「死なせるもんか!」 封魔師と化け猫の友情がなぜ、かくも泣けるのか電子コミック・プチレビュー

『千邪の封魔師』は、少年マンガの王道とも言うべきバトルマンガ。主人公の封魔師と化け猫が、命をはって互いを守ろうとする姿は、泣けること間違いなしです。

» 2014年11月21日 10時00分 公開
[新崎幸夫,ハートコミックス]

 今回ご紹介する『千邪の封魔師』は、少年マンガの王道とも言うべきバトルマンガです。主人公は、妖怪退治をする「封魔師」の橘朔之進(たちばな さくのしん)。妖魔に困る人々を助けるだけでなく、妖魔の心をすら救おうとする、心優しいキャラクターです。

 その朔之進とともに活躍するのが、もう一人の主人公である白爛丸(びゃくらんまる)。「最強の化け猫」ですが、とある理由から朔之進のお札(=千邪札、といいます)に封じられています。妖魔との遭遇時には、封魔師である朔之進に「解封」してもらうことで、お札から出て戦うことができるのです。

こちらが橘朔之進。勇敢ですが泣き虫で、よく女性に間違えられます こちらが橘朔之進。勇敢ですが泣き虫で、よく女性に間違えられます
朔之進が千邪札を「解封」すると…… 朔之進が千邪札を「解封」すると……
ドンッ! 白爛丸が登場! その戦闘力は、極めて高いです ドンッ! 白爛丸が登場! その戦闘力は、極めて高いです

 面白いのは、妖魔を封じた千邪札を身体に「貼札」すると、その妖魔の能力を使えること。これによって主人公パーティは、さまざまな能力を使いこなして戦うのです。何やらRPGゲームにありそうな、ワクワクする設定ですね。

「炎尾」を貼札することで、炎の攻撃をすることができました

 朔之進と白爛丸は、バトルマンガの常として強い敵を倒し、仲間にしていきます。さらに強敵が現れ……という展開になるのですが、飽きがこないのは、やはり登場人物のミステリアスな「過去」が少しずつ明らかになるからでしょう。朔之進は哀しい過去を背負っていますし、白爛丸に至っては、驚くべき宿命を背負っている、といいますか……ここはぜひ、作品を読んで確認してください! そして2人は運命に導かれるように、皆が恐れる存在「シズミダタリ」の謎に迫っていきます。

「おまえは死ぬのではない…シズミダタリと一つになるのだ」。これ以上は、ネタバレになるので紹介できません! 「おまえは死ぬのではない…シズミダタリと一つになるのだ」。これ以上は、ネタバレになるので紹介できません!

 最大の見所は、朔之進と白爛丸の熱い友情です。日ごろは軽口を叩いていますが、ひとたびピンチを迎えると、2人とも命をはって相手を守ろうとします。片方が窮地に陥り、離ればなれになり、それをもう片方が救出にいく……というシーンがしばしば見られますが、その都度、読者としては泣きそうになります。そうです、このマンガ、かなり「泣ける」のです。

白爛丸にとって、あまりにも非情なセリフが投げかけられます。「朔之進は死んだ」 白爛丸にとって、あまりにも非情なセリフが投げかけられます。「朔之進は死んだ」

ダメだ…
ダメだ…!

オレのせいで死ぬなんて許さねえ…!

死なせない!
死なせるもんか!!

 絶体絶命のピンチに、白爛丸がとった行動とは? そして、最強最悪の存在・シズミダタリとはいったい、何者なのでしょうか。特に最終巻の盛り上がりは、個人的にぜひ読んで頂きたいところです。続きを読みたい方は、ぜひ作品を手に取ってください。現在ハートコミックスなどで全9巻、基本無料にて読むことが可能です。

ハートコミックスのアプリはこちらから

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.