インタビュー
» 2014年10月28日 10時28分 UPDATE

子どもの未来を潰す「毒親」とは?

「毒親」の特徴と対応策とは。毒親カウンセラーの影宮竜也さんにインタビューを行いました。

[新刊JP]
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 いつでも子どものことを考えて、愛情を注ぐのが親というもの。しかし、中には暴力や虐待、過剰な干渉などによって、子どもを自分の支配下に置こうとする、ひどい親もいます。

 『毒親からの完全解放― 本当の自分を取り戻して幸せになる7つのステップ』(アチーブメント出版/刊)の著者、影宮竜也(かげみや・たつや)さんも、こんな「子どもを支配しようとする親(毒親)」に育てられた一人。

 現在は毒親カウンセラーとして、毒親の下で育った人(毒親育ち)たちの自立のサポートをしている影宮さんですが、いったいどのように「毒親」の問題を解決したのでしょうか。「毒親」の特徴や行動の傾向とあわせてお話をうかがいました。

―― 『毒親からの完全解放(本当の自分を取り戻して幸せになる7つのステップ)』についてお話をうかがえればと思います。これまでにも、子どもを自分の支配下に置こうとする「毒親」を取り上げる本はありましたが、女性目線で女性を対象に書かれたものが多かったように思います。でも、「毒親」に育てられた人は男女問わずいるわけですよね?

子どもの未来を潰す「毒親」とは? 子どもの未来を潰す「毒親」とは?

影宮 そうですね。ただ、男性の方が表に出にくいというのはあります。だから、今回の本では毒親に苦しめられているすべての人を対象にしています。

―― また、これまでの「毒親」に関する本は、「こんなにひどい親がいる」という事例を挙げるのが主でしたが、この本ではそういった親との間の問題の解決法にまで踏み込んでいますね。

影宮 わたし自身も「毒親」に苦しめられてきたのですが、親との関係で参考になる本がありませんでした。本当に親との関係に苦しんでいる人は、問題を解決したいわけですから、事例だけ挙げた本では不十分だと思ったんです。

―― 本書を読んで気になったのが「毒親」のメンタルについてです。彼らは自分の子育てがまちがっているとは思わないのでしょうか。

影宮 正しいとも間違っているとも思っていないでしょうね。子育てにはマニュアルがないので、自分が育てられたように子どもを育てるんです。

 だから、両親のネグレクトによって育った子は、自分の子どもに対してもネグレクトで育てるか、反対に過干渉になってしまうかどちらかです。かかわり方が極端になるんですね。

―― 親であれば、「自分の子育ては正しいのか?」という不安からほかの親に相談することもあるかと思いますが、「毒親」はそういったことはしないのでしょうか。

影宮 悩むことがないんですよ。自分の行動に問題があると思っていないので、自分を顧みることがないんです。社会的ステータスがある家だとよりこの傾向は強いですね。

―― だとしたら、親は自分が「毒親」だと気づかないまま子育てを続けることになってしまいます。

影宮 「過干渉」などは特に自覚しにくいですね。過干渉の親は、傍から見ると「愛情深い親」に見えますし、子どもの方も「愛情を受けて育った」と思いがちですから。

 でも、過干渉で育てられた人は、大人になっても自分で何も決断できないことが多いんです。また、親離れしていませんから、結婚しても常に実家を頼ってしまったり、反対に実家の意見が家庭に入ってきたりして、夫婦間のトラブルになりやすい。

―― 本書には、さまざまな「毒親」のタイプが明かされていますが、基本的なところで「毒親」に育てられた子どもはどんな大人になってしまうのでしょうか。

影宮 「毒親」に育てられた人の特徴としてコミュニケーション力が低い人が多いというのはありますね。他者とのつきあい方というか距離感が分からないという。引っ込み思案になるか、ものすごく押し付けがましい人になるかという両極端に分かれます。

 人は親が自分に接したように他者に接しますから、高圧的に抑えつけられて育った人は、職場でも高圧的だったり、反対に抑えつけられるのが怖くて意見を発表できなかったりするわけです。こればかりは、自分ではなかなか変えることができません。

―― 子どもの側は、自分の親が「毒親」だということに気づかないのですか?「うちの親、何だかおかしいな」というように。

影宮 子どもからしたら、「自分の親は普通じゃないな」と気づいているんですよ。でも生まれてからずっと育ってきた家庭で、ほかを知らないわけですからどこがおかしいのか分からない。

 それに、親の自分に対する態度や行動について「嫌だな」と思ったとしても、それをどう解決すればいいかも子どもは分からないから、息苦しさはずっとあるわけです。他人だったら縁を切ってしまえばそれで済む問題でも、相手が親ではそうもいきませんから、「嫌だけどほどほどの関係でつきあっていこう」という方が大半ですね。

―― 「サイコパス型の毒親」のカ所は、一般的な親のイメージとあまりにもかけ離れていて衝撃的でした。こういった親の見極め方としてはどのようなものがありますか?

影宮 まず言えることは、自分が望んでいるのと違う行動を子どもが取った時は、徹底的に、それこそあらゆる方法を使って潰しにきます。

 普通なら、子どもの行動がどうしても意に沿わないのであれば、「そこまで言うなら」ということでそれ以上はかかわらないでしょう。でも「サイコパス型」の親は、どんな手を使ってでも子どもを自分に従わせようとします。

―― それは、暴力などによってですか?

