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» 2014年10月14日 10時30分 UPDATE

専業投資家が明かす「失敗する投資」とは?

[新刊JP]
新刊JP

 老後の蓄えのために、あるいは給料とは別に安定した収入を得るために、投資に関心を持つ人は多いはずです。しかし、実際に投資で利益を出し続けるのは大変なことですし、やり方を間違えれば損をしてしまうという怖さもあります。

 こんな時、気になるのは「プロの意見」です。投資の収入だけで生活している「専業投資家」の投資方法は、われわれ一般の投資家にとっても参考になるはず。

 そこで今回は、『プロも驚きの安定・高利回り! 海外ETFとREITで始める インカムゲイン投資の教科書』(日本実業出版社/刊)の著者で、専業投資家として10年以上のキャリアを持つ玉川陽介さんにお話をうかがい、プロが実践する投資の極意を教えていただきました。


専業投資家が明かす「失敗する投資」とは? 専業投資家が明かす「失敗する投資」とは?

―― 『プロも驚きの安定・高利回り! 海外ETFとREITで始める インカムゲイン投資の教科書』についてお話を伺えればと思います。まず、本書で「キャピタルゲイン(債券や不動産の値上がり益)」でなく「インカムゲイン(債券や不動産を所持していることによる配当や利子)」をテーマにした理由をお聞きできればと思います。

玉川 「キャピタルゲイン」目的の投資というと、基本的に個人投資家がやっているのは証券会社に行って日本株を買ってみるとか、FXをやってみるといった、ギャンブル性の高い投資で、7割方の人は外れて損をしてしまいます。

 でも、ほとんどの人は「老後の資金を貯めたい」とか「月々のお小遣いを少しでも増やしたい」といった目的で投資をしているはずです。だとしたら、そういった当たり外れの大きい投資というのは、あまりその目的に合っていないのではないかと思ったのが理由としてあります。

 インカムゲイン目的の投資は、当たり外れがさほど大きくありません。「年間で何%の利子がついて、月々の利益は幾ら」という計算が立ちやすいので複利運用もしやすいんです。老後の備えのために投資をするという方には、こちらのやり方の方が合っていると思います。

―― タイトルにある「ETF(上場投資信託)」と「REIT(上場不動産投資信託)」という言葉になじみがない方も多いと思います。これらの言葉についてかんたんにご説明いただけますか?

玉川 まずETFですが、証券会社の軒先によく「ブラジルに投資しよう」というような投資信託の広告が出ていますよね。基本的にはそれと同じです。

 投資信託と内容はほとんど同じなのですが、「ブラジルの国債に投資しよう」とか「日本の株に投資してみるか」というように、自分で内容が選べて、なおかつネットで取引ができます。それもあって手数料が格段に安いというのが特長です。

―― 「自分で内容が選べる」というのは、「運用する商品の銘柄」を選べるということですか?

玉川 個別の銘柄を選ぶのではなく、「日本株のETF」とか「米国の債券のETF」「欧州の不動産のETF」など、ETFの商品はテーマごとにまとまっていることが多いので、どんなテーマのETFに投資するかを選ぶ、ということですね。

―― となると、ETFの良さはどんなところにあるのでしょうか。

玉川 単に日本の株であれば、個別に調べて自分で買えますが、例えばインドネシアの株を買いたい場合、ほとんどの人はどんな株があるかよく分からないはずです。

 こういう時、ETFであれば、インドネシア全体に幅広く投資できるようにまとめられている商品があったり、もう少し広く、東南アジア全般に投資するような商品もあります。テーマやジャンルさえ決まっていれば、個別銘柄を調べる必要がないという便利さはありますね。

―― テーマごとに個別銘柄がまとめられている点で、「福袋」のようなイメージでとらえればいいのでしょうか。

玉川 「福袋」は中身が見えないものですが、ETFはまとめられている個別銘柄が完全に見えるというところが違います。「透明な福袋」ですね。

―― REITについてはいかがですか?

玉川 REITもETFも考え方は一緒ですが、REITは不動産ですね。ETFで扱うのは証券ですが、REITは不動産を扱うという違いがあります。

 不動産を持てば、家賃が入ってきますよね? その家賃を、REITを購入した人に分配するというのが基本的なシステムです。

―― 本書で紹介しているインカムゲイン投資は「証券投資」が中心になっていますが、これはなぜですか?

