本屋探訪記:本棚良けりゃ飯もうまい! 大阪の鉄板本屋「スタンダードブックストアあべの」

BOOKSHOP LOVER=本屋好きがお届けする詳細な本屋レポ。本屋が好きならここに行け! 引き続き大阪編の今回は、あべのにあるスタンダードブックストアの新店を紹介。

» 2014年12月21日 09時00分 公開
[wakkyhr,eBook USER]

 僕の大好きな本屋「スタンダードブックストア」の新店。場所はあべの。天王寺駅から徒歩5分ほどのあべのHoopに「スタンダードブックストアあべの」はある(以下は2014年2月7日の記録だ)。

6階に昇ると木の香り

 エスカレーターで6階に上がると立ち昇る木の香り。白木に大きく「STANDARD BOOKSTORE」の文字があるDIY的雰囲気あふれる店舗のデザインは、関西を代表するデザイン集団grafによるものだ。

 grafはファッションブランドNe-netの店舗デザインなども手掛けている。スタンダードブックストアではよくイベントを開催しており、このあべの店オープン記念でも行われた。とても素敵な店舗である。

 エスカレーターを下りるとgrafによるインスタレーションが出迎えてくれる。この左側が本屋、右側がカフェ。スタンダードブックストアの他店舗に負けず劣らず広い。

本店の目玉にようこそ

 本屋は他店舗と同様に雑貨と本がシームレスに並べられている。旅や暮らしや食、DIY、文学、デザイン、アートなど品ぞろえも他店舗に近い。そこで、面白いのがやはり本棚のつくりや配置だ。grafによるセンスが光る組み合わせの妙。

 特にレジ前を少し奥に入ったところにある本棚は注目だ。門で囲まれた中心には背の高い階段状の本棚。見ているだけでもワクワクしてくる。「本店の目玉にようこそ」ってなもんである。

カフェコーナー

 次は入り口右側のカフェコーナー。

 このカフェは電源を提供している。大阪本屋探訪の最後に足を運んだ店だったこともあり、iPhoneの元気がなくなってきていたので喜んで利用させていただいた。同時に僕の元気もなくなりかけていたのでオムライスで補給。相変わらずスタンダードブックストアの飯は美味い。

 広さは(スタンダードブックストアの)心斎橋店ほどではないが茶屋町店より広い感じで、壁一面に貼り付けられた周辺地図が素晴らしい。国立本店にある地図を思い出させる。

スタンダードブックストアあべの店は地域を盛り上げる

 カルチャーな雰囲気を漂わせながらもオープンで、常に何か面白いことに出会えそうな場所。やはりスタンダードブックストアは素晴らしい。

 ところで、先に挙げた地図の話からをもう少し。

 以前紹介した国立本店は、「本を売らない本のコミュニティースペース」だったが、その活動の1つに、本を通して国立を活性化することを掲げている。だから、周辺地図を壁に貼っていた。スタンダードブックストアあべのも同じようなコンセプトなのではないかと感じる。

 実際、スタンダードブックストアあべののブログでは、地域と商店の関係をこのように表現しているのを後で見つけた。

あらゆる商店は地域に根差すべきでしょう。今回あべのではそれを特に重視したいと考えております。近頃とみに大阪以外で商売するイメージが薄れ、地元でやりたいことが増えてまいりました。今後地元の方々との連携を図ってまいります。そしてターミナルには沿線から集客することもさることながら、ターミナルから沿線に出向いていただくよう誘導する役目もあるのではないかと常々考えておりました。沿線から都心への一方通行ではなく、大阪の郊外の魅力を紹介する役目。

 店単体ではなく地域という単位で考えることができる。スタンダードブックストアの放つオープンさはそんなところから来ているのかもしれない。

著者プロフィール:wakkyhr

本屋開業を目指す本屋好きサラリーマン。ブログ「BOOKSHOP LOVER」を中心に活動。同名のネット古本屋も営み、「Cannes Lions 2013 Book Project」ではプロデューサーを務める。理想の本屋さんを開くべく本の世界で縦横無尽に活動中。好きな作家はクラフト・エヴィング商会。一番好きな本屋は秘密。

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