影宮 肉体的な暴力は子どもが大きくなってくると通用しなくなりますから、精神的に陥れる方法を取ることが多いです。

 わたしの母がまさに「サイコパス型」傾向にある親だったのですが、裏でわたしを悪い人間に仕立て上げて、親族から孤立させようとしました。「自分は酷い息子を持ってかわいそうな人間だ」ということを親族一人ひとりに言っていくわけです。

―― 子どもからしたらたまったものではありませんね。

影宮 こちらは親がそういうことをするとは思いませんから無防備なんです。自分の目的を邪魔する人間は自分の子どもであろうと許さないというのは、「サイコパス型」の親の特徴としてあります。

親子の確執 縁を切るべきタイミング

親子の確執 縁を切るべきタイミング 親子の確執 縁を切るべきタイミング

―― 本書には、「毒親」との問題を解決するために、「親と決別する」という方法も取り上げられています。この方法は、子どもにとっても大きな痛みが伴うので、なかなかふんぎりがつかない人もいると思いますが、影宮さんは「決別するかどうか」という最後のラインをどのように見定めましたか?

影宮 わたしの場合は「もうこれ以上我慢ができない」という一点でしたね。勤めていた会社に乗り込んできて入口で押し問答になったり、電話を何度もかけてきたりといった状態でしたから、自分の身を守るという意味でも絶縁しました。

―― 決別するに当たって躊躇されることはなかったのでしょうか。

影宮 躊躇というよりも、罪悪感ですね。自分が親に対してやったことへの。

 「毒親」に虐げられて育った子どもは、常に「正しいのは親で、あなたはまちがっている。あなたが悪い」といわれて続けてきていますから、どんな問題が起きても「自分が悪いからこんな問題が起きたんじゃないか」と思う癖がついているんです。これが一番苦しいところですね。

―― 親と決別する時、障害となり得るものはありますか?

影宮 「決別しよう」と決めてしまったらもう障害はないんですよ。ただ「本当に親と縁を切っていいんだろうか」と迷っていると、なかなか一歩が踏み出せませんよね。

 わたしはこの本の中で、自分の状況について客観的に見るための「解毒ワーク」を紹介しているのですが、迷っているという方はやってみて欲しいと思います。自分が親にされてきたことや、それに対する怒りや憎しみをきちんととらえることができれば、決別するエネルギーが湧いてくることもあるでしょうし、エネルギーが湧いてこないならやめておけばいい。とにかく、これまで抑え込んで隠してきた本心を吐き出して把握することが大事なんです。

―― 決別するのではなく「距離を取る」という解決法もあるのではないかと思うのですが、この際ポイントになることはありますか?

影宮 基本的には、距離を置いても問題の解決にはならないと思っています。

 よく、「毒親」から逃れるために結婚するという人がいるんですよ。結婚すれば親とかかわらなくて済むんじゃないかということで。

 でも、多くの場合夫婦関係に亀裂が入ってしまいますね。なぜかというと、距離を置くだけだと親との接触はあるわけですから、親子の確執が結婚した家庭に持ち込まれてしまうんです。

 自分の親との問題を配偶者に相談しても、配偶者からしたら他人の家の問題ですから「親子なんだから仲良くしなよ」といいますよね。そうすると「夫(妻)なのに全然気持ちを分かってくれない」と配偶者に対して不満を持ってしまうわけです。

 それと、配偶者によっては何とか親子を和解させて、問題を解決しようとする人もいますが、これはやってはいけないことです。親との問題で苦しんでいる本人というのは、自分が親にされたことを消化できないからこそ苦しんでいるわけで、そんな状態で和解なんてできるわけがないですから。

―― もし親戚や知人に「毒親」に見える人がいたり、「毒親」に育てられている子がいたりしたとき、第三者としてできることがありましたら教えていただきたいです。

影宮 結局のところ、聞くことしかできないと思います。否定せずに相手の話を聞いて、「大変だったね」といってあげればいいんですよ。具体的に何か手伝ってほしいといわれたら絶対に断るべきです。他人の家庭のことを本当の意味では理解できないでしょうし、巻き込まれる可能性もあります。例えば「毒親」が「あの人とつきあったからこんなことになった」といいだすかもしれないわけです。相談に乗ったつもりなのにとばっちりを受けてしまう。

―― 最後になりますが、親との関係に悩んでいる方々にメッセージをお願いいたします。

影宮 「毒親」に育てられた子どもは、将来自分も「毒親」になる可能性が高いというのは分かっておいていただきたいと思います。今は「被害者」の場所にいても、いずれ自分が親になったら、同じようなことを子どもにしてしまうかもしれません。自分の親のゆがみを子どもに引き継がないように、というのは本当に伝えたいことでもあります。子どもを辛い目に遭わせないためにも「負の連鎖」は自分のところで断ち切りましょう。

 また、「毒親」に育てられた方で、今すでにお子さんがいらっしゃるという方には、親のことや愛情を与えられなかった心の中にあるわだかまりを「できるだけ早い段階で過去のこと」にしていただきたいです。そのためには、親から本当の意味での自立が必要になります。それができれば、親から愛情を与えられずに育った人も、愛情を与える親になることができますから。

(新刊JP編集部)

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