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» 2014年09月23日 14時00分 UPDATE

最新研究が示す「子どもの将来を左右するもの」とは?

成功のために必要な「気質」とは。『成功する子失敗する子――何が「その後の人生」を決めるのか』から紹介します。

[新刊JP]
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 子どもを持つ親なら、だれしもわが子には幸せになってほしいと願うことでしょう。社会的な成功を手にして、幸福であると同時に有意義で充実した人生を送ってほしい、と。

 「いい大学」に入って、「いい会社」に入れば一生安泰という考え方はもはや主流ではないとは思いますが、「高い知能が成功に結びつく」という考え方(知能至上主義)はまだまだ根強い支持を得ているように思います。実際、「幼児の早期教育に興味がある親は約7割」「幼児期から勉強・習い事をさせたい親は85%」という調査結果もあります(*1)。

 しかし、偏差値の高い有名大学に入っても、就職活動で苦労する学生がいます。また、これまでに大きな失敗なく優等生な人生を歩んできたのに、社会に出てから思うような成果が上げられず苦労する若者もいます。成功に必要な力とは一体何なのでしょうか。また、それは子ども時代にどのように獲得でき、伸びるのでしょうか。

 子どもの貧困と教育改革を専門とするジャーナリストのポール・タフ著『成功する子失敗する子――何が「その後の人生」を決めるのか』では、これらの疑問に対する答えを、神経科学、経済学、心理学といった切り口から探っていきます。

成功のために必要な「気質」は習得できる

最新研究が示す「子どもの将来を左右するもの」とは? 最新研究が示す「子どもの将来を左右するもの」とは?

 ここ数年の間に、神経科学者や経済学者、心理学者そして教育者たちが、知能至上主義の背後にある思いこみに疑問を投げかけはじめました。その思いこみとは、幼少期にできるだけ多くの情報をつめこみ、読み書きや算数などの能力を伸ばすという考え方です。

 しかし、科学者たちの結論はまったく別のものでした。本当に重要なのは、成功のために必要な「気質」を伸ばすこと。それは、「自制心」「好奇心」「やり抜く力」などといったものだというのです。

 例えば、子どものころの「自制心」が弱いほど、その後の32歳になったときに健康や職業の面でさまざまな問題を抱えていることが分かりました。また、IQ(知能指数)の高低に関係なく、「やり抜く力」があるほど大学を優秀な成績で卒業する可能性が高いことが分かったそうです。

 さらに注目すべきは、こういった気質は生来のものではなく、成長してからも習得でき、人に教えることができるスキルなのだというのです。

親という「安全基地」が子どもの「気質」を育む

 上に挙げた気質の1つ「自制心」の発達にかかわってくるのが脳の前頭前皮質です。自分の感情や行動のコントロール重要な役割を果たし、幼少期のストレスから最も多く影響を受ける部位でもあります。

 幼児をストレスから守るためには、親子の間で、安定した愛情深い関係を築くことが大切です。子どもがストレスを受けたときに、慰めたり抱きしめたり、話しかけたりして安心させる事で、子どものストレス対応力が上がるといいます。安心できる親という「安全基地」のある子どもは、自制心はもちろん、好奇心や自立心を持ち、障害にも上手に対処できるようになるのです。

「性格の通知表」が人生を変える?

 しかし、たとえ良好な親子関係が築けておらず、ストレス対応力が弱い子どもでも、周りの人々の支援によって人生を変えることは可能であると本書は説いています。

 それは富裕層も貧困層も変わりなく、問題のある生徒に対して周りの大人が適切なサポートをすることで、その子どもの人生ががらりと変わるさまが描かれています。

 また、最近注目されているのが「性格の通知表」の取り組みです。学業の成績だけではなく、「自制心」「好奇心」「やり抜く力」などといった気質について評価するものです。これは子どもの人間性を評価するのではなく、成長しつづけるためにどのような点を改善すべきか、教師、生徒、親が一緒になって考えていく試みです。

 日本でも採用時に性格適性診断テストを行う企業が増えていますが、社会生活に求められる能力として、教育現場でこれらの「気質」を伸ばそうとする米国の潮流は日本のビジネスや教育の現場にとっても大きなヒントとなるでしょう。

人生はいつでもやり直せる

 著者のポール・タフは、子どもの貧困と教育政策を専門とするジャーナリストとして「わたしたちに何ができるのか」ということを論じていますが、この本は子どもを持つ親や、教育にたずさわる人のためだけのものではありません。成功のために必要な「気質」は成人になってからも習得可能だというのですから、幸福で有意義な人生を手に入れるために、遅すぎることはないのです