インタビュー
» 2015年01月15日 10時55分 UPDATE

人気研修講師が実践する“考えるときに気をつけること”

研修講師一筋25年以上のベテラン・潮田、滋彦さんに思考術についてのお話を伺いました。

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新刊JP

 ビジネスにおいて考え方を身につけるということは、ビジネスパーソンとしての基礎を身につけることに値する。

 ロジカルシンキングや常識の枠から抜け出すための思考術など、身につけておけば必ず役に立つものなのだ。

 『“思考停止人生”から卒業するための個人授業』(ごま書房新社/刊)は研修講師一筋25年以上のベテラン・潮田、滋彦さんが、読者であるあなたのために、思考術の個人授業を行ってくれる一冊。ロジカルかつ自由奔放に考えるための方法が解説されている。

 今回は著者の潮田さんをお招きし、どうしてこうした思考術が必要なのか、どのようにすれば身につくのか、お話をうかがった。

(新刊JP編集部)

研修講師が実践する「人への教え方」

人気研修講師が実践する“考えるときに気をつけること” 人気研修講師が実践する“考えるときに気をつけること”

―― 潮田さんはこれまで25年以上にわたり研修講師としてご活躍されてきましたが、研修講師になったきっかけを教えていただけますか?

潮田 きっかけは大学生のころにしていた塾講師ですね。地元の小さな進学塾なのですが、小学生のころに通っていたところで、たまたま街で校長先生と出会い、「小学生のころ、成績良かったのだし、(講師を)やってみないか?」と勧誘されまして(笑)。

 普通、塾講師は問題集をコピーしてそれを生徒に解いてもらうというやり方をするのですが、私はその方法では身に付かないと思い、英語の問題集をすべてオリジナルで作成して生徒にやってもらっていたんです。そのときに人に教えることの楽しさを知ったのが原点ですね。

 そして、そのエピソードを小耳に挟んだ会社の人材開発の部門長が「講師をしてみないか」と私を引っ張ってくれて、講師を実際に始めたのですが、人に教えることを通して自分自身も成長できますし、天職だと思っています。

―― 何でもそうですけど、人に教えるのは難しいことですよね。

潮田 すごく難しいと思います。でも、だからこそやりがいがありますよね。

―― その中で分かりやすく教えるために気をつけていることはありますか?

潮田 気をつけていることは3つあります。1つ目は分かりやすく実感できる研修にすることです。「なるほど、これは使えるな」と思ってもらうんです。「納得」はとても価値のあることなんです。

 2つ目はロジカルであることと同時に、感性に訴えることも大事だということです。ロジカルに説明をしなければ納得できない人もいれば、小難しくいわれるのが嫌だという人もいます。全員に分かってもらうためには、ロジカルも感性も両方大事なんですね。どちらもできれば、全ての人の心にフィットできます。

 3つ目は臨機応変にやることです。研修は生き物で、同じプログラムを立てていたとしても、一度も同じようには進みません。受講者が違えば問題意識も違います。そのときに求められているベストをすることを心がけています。

 この3つに気をつけているのですが、研修が終わったあとに、「学ぶって楽しいな」と思ってくれればありがたいですね。

―― 大部屋の中で100人もの受講生を前に研修を行うこともあれば、8人くらいの比較的に少数で行うこともあると思いますが、気持ちは違うのですか?

潮田 いえ、思いは同じです。何人いても、結局は1対1の対話です。一人ひとりに語りかけることが大事なので、何人受講者がいても、気持ちは同じですね。

―― この『思考停止人生から卒業するための個人授業』は、個人授業というタイトルの通り、「先生」と「ヤマダくん」の個人レッスンの形式で展開されます。この2人のキャラクターにモデルはいるのですか?

潮田 面白い質問ですね(笑)。「先生」は私自身がモデルなのですが、「ヤマダくん」は昔の自分であり、研修で出会う受講生であり、一般的な世の中の人たちです。いわゆる、先生への突っ込み役ですね。

―― 「ヤマダくん」の言葉に昔のご自身や、研修の受講生たちの声が投影されているわけですね。

潮田 そうですね。「先生」の言葉をそのまま鵜呑みにしてもいけない。自分で考えることが大事です。「ヤマダくん」には、みんなが多分突っ込みたいだろうなと思うところで突っ込んでもらっています。彼がいることで、より深く物事を考えられるようになる。そんな役割があります。

―― 本書ではロジカルシンキングともう1つ、自由に考える方法を教えてくれますよね。このうちのロジカルシンキングは、ノウハウとして覚えたいと思って本を読んだりする人も多いと思うのですが、なかなかそれを使うというところまでいかないように感じます。

潮田 考え方のノウハウは使ってなんぼなんですよね。知っているだけでは意味がありません。知ることで、新しいことができるようになる、日々の生活の中の問題を解決する。そこまで使いこなせなければ宝の持ち腐れです。使いこなせないと頭を整理して物事を伝えられないし、ピントもブレてしまいます。

―― 本書の中に出てくる「MECE」なんかも、「分ける」ということは知っていても、具体的にどうすればいいのか分からなければ使えない。

潮田 そうなんですね。研修を通して難しいケーススタディを解いてみても、自分の職場の中で使えるように落とし込んでいかないと意味がないんです。

 MECEはとても分かりやすい思考法です。日常の中にもたくさんありますよ。例えば、午前と午後、月火水木……といった曜日。これもMECEですね。実はMECEは生活に密着しているものなんです。物事をしっかり分けられていないと混乱してしまい、情報を整理できなくなってしまいます。

 すっきり整理することでメッセージを伝えることができたというような、身に染みて分かるような経験があれば、一気に自分のモノにできるんです。そうなれば使えるようになる。自分とは関係ないと思われると、なかなか身に付かないですね。

「思考停止」から抜け出すための方法とは?

