BOOKSHOP LOVER=本屋好きがお届けする詳細な本屋レポ。本屋が好きならここに行け! 今回は大阪市・阿波座駅そばの「オン・ザ・ブックス」を紹介。
以前は大阪市・天満橋にあったのだが、4年ほどした後、今の場所に移ったらしい。場所は市営地下鉄中央線・阿波座駅から徒歩5分ほど。江之子島文化総合芸術センターの地下1階。それが今回尋ねた古本屋「オン・ザ・ブックス」だ。
この立地。アート系の取り組みが多い建物の中というのは素晴らしい。店主に聞いてみると、縁とタイミングが重なって声が掛かったのだという。人生何が起こるか分からないものである。店主もありがたいお話だったと喜んでいた。
正面奥のレジカウンターで左に折れ曲がるカギ型の店舗には、ボックス型の本棚と平台が並び、入り口からは直接見えないレジ左側の空間には、飾り棚やアンティークの棚と机などがある。
店舗に入ってすぐ目に付く場所にある平台は、古い漫画や雑貨本などが並び、さながらサブカル女子向けといった品ぞろえだ。特に『まぼろし城』『白バイボーイ』などは昭和前半の匂いがして堪らない。台湾のデザインショップ「品墨良行」のオリジナルノートや手ぬぐい、BICのノート、アロマキャンドルなどの雑貨も置かれ、サブカル女子向けと言いながらもポップさも残すチョイスが素晴らしい。
ごった煮本棚である。映画関連本やデザイン書、漫画、酒、建築、新刊雑誌、文芸、オカルト、旅もの。そして、なぜかの教科書。そのすべてが大まかなジャンル分けこそされているものの、ごった煮された本棚なのだ。しかも、ところどころに雑貨が混ざっている。謎のミントフレーバー・爪楊枝があったりとかして。
ところが、そんなのでありながらも、カオスになりすぎず選びにくいわけでもない絶妙なこの感じ。ぼくは好きだなあ。
ところが、店舗の奥にはここだけ雰囲気が違う机がある。何やら女子的品ぞろえ。店主に聞いてみると奥さんによる選書らしい。どおりでこの一角だけ雰囲気が違うわけだ。アンティークものの机や椅子の上に配置されるとどうも買いたくなってしまうんだよなあ。自分の中の女性的部分がくすぐられてしまった。
そんな絶妙にカオス(で一部、女子的)な本棚から6冊選んでみた。いやこれがけっこう面白い本があるのですよ。
江之子島文化総合芸術センター地下に移転したオン・ザ・ブックス。天満橋のころも遊び心タップリで素敵だったが、総合芸術センターという仰々しい場所に入ることで、さらにその遊び心というかごった煮感が強調されたように思う。
ハイソサイエティな文化施設でたしなむもつ煮的な。しかもそれでいて下品でないこの感じ。ぜひ直接行って確かめてほしい。ついでにミントフレーバーな爪楊枝を嗜みながら隣のカフェで寛いでいくとなお良い時間を過ごせるだろう。
本屋開業を目指す本屋好きサラリーマン。ブログ「BOOKSHOP LOVER」を中心に活動。同名のネット古本屋も営み、「Cannes Lions 2013 Book Project」ではプロデューサーを務める。理想の本屋さんを開くべく本の世界で縦横無尽に活動中。好きな作家はクラフト・エヴィング商会。一番好きな本屋は秘密。
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