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» 2014年12月29日 11時00分 UPDATE

バンドル型だからビギナーにもやさしい、大日本印刷の「honto pocket」を使ってみた

12月11日に大日本印刷が販売を開始した「honto pocket」。コンテンツはあらかじめインストールされており、電子書籍リーダーに不慣れな人でも扱いやすい製品となっている。

[宮澤諒,eBook USER]

 大日本印刷(DNP)が12月11日に発売した読書専用端末「honto pocket」。全集や作品集などをプリインストールした専用端末として、過去にも東京国際ブックフェアで展示されていたものだ。

honto pocket honto pocket

 現在のところ、取り扱いは丸善丸の内本店、丸善日本橋店、丸善お茶の水店、ジュンク堂池袋本店。数量限定で販売しており、2015年1月以降は、ハイブリッド書店サービス「honto」のネットストアでも発売予定だという。

 第1弾は早川書房の作品とセットになっており、100冊を収録した『アガサ・クリスティー全集』や、43冊を収録した『名探偵ポアロ・シリーズ』など5商品が用意されている。価格は9800円〜7万4800円で、紙の本で全巻そろえるのと比べると20%ほど安価に設定されている。2015年2月、4月にはそれぞれ文芸作品5パッケージの発売も予定されている。

パッケージ名称 セットコンテンツ数 価格(税別)
アガサ・クリスティー全集 100冊 7万4800円
名探偵ポアロ・シリーズ 43冊 3万2800円
エラリイ・クイーン選集 27冊 1万9800円
ホームズ&ルパン 名作競演集 14冊 9800円
グイン・サーガ全集 上巻 80冊 3万9800円

コンセプトは「誰にでも読める・使える」、機能は必要最小限

 honto pocketは、コンテンツと専用端末がセットになったもの。電子書店で作品を購入・ダウンロードするなどの手間もなく、電源を入れればすぐに作品を読むことができる手軽さが魅力だ。

 その仕様は一般的な電子書籍の専用端末とは一線を画している。今日の電子ペーパー端末が備えるようになったフロントライトや防水機能は備えないし、Wi-Fiなどの通信機能をはじめ、外部とのインタフェースも存在しない。だから、コンテンツの追加や削除はできないし、将来的なファームウェアのアップデートなども想定していない非常に割り切った仕様となっている。

 そうして割り切った部分の多くは、人によっては電子書籍を利用する上でのハードルとなりやすい部分でもある。DNPは、一般的な製品やサービスで十分にターゲットされていない層、例えば高齢者や障害者、外国人などの利用も想定したデザイン、いわゆるインクルーシブデザインを取り入れ、本好きのための“電子の本”として訴求しようとしている。

 なお、故障した場合は、保証期間内(購入から1年以内)であれば端末を交換し、コンテンツを入れた状態で代品を発送するとしている。保証期間後は、honto pocketお客様センターまたはDNPの問い合わせフォームから問い合わせする必要がある。

これがhonto pocketだ

 honto pocketの画面は5インチ。E Ink電子ペーパー(800×600ドット)。製品の大きさは最大突起部含め幅112.5ミリ×高さ144.0ミリ×奥行き21.0ミリ、重量は約130グラム。前述のようにフロントライトやWi-Fiなどバッテリーを消費しやすい機能が存在しないこともあり、単三乾電池2本で動作する。連続使用時間は1ページ30秒表示で約3000ページ以上だ。

 ページめくりなどすべての操作は画面の下にある3つの物理ボタンで行う。幾つか写真とともに紹介していこう。

外箱はハードカバーを模しており、本棚に置いてもなじむデザイン 外箱はハードカバーを模しており、本棚に置いてもなじむデザイン
rmfigh1.jpg 外箱を開いたところ。物理ボタンは3つで、左右が主にページを進めたり戻したりするのに使用。真ん中のボタンは決定や、メニューを開く際に使用する

rmfigh3.jpg 本体横に電源のスライドスイッチ。2秒以上下に引くと電源のオン/オフ、一度軽く引くとスリープ状態になる
rmfigh4.jpg スリープさせた状態

rmfigh5.jpg 本体裏面。単三電池が入る下部は丸みを帯びている
rmfigh6.jpg 乾電池はここから入れる

rmfigh7.jpg 作品一覧。1ページずつしか移動できないため、作品数が多いと選択に多少時間が掛かる
rmfigh8.jpg 機能一覧。読書に必要な機能は一通り備わっている。書体はDNPオリジナルの書体「秀英体」を採用

rmfigh9.jpg 文字サイズは1〜7まで変更可能。こちらは最小サイズの1
rmfigh10.jpg こちらは最大サイズの7


honto pocketを使用してみて

 まだラインアップこそ少ないが、数十冊、数百冊にもなる全集を、わずか130グラムのリーダーに収納して持ち歩くことができるのはありがたい。画面解像度などは他社のハイエンドモデルなどと比べると明らかに劣るが、利用してみて読みづらさを感じることはなかった。

 物理ボタンは、書籍選択で多少のわずらわしさを感じたが、読書の際に特に押しづらいこともなく、また乾電池が入るスペースに指を引っ掛けることで片手で読むことも苦にはならなかった。

 誰にでも使えることをコンセプトにしていることもあり、普段から電子書籍リーダーやタブレットを利用して電子書籍を読んでいるユーザーにとっては物足りないところもあるかもしれないが、「電子書籍を読む」ということだけに目線を向けると、十分にその役割を果たしている製品だといえる。

 好きな作家の全集をそろえて本棚にズラリと並べているという方は少なくないだろう。ただ、それを持ち出して読む、ということは少ないのではないだろうか。まして、何冊も持ち出すことはまれだろう。honto pocketは、そうしたものを先進的すぎない形でデジタルとして手軽に扱えるようにしている。外箱がハードカバーを模していることもあり、紙の本と同じように本棚に並べてコレクションする楽しさも味わえることだろう。シニア層への贈答などにも向くかもしれない。

 作品のラインアップが限られるのが現時点の最大の課題だが、DNPでは今後、その拡充を図りつつ、法人向けなどBtoB向けの展開も視野に入れているという。端末がメインではなく、コンテンツに端末が付いてくるこの形態がどのような広がりを見せるのか期待したいところだ。

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