお話をうかがえればと思います。まず、本書をお書きになった動機からうかがえますか?

五嶋 僕が経営している「リアンコーポレーション」で実践している「皆生感動システム」が、思ったよりもお客さんや関係する方々に喜んでいただけたということが最初にあります。そんなに喜んでもらえるなら、社外にもっと広げて、いずれは「業界のスタンダード」になればいいなということですね。

 ただ、「ノウハウの提供」に当たるので、この本を出すにあたってスタッフが嫌がったのは確かです。住宅の営業というのは、1人年間6〜7棟売れば合格点という世界なのですが、僕たちのノウハウを使って年間60棟以上売れたという実績もあります。それをなぜシェアしないといけないのか、という声はありました。

―― 住宅を年間60棟以上売るというのは、確かにものすごい成果ですね。

五嶋 確かにすごいことなのですが、そのノウハウを僕らだけで特権的に持っているよりも、世の中に広めて、工務店さんだとか不動産会社だとか、この業界のスタンダードにする方が「やりがい」は得られます。そういうことで、本の形にしてまとめたというのが動機ですね。

―― となると、読者としては「業界」の方々を想定されているのでしょうか。

五嶋 業界の方々もそうですし、やはりこれから家を建てようと思っている方や住まいを選ぼうとしている方々にも、不動産の「目利き」をしていただくために読んでいただけたらいいなと思っています。

―― リアンコーポレーションのノウハウを「業界のスタンダード」にしたいとおっしゃっていましたが、今の「スタンダード」とはどのようなものですか?

五嶋 例えば、賃貸の物件を探して不動産屋さんに行きますよね。そうすると担当者が出てきて、こちらの要望を聞いたら間取り図を書いた紙を3枚くらい並べます。そして、「どれにしますか?こっちの物件は人気なので、今日にでも決めてもらった方がいいですよ。明日まで残ってないと思います」と。やることといったらこれだけです。

 賃貸だけでなく、土地を買う時も基本的には同じです。何千万円の買い物なのに、平気で「明日まで残っているかわからないから今決めろ」ということを言ってくる。こういうのが今の「業界のスタンダード」なんです。これを僕は間違っていると思っています。だって、住んでみないと分からないことってたくさんあるんですよ。近くに騒音を出す家があったりとか。

―― 不動産業者は土地の売買の時点では、そういう情報をお客さんに説明しないのですか?

五嶋 説明しないというよりも、不動産業者も周辺の情報までは知らないんですよ。ただ、土地にしても不動産にしても「早く転がした方が売り上げになる」という考えがあるのは確かです。手早く決めてもらって契約書を書いてもらって、重要事項説明書の内容を説明するだけで売買価格の「3%+6万円」の媒介手数料が入るわけです。こんなアコギな商売はありません。こんなことがいつまでも続くわけがない。

 だから僕らは、不動産の売買をする時、そこに住むに当たって必要な施設、例えば耳鼻科、小児科、歯科といった各病院だとかコンビニ、銀行、郵便局、学校、バス停の場所と時刻表など、あらゆることを調べ上げて、全部お客さんに教えます。

 もちろん近所にどんな人が住んでいるかも全部僕らが訪問して調べる。その上で金額を出してお客さんに選んでいただきます。調べる分僕らの仕事はすごく増えますが、絶対にお客さんのためにはなる。それなら、そちらを「業界のスタンダード」にした方がいいはずです。

―― 今おっしゃったような、顧客や従業員の満足度を高めるためのノウハウが、本書で明かされている「皆生感動システム」です。このシステムについて改めて教えていただいてもよろしいですか?

五嶋 「皆生感動システム」というのは、自分たちの仕事に関わる人みんなが感動でつながっていくというシステムです。

 売り上げが伸びているときは忘れられがちですが、従業員が泣いているかもしれませんし、お客さんが全く満足していないかもしれません。あるいは業者さんや職人さんに払うお金を叩きに叩いているかもしれません。たとえ売り上げが伸びていてもこういう会社は続きません。なぜ分かるかというと、僕もかつてはそちら側にいたので。

―― その辺りのの五嶋さんのこれまでの道のりは、本の中で非常に印象的に書かれていました。

五嶋 当時はやりがいを感じるような仕事は全然していませんでしたね。ただただ私利私欲のためというか、お金のため、売り上げのために働いていましたし、部下に「売り上げが立たないなら寝ないで働け」というようなことも言っていました。でも、そういうやり方はもって3年か4年です。

 それなら、細くても長く続くように、従業員がやりがいや生甲斐を感じるような仕事にすべきだと今は思っていますし、お客さんには喜びと感動を嘘偽りなく提供したい。それに、実際に家を作る職人さんにも、手がけた仕事を誇りに思ってもらいたいんです。例えば、職人さんは、自分の建てた家を見ないんですよ。

―― 建てる作業をしているのに「見ない」とはどういうことですか?

五嶋 彼らはある現場が終わったらすぐ次の現場に行ってしまいますから、自分の作業の結末を後から見返すことはないんです。もっといえば、自分が今誰の家を作っているのかも分かっていません。これではやりがいもプライドも持てないでしょう。これも一つの「業界のスタンダード」なんです。

 いい家を建てるためにも、やはり職人さんたちには、自分の建てた家が誰の家で、どんな風に仕上がったのかを知るべきです。そこで、僕たちが始めたのが、お客さんと初めて出会った場面から家が建つまでの工程の全てを映像で記録して、そのDVDを職人さんも含めた関係者全員に配るということなのですが、これを始めてから職人さんたちの仕事はすごく変わりましたね。やはり、自分の技術が家を建てる人に喜びと感動を与えていることが見えるのは大きいんです。

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