本屋探訪記:大人も楽しめる子どもの本屋「メリーゴーランド京都」

BOOKSHOP LOVER=本屋好きがお届けする詳細な本屋レポ。本屋が好きならここに行け! 大阪から京都に場所を移して大人も楽しめる子どもの本屋「メリーゴーランド京都」を紹介。

» 2014年12月27日 12時00分 公開
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 「メリーゴーランド」。何てメルヘンチックな名前だろう。「子どもの本屋」と銘打たれたこの店。調べてみると三重県に本店があるらしい。その京都店が今回訪問した店である(以下は2014年2月11日の記録だ)。

寿ビルヂング

 場所は阪急電鉄京都本線の河原町駅から南に徒歩5分ほど。「寿ビルヂング」と右から左に読むような時代ものの趣あるビルの5階だ。古いといってもエレベーターはある。5階に上り木製のドアを開けて店内に入るとBGMのない静かな空間が広がる。

 入って正面が本屋で右手がギャラリー。このときは小林エリカ『忘れられないの/光の子ども』原画展が開催されていた。本やCD、Tシャツなど関連商品も販売しているのが素晴らしい。

 本屋空間はほぼ真四角で、中央には面陳台。この台、手前側は面陳だが裏に回り込むとボックス棚となっており、上部もブックエンドを利用した本棚となっている。当然かもしれないが子どもにはここが一番ウケていた。何と言っても「子どもの本屋」なのだ。一番子どもウケが良い本を一番目立つ場所に並べるのは当然だろう。だが僕は、ボックス棚のアート系とカルチャー系の本が絶妙に混ざり合っているのが一番好きだった。

 壁はほぼ棚。天井近くまであるタイプなので梯子付きである。本屋探訪記では何度か述べたが本棚と梯子の組み合わせは最高なのだ。面陳も駆使されているし、本棚に囲まれる形で雑貨が置いてある。窓があるので低い本棚も使い、その上部を平台として利用するなど工夫されたつくりとなっている。

子どもの本だけではない品ぞろえ

  子どもの本専門店「メリーゴーランド」には子ども向けの本がたくさんある。それは当たり前だ。だからこそ、僕は大人向けの本のセレクトの絶妙さを賞賛したい。

 例えば、『不思議を売る男』『火の悪魔』といった児童文学や『たくさんのふしぎ傑作集』などの絵本のほかにも『南方熊楠菌類図譜』、『バーボン・ストリート・ブルース』という大人が読むような本が並べられているのだ。

大人も楽しめる子どもの本屋

 「子どもの本専門店」とは言ってもここはビルの5階だ。子どもが一人で来ることはほぼないだろう。親御さんと一緒に来るはずだ。

 そんなとき、子どもが絵本に夢中になっているとき。大人はどうしたらいいだろう。ここメリーゴーランドではそんな大人たちが眺めても楽しい本棚がある。

 「大人も楽しめる子どもの本屋」――メリーゴーランドは子ども連れから絵本好きの大人、さらには古ビル好きにもオススメできる素敵本屋なのである。

著者プロフィール:wakkyhr

本屋開業を目指す本屋好きサラリーマン。ブログ「BOOKSHOP LOVER」を中心に活動。同名のネット古本屋も営み、「Cannes Lions 2013 Book Project」ではプロデューサーを務める。理想の本屋さんを開くべく本の世界で縦横無尽に活動中。好きな作家はクラフト・エヴィング商会。一番好きな本屋は秘密。

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