インタビュー
» 2014年12月18日 10時50分 UPDATE

活字嫌いが「速読」を身につけるための必須ポイント

誰でもできるようになる速読の方法とは。書籍『速読日本一が教える 1日10分速読トレーニング』の著者、角田和将さんにお話をうかがいました。

[新刊JP]
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 資料を読んだり、読書の概要を掴んだりと、忙しいなかで情報をインプットしないといけない場面は多々あります。こんな時、「速読ができればなあ……」と思ったことがある人は多いでしょう。

 ところで、「速読」というと、選ばれし天才だけが身につけられる能力のようなイメージがありますが、実はそんなことはないようです。

 『速読日本一が教える 1日10分速読トレーニング』(日本能率協会マネジメントセンター/刊)によると、普段の2倍〜3倍の速さで読むということであれば、トレーニング次第で誰でもできるのだとか。

 今回は、この本の著者である角田和将さんにお話をうかがい、速読を身につける際のポイントを教えていただきました。

活字嫌いが「速読」を身につけるための必須ポイント 活字嫌いが「速読」を身につけるための必須ポイント

―― 『速読日本一が教える 1日10分速読トレーニング』についてお話をうかがえればと思います。まず、速読というのは特別な才能が必要だというイメージがあるのですが、実際のところは誰にでもできるものなのでしょうか。

角田 「本をぱらぱらめくっただけで全ての内容を理解する」というようなレベルだと特別な才能がないとできないのかもしれません。ただ、「今よりも2倍、3倍くらいのスピードで読めるようになる」くらいのことであれば、基本的には誰でもできるものです。

―― 普通の人がトレーニングで到達できる限界というのはどの辺りなのでしょうか。

角田 本当に限界まで求めれば、ページをパラパラめくるだけで内容を理解できる人もいると思います。これまで見たなかで一番速い人は1ページにつき0.5秒くらいで読んでいましたね。僕も一番速かった時期はそのくらいで読めていたと思います。

―― その速さで読んで、内容の何割くらい理解できるのでしょうか?

角田 何割かというと難しいのですが、後で概要を説明できるくらいには理解できます。

 でも、これって特別なことではないんです。「1ページ0.5秒」は無理でも「1行0.5秒」だったらトレーニングでできるようになります。これでも、一般的な読む速度の2倍以上なんです。今まで本を一冊読むのに2時間から3時間掛かかっていたものを1時間ほどで読めるようになるというだけで、生活はずいぶん変わるはずなのですが、みなさん「速読」への期待が非常に高くて、それこそ「速読を身につければ、ぱらぱらめくっただけで内容が全部わかる」と考えがちなんですよ。それもあって、速読は「まがいもの」と言われることが多くて「信じるか信じないか」というものになってしまっています。

 でも、結局のところ速読はスキルですから、ちゃんとした考え方に基づいてトレーニングをしていけば誰でもできるものなんです。

―― 社会人になっても、活字がスムーズに読めない人は多くいます。こういった人が速く正確に文章を読むために、最初にすべきことは?

角田 本の中で書いているように、文章を「読むのではなく、見て内容を理解する」ということがポイントではないでしょうか。活字を追うのではなくページをビジュアルで捉える意識が大事なので、まずは「読むという意識をなくす」ことですね。

 活字嫌いでこれまであまり文章を読んでこなかった人というのは、変な癖がついていないので、コツさえ掴めばマスターは速いと思います。

―― 角田さんも、かつては活字嫌いだったそうですね。

角田 そうですね。活字を一文字ずつ追うような読み方をしていると、それこそ3行とか5行くらいで眠くなってしまうような感じでした。

 社会人になってから、必要があって速読を習いに行ったのですが、そこで「活字を一文字ずつ追うのではなく、7文字〜10文字単位のブロックとして活字を捉える」「内容が頭に入ったかどうかは置いておき、文字を認識できたら次のブロックに進む」という読み方を指導されたんです。それだと、文章を読む感覚が、活字を追っていた時とは変わるので、眠くなることはなくなりました。

 この本で紹介している速読の方法も、この読み方に基づいています。

―― 本書では、文章を読むのが遅くなる理由として「なぞり読み」を挙げられていますが、他にも読むのが遅くなってしまう悪癖がありましたら教えていただければと思います。

角田 頭の中で音読しながら読むことは、速く読むためには悪癖だといえます。活字を見ると反射的に頭の中で音読してしまう人は結構いるのですが、これでは中々スピードは上がりません。

 というのは、音読することで“音声化”している以上、「音声として聞き取れる限界」が「読むスピードの限界」になってしまうわけで、それだと割と早い段階で限界がきてしまうんです。

 これに対して、ビジュアル的に文章を捉える時というのは、頭の中で音声化されません。たとえば、レストランのメニュー表を読む時というのは、一つひとつのメニューの名前を頭の中で音声化することはありませんよね。ほとんどの人は、メニュー名をひとかたまりとして見てイメージを思い浮かべるはずです。文章を速く読むためにはこういう認識の仕方に変えていかないといけません。