玉川 前著(『不動産投資 1年目の教科書: これから始める人が必ず知りたい80の疑問と答え』東洋経済新報社/刊)で不動産投資について詳しく書いたんですよ。だから、今回の本と両方読んでいただくことで、不動産・証券という主要な投資については理解していただけると思います。国語と算数のような感じで、投資の全体を理解するために使っていただきたいですね。

―― インカムゲイン投資は、基本的に長期投資になります。今のように市場の変化が大きい時期に長期投資をするに当たって気をつけるべきことはどんなことですか?

玉川 1つは、本に書いたことですが、長い戦だからこそ「戦のルール」をきちんと理解することです。投資は知識を持った人でもなかなかうまくはいかないものですから、知識を持たないとなおさらうまくいきません。

 後は、「経済全体の流れの中に個別銘柄がある」という認識をすることです。

 例えばアップルやソフトバンクがすごく業績が伸びていて良さそうに見えると。じゃあ投資資金を全額アップルに集中させれば、新型のiPhoneが出た時にもうかるんじゃないか、投資の経験が少ない人ほどそう考えがちです。

 でも、いかにアップルといえども、世界経済全体からするとほんの一部を担っているにすぎないわけですから、「iPhone6は売れているのに株価が下がる」ということもあり得るわけです。

 だから「木を見て森を見ない」みたいな投資ではなく、どんなできごとが株価にどんな影響を与えるか、アップルの例でいえば、iPhone6の売り上げだけでアップルの株価が動いているわけではないですから、それ以外のところで何が影響するのかを見極める必要があります。それは世界の経済全体を見ていないと分からないことです。株式投資を例にお話ししましたが、これができていないと長期投資を仕掛けても結局は当てずっぽうになってしまう。

―― 世界経済全体の流れを知るために、どんなことから始めればいいのでしょうか。

玉川 世界経済全体を見るといっても、地球上で起こっていることをすべて把握するということではなくて、重要なポイントを幾つか抑えることが大事です。

 いまだと、米国の金融政策で金利を引き上げるという話ですから、金利関係のトピックや各経済指標の見方などは知っておかないと、日経新聞を読んでも理解できないはずです。そういうポイントについてはコツコツ勉強していくべきだと思います。

―― 玉川さんは10年以上投資家として活動されていますが、世界経済全体を見て変わったところはありますか?

玉川 証券や金融の基本的なところは僕が投資家になった当時から変わっていませんから、「金利が上がったら債券の値段は下がりますよ」といった法則めいたところは同じですよね。

 金融というと一見難しいように思えるのですが、一度理解してしまえば100年変わらない仕組みのようなものがあるんですよ。

 これに対して、マーケットのテーマは時期によって変わっていくものですよね。20年前であれば日本のバブル経済が世界全体で見ても大きなテーマでしたし、90年代の終わりには「アジア通貨危機」があって、その後には「ITバブル」がありました 

 今も昔も変わらない、金融や経済のベースの部分をしっかり理解した上で、最近のマーケットのテーマを見ることが大事です。

プロ投資家が語る「資金1000万円ならこれを買う!」

―― 「リスクを抑えつつできる限り高い利回りで」というのが投資の理想です。インカムゲイン投資でこの理想をかなえるためにはどんなことが必要になりますか?

玉川 まず抑えておかないといけないのは、日本が非常に低金利で、利益が上がらない国だということです。

 高い利回りを得るのであれば、わざわざ低金利の国で投資をする必要はないので、海外にも目を向けるというのは必要だと思いますね。もちろんドルベースやユーロベースになりますが。

―― 海外への投資となると、気になるのは「リスク」です。

玉川 まっさきに来るのが「為替リスク」(投資商品ではなく為替相場の変動で損失を被るリスク)ですが、為替のリスクを取らない商品もあるので、自分の投資の中にそういう商品を組み込んでいくといいと思います。

 そういう商品は利回りが低いことが多いのですが、安定して損をしにくいという利点もあります。こういう商品にレバレッジをかけて運用するというのも一つの手です。

プロ投資家が語る「資金1000万円ならこれを買う!」 プロ投資家が語る「資金1000万円ならこれを買う!」

―― もし今1000万円を投資に回すとしたら、どのように運用していきますか。

玉川 1000万円では不動産は買えないので、選択肢というと証券しかありません。となると、海外の債券ETFとか、米国のREITになると思います。

 多少はキャピタルゲイン投資として株を買ってもいいと思いますが、1000万円を減らしたくないということだと8割方はETFとREITでしょうね。うまくやれば8%くらいで運用できますから、年間で80万円の利益です。月々のお小遣いが7万円弱増えると考えると大きいですよね。

―― 今挙げられたのはいずれも海外への投資ですが、国内のREITを買う択肢はないのですか?

玉川 国内のREITは高いという感覚があります。分配金を見ても良くないのですが、投資価格も高い。

 例えば、10億円の価値があって、年間1億円の家賃収入があるビルにREITで投資をするとします。ビルの価値が10億円なのだから、このビルのREITの価値も本来ならば10億円になるはずです。でも、今はこれがREITだと20億円くらいの値がついてしまうんですよ。10億円の価値のものに20億円の値がついている。これはおかしいですよね。

―― なぜそういうことが起きるのですか?

玉川 みんな知らないからでしょうね。先ほどお話ししたようにREITもETFと構造的には同じですから、1つのREIT商品の中には複数の個別銘柄(不動産)が含まれています。その個別銘柄をすべて吟味してから買っている人はあまりいないんですよ。

 投資をしたい人が証券会社の店頭にやってくると「月々5万円でも10万円でも欲しい。何かいい商品はないか?」と相談します。証券マンは顧客それぞれのことまで考えていませんから「安定して収入を得たいならREITだろう」ということでREITを買わせる。特にお年寄りだと、債券よりは不動産の方がなじみ深いですからね。

 顧客からすれば、「これで安定して収入が得られる。安泰だ」となるのですが、実は10億円のビルに20億円出してしまっていることもあります。家賃収入が年間1億円だとすると、本来不動産価格の10%分の収入があるはずなのに、5%分しか入ってこないことになる。すごく損をしているわけです。

―― それは証券会社にも非があるのではないですか?

玉川 明確に非があるわけではありません。このビルが本当に20億円まで値上がりする可能性もあるので、証券会社からしたら幾らでも言い訳が立ちます。だから詐欺などではないんです。

 そういうこともあって、国内のREITは積極的には買えないなというのがあります。

―― 結局は、きちんと調べない方が悪いということになってしまう。

玉川 そうですね。調べていない人はそういうところで損をしてしまいます。

―― 本書を読むことで、インカムゲイン投資にかかわる知識とノウハウはかなりカバーできるかと思います。これ以外に投資の勉強として有効なものがありましたら教えていただければと思います。

玉川 物理と言いますか、物事の「仕組み」の部分に常に目を向ける習慣をつけるといいと思います。

 多くの人はメディアで発表された情報だとか個別のコンテンツといった「上澄み」しか見ていません。でもそれだと、物事がこれからどう変わっていくかといったことは分からないんです。

 どんなことでも論理や道理が必ずあります。そこに目を向けて「どうやって成り立っているのか」を抑えれば、今後の展開もある程度予想がつくようになりますし、本物と偽物の区別がつくようになります。

―― 最後になりますが、読者の方々にメッセージをお願いできればと思います。

玉川 頭のいい人であっても、「広告が格好いい」「見た目がきれい」といったことが購買行動に寄与してしまいます。

 たいした買い物でなければそれでもいいのですが、家を買ったり何百万というお金を投資したりという時は、もっと慎重になるべきです。極端な話、会社を2、3日休んで吟味してい幾らいで、広告のイメージで買ってしまうと損をしてしまったり、リスクに気がつかなかったりする。

 大事なお金を投資するわけですから、調べられる限りは調べて知識を得てから投資してほしいと思います。これをやらないとギャンブルになってしまいますからね。

玉川陽介イベント情報

2014年11月27日(木)夜、東京都内の書店にて、ベストセラー『内藤忍の資産設計塾』の著者で知られる内藤忍氏と、玉川陽介氏の対談講演会が予定されています。


(新刊JP編集部)

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