「思考停止」から抜け出すための方法とは? 「思考停止」から抜け出すための方法とは?

―― 『思考停止人生から卒業するための個人授業』はご自身の研修をイメージして書かれたのですか?

潮田 そうですね。先ほどもお話したように、受講生の方々が私にいろいろな意見や疑問をぶつけてくれます。グループ討議や発表のときもそうだし、研修が終わったあとに話しかけられたり。そうした生の声をかなり反映しています。「ロジカルといっても、難しいよね」とか(笑)。できるかぎりリアルな声に応えたいと思って書きました。

―― 本書のタイトルに「思考停止」という言葉が入っています。これは重要なワードだと思うのですが、「思考停止」とはどのような状態を指すのですか? また、どうして「思考停止」になってしまうのでしょうか。

潮田 「思考停止」は自分の頭で考えることを放棄している状態ですね。なぜそうなってしまうかというと、思考を停止していた方が楽だから。もしくは、そうしていた方が楽だと思う人がいるからです。

 言われた通りにやっておけば楽だと思う人もいるだろうし、自分で調べることが面倒だと思っている人もいるでしょう。それはそれで一つの生き方だと思うけれど、それでは成長できませんよね。成長を諦めることは、自分に対して失礼なことだと思います。自分の頭で考えることは素晴らしいことだと伝えたいですね。

―― 確かに「もう無理です」とか「忙しいからできません」はその後がないですよね。

潮田 そうなんですよ。そこでストップしてしまえば先のことを考えなくて済むから楽なんです。でも、考えることが習慣化されていれば、その方が楽です。

―― 「思考停止」状態から抜け出すにはどうすればいいのでしょうか。

潮田 1つは、物事を鵜呑みにしないことです。「当たり前」から抜け出すことですね。専門家が言っていることも、今現時点での見解であって、5年、10年先はどうなるのか分からないわけですから。

 また、思い付いた小さなアイデアを自分で認めてあげる、OKを出してあげることが大切です。実は私たちは自分をほめることが苦手で、何かひらめいても「大したことない」と自分を否定してしまうことが多いんですね。自分を認めてあげることはすごく大切です。そうすると自分自身もノッてきますから。

 もう1つは、記録に残すことです。この本でもメモの取り方を書いたのですが、アイデアは残さないと消えていってしまうものです。本書では「アイディアエクササイズノート」としてご説明していますが、考えていることを記録として書き溜めて残していくと、1年くらいするとアイデア同士が結びついて広がりが出てくる可能性があります。

 この3つはとても簡単にできますが、やるかやらないかで大きく違ってくると思いますね。

―― 本書は周囲への影響力の持ち方についても触れているのが特徴だと思いました。

潮田 これは私の研修の一貫したテーマなんです。リーダーシップを執る人やマネジメントをする人にとって、周囲の人たちとのコミュニケーションはとても大事です。うまく影響力を発揮できなければ、組織として成長できませんから。

 ただ、影響力を発揮するためには、自分自身の頭がすっきりしていないといけません。そのためのツールとしてロジカルシンキングがあるのです。情報整理の質が高まって、自分の言いたいことを的確に伝えられるようになり、コミュニケーションのコストも一気に改善します。

 また、固定観念という枠から外れるのも大切です。私は研修でいろいろなテーマで講師をするのですが、一貫したテーマはまさに「影響の与え方」なんですね。

―― この表紙を見たときに非常に気になった点が一点ありまして、潮田さんの下の名前の前に「、」がつきます。これは一体なんでしょうか?

潮田 「、」ですか(笑)。これは理由が4つありまして、その1つが自己暗示効果ですね。自分で調べた結果「、」を入れると最高の仕事運が手に入ることがわかって10年前から入れるようにしたんですが、その後仕事は驚くほど右肩上がりなんです。自分の仕事運は最高だ!という自己暗示がかかっているのだと思います。また、他の3つの理由はぜひ私の研修で聞いてください(笑)。意外な理由もあるかもしれませんよ?

―― 本書をどのような方に読んでほしいとお考えですか?

潮田 結論からいうと、すべての大人です(笑)。もう少し具体的に言いますと、まずは成長意欲の高いビジネスパーソンですね。絶対に役に立つはずです。2つ目はなんとなく日々を無為に過ごしていると自覚のある人たちです。3つ目はマネージャーやリーダー、親といった影響力がある人たち。4つ目が若手のビジネスパーソンです。やはり若い人は頭が柔らかいですから、若いうちにこうした考え方を身につけるとすごく武器になると思います。また、人間は何歳になっても成長できるということで、会社をリタイアされた方にも読んでほしいですね。役立ちます。

―― 最後に、このインタビューの読者の皆様にメッセージをお願いします。

潮田 私がお伝えしたいのは、人は気づいたときから成長をすればOKだということです。今、壁を感じていて上手くいかないと悩んでいても、未来もずっと壁があるわけではありません。現状維持になっている自分に気づいて、壁を越えて成長できるように動くことで、実際の成長につながります。そして、気づいたときから積み重ねていけば、とても大きなものになります。

 人生の長い時間の中で、0.1%でもいいから前に進もうと思えるかどうか、それが大きな差になりますので、ぜひこの本を読んで実践してほしいですね。

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