―― ほとんどの人は小学校の国語の授業で音読を経験してきていますから、その時の読み方が癖として残ってしまっているのかもしれませんね。

角田 幼少期はそういう教育は大事で、言葉が持つ感覚的なものを朗読や音読で学んでいくのはいいことだと思っています。

 それに加えて、中学生や高校生になったら、文章をビジュアルとして見て理解するという読み方も知っておいたほうがいい。本当は両方できるのが理想なのですが、今の学校教育には「ビジュアルとして理解する読み方」を教わるポイントがないんです。僕自身、小学校でやった朗読が苦手で活字嫌いになったところがあるので、そうじゃない読み方もあるんだよということがわかれば救われる人もいるんじゃないかと思うんですけどね。

「速読のプロ」が教える 1時間で本を理解する方法

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―― 文章を読むということは、「速く文字を捉える」こと以外に「要点をつかむ」というスキルも必要になります。こちらのスキルについてはどんな鍛え方がありますか。

角田 速く読めば読むほど理解度が落ちるかというと、そうとも言えないんです。

たとえば、活字を追って丁寧に読んでいく読み方だと、最後の方まで読み進めた時には最初の方に書かれていたことを忘れてしまっていたりしますよね。

 でも、ページをビジュアルで捉えて素早く読める人は、最初に書いてあったことを忘れる前に最後まで読みきることができます。それに、同じ時間で2回3回と読めるわけですから、結果的に丁寧に1回読む人よりも理解度が高まることもあります。

 ここが速読のポイントで、速読を身につけても1回で全部理解できるわけではありません。普通に読む時の理解度は超えられませんし、それを求める必要もない。ただ、速く読めるようになることで繰り返し読めるので、深く理解しなければいけない時は、そうやって理解度を上げていくのが、速読というツールの使い方としては正しいのかなと思います。

―― 例えば、1時間しかない中で1冊の本を読んで、おおまかな内容を掴まなければいけないという時、角田さんはどのような読み方をしますか。

角田 今お話ししたような読み方をしますね。20分で一回読み切って、それを3回繰り返します。一回読んだ段階での理解度は、人にもよりますが30%くらいだと思うので、繰り返すことでそれを50%、60%と高めていくのが現実的ですね。

―― 求められているアウトプットによっても読み方は変わるのではないかと思いました。本の内容を把握するだけでいい場合と、要点を人前で話さなければならない場合で、読み方に違いはありますか?

角田 やはり「7文字〜10文字単位のブロックとして活字を捉える」という方法で、ページをビジュアルとして見ていくわけですが、書店で立ち読みをする時はこのブロックを10文字ずつとか、5行とか大きめに設定します。

 それに対して、後で内容を話さなければいけない時などは、ブロックを小さめに設定すると、スピードは落ちますがより細かく読んでいけます。

 僕の場合は、こうして目的に応じてブロックの大きさを変えることで、スピードのコントロールをしています。

―― 角田さんのやり方は「ページをイメージとして捉える」というものですが、速読には他のアプローチもあるのでしょうか?

角田 結果的に速く読めればいいわけですから、やり方は色々あります。

本の中で「読むのが遅くなる理由」として挙げた「なぞり読み」にしても、目を動かすスピードを純粋に速くすれば、これはこれで読むスピードは上がります。普通に歩くのを早歩きにするようなやり方ですが、こういうアプローチもある。

 極端な話、目の疲れをストレッチなどで取ってあげるだけでも、読むスピードが上がる人もいますし、やり方は色々で「このやり方じゃないとダメ」というのはないんです。

 ただ、読むスピードが2倍、3倍になったくらいでは、それほど速くなった実感がないんですよ。このあたりが、速読ができないという人が多い原因になっていると思います。速くなった実感がないから、これはダメだということでトレーニングをやめてしまったり。

 僕自身、10倍近くスピードが上がっていた時でも、速く読めている感覚はありませんでしたから。

―― でも、やはり読むのにかかる時間は短縮されている。

角田 そうです。なんだか今日は時間に余裕があるな、とか、気づいたら仕事が早く終わっていたとか、そういうところに効果が出てきますね。

―― 文章を速く読めることで、日常生活にどんなメリットがあるとお考えですか?

角田 情報収集が速くなるというのが一番でしょうね。どうしても時間を取られがちなところなのですが、この本で紹介しているような「文字をブロックとして捉える」「一度に見ることができる視野の範囲を広げていく」という方法でトレーニングをしていくと、膨大な量の情報の中から自分が求めているものを見つけて集めるという作業にかかる時間はかなり短縮できるはずです。

 それと、視力が上がったという声も僕のセミナーの受講者の方からいただいています。運転免許の更新の際の検査で、視野が狭くなってしまっているということで落ちてしまった高齢者の方がいたのですが、トレーニングをやっていただくことで視界の周辺のものも認識できるようになって、結果的に免許更新できたという連絡を先週いただきました。

―― 最後に、文章を読むのが苦手だったり嫌いだったりする人や、もっと速く読めるようになりたいと思っている人にアドバイスやメッセージがありましたらお願いできればと思います。

角田 文章を読むのが苦手だったり、活字が嫌いという人って、元々学校の国語が苦手だった人が多いと思いますが、今回の本で僕が紹介している速読というのは、国語の授業で教わるような読み方とはまったく違うものです。だからこそ試してみていただきたいですし、活字嫌いな人にこそ向いていると思っています。

 「速読」については、過度な期待を持たず、できることをできるぶんだけトレーニングしてみてください。それだけでも伸びるはずですし、伸びた分だけ時間に余裕が出たり、普段より早く仕事終わったりといった効果が出るようになるはずです。

(新刊JP編集部)

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