セルフパブリッシングのすそ野拡大を――『月刊群雛』の日本独立作家同盟がNPO法人化

» 2015年02月24日 16時00分 公開
[西尾泰三,eBook USER]
鷹野凌氏 鷹野凌氏。eBook USERでもストアガイドをはじめ多数の寄稿を手掛ける

 個人の出版支援やそこに存在するノウハウの共有を目的として活動する任意団体「日本独立作家同盟」は2月20日、4月にもNPO法人化する予定を明らかにした。

 日本独立作家同盟は、英国で2012年に設立された「Alliance of Independent Authors」に着想を得て2013年9月に鷹野凌氏が立ち上げた任意団体。これまで、オンライン上で情報交換するコミュニティーの運営や、電子雑誌『群雛』(ぐんすう)の定期刊行などを手掛けてきた。

 同日に開催された説明会では、団体の発起人・代表で、NPO化後には理事長に就任する鷹野氏が登壇。鷹野氏は群雛について、収益の9割以上を参加者に配分するなど、「まったくもうかっていない。そもそももうかる仕組みになっていない」(鷹野氏)ことなどを紹介しつつ、もうけることを目的とせず、それでいて取り組みの継続的な発展を担保するために、企業や行政が提供している支援プログラムの適用なども受けられるNPO法人化を図るのだと説明した。なお、ジャンルは少し異なるが、同様の取り組みとして、人文・社会科学領域でNPO法人ratikが2013年に設立されている。

群雛2015年3月号 群雛2015年3月号

 活動としては、これまで行ってきたオンライン・コミュニティーの運営や、定期刊行している電子雑誌『群雛』(ぐんすう)を継続的に発展させるとともに、セルフパブリッシング関連のWebメディア事業やセミナー・勉強会事業を予定する。このほか、群雛のバリエーション(『漫画群雛』『実話群雛』など)を増やすことや、作家と編集者、あるいは企画と出版社をマッチングする出版エージェント的な事業も検討しているという。同団体の活動を支援する正会員と賛助会員の募集も開始しており、正会員は年会費1万円、賛助会員は年会費が1口5万円。

 インディーズ出版を盛り上げたいと口にするだけでは何も変わらない。だから、実際に行動を起こすことは重要だ。しかし、個の力だけでは立ちゆかないことも出てくる。ゆえに、群れをつくって力を合わせるのは、『群雛』の創刊時に鷹野氏が寄せた言葉と重なる。個人でも作品を容易に出版できるようになった今日、その先にある課題を感じ取り、動き出した雛たちは、新たなムーブメントの一翼を担うのかもしれない。

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