ラストで泣かずにいられるか? 悟空が女主人公を守る「西遊記」電子コミック・プチレビュー

『Dear Monkey 西遊記』は、三蔵法師役のヒロインを、悟空が守る物語。仲間達とのかけあいが楽しく、それでいて泣ける、面白マンガです。

» 2014年11月07日 11時00分 公開
[新崎幸夫,ハートコミックス]

 今回取り上げる『Dear Monkey 西遊記』は、タイトルからもお分かりの通り「西遊記」をモチーフにした作品。いわゆる、主人公として三蔵法師がいて、その周りで孫悟空、沙悟浄、猪八戒が活躍する……というタイプのマンガです。

 本作の場合は、設定にちょっと工夫がしてあって、三蔵法師は普通の“玄奘”ではありません。実は、兄の玄奘を、事情があって追いかける“妹”こと、テンテンが主役なのです。さらに言えば、悟空はもっと設定が凝っていて、なんと×× の ×××なのですが……。この辺りは、実際に作品を読んで確かめてください。

主人公の御一行。悟空と猪八戒の見た目は普通ですが、沙悟浄(後列)まで女性キャラというのは、ちょっと珍しいかも
戦闘中の1コマ。ヒロインを守るヒーローって、なぜこんなに格好いいのでしょう

 西遊記といえば、妖怪との息詰まるバトル(!)が見どころ。悟空は、三蔵法師役のテンテンを必死に守りながら、激しく戦います。一方で、敵がいないときは沙悟浄・猪八戒との軽妙なかけあいもありますから、どこかコメディタッチで、楽しく読める作品に仕上がっています。

 個人的に気に入っているのは、3巻の後半に出てくる、猪八戒の恋のストーリー。舞台は悟空たちが滞在した、とある田舎町。猪八戒は右腕の武器を、鈴鈴(りんりん)という女発明家に預けます。兵器マニアである彼女の手によって、八戒の武器は超絶パワーアップ。さらに、鈴鈴の工房に足しげく通った八戒は、いつしか鈴鈴とイイ感じになってしまいます。なかなかやるじゃないかあ、八戒。

「ハッカイさんモテそうだもんね」という鈴鈴。こ、これは、もしかして気がある?
周囲から鈴鈴との仲を冷やかされ、真っ赤になる八戒。至福のひと時です

 しかし、この田舎町でも妖怪との戦闘が始まってしまいます。愛の力は無敵! とばかり鈴鈴を守り、敵をなぎ倒す八戒。改良された右腕の武器も絶好調で、炎で妖怪を焼き払います。そんな中、鈴鈴はそっと目をつぶり、八戒に語りかけるのです。

あたしも一緒に……
天竺行こうかな

え……っ
バ バカ何 言ってんだ

そしたらハッカイさんの
腕が壊れても
いつでも直してあげられるよ

 こんなもん……。フラグでいったら、「悲劇フラグ」以外の何物でもないじゃないですか!! はたせるかな、この後八戒にとっては、切なすぎる展開が待っています。彼の恋の行方はどうなるのか? 気になる貴方は、ぜひ作品を手に取ってみてください。

 それからもう1つ! このマンガは、ラストが非常に泣けます。連載の終わり方が今イチだった、という作品も世の中にはありますが、本作の最終話は、なんというか、とても綺麗なのです。そこもぜひぜひ、読んでみてください。Dear Monkey 西遊記は現在、ハートコミックスなどで、基本無料にてご覧頂けます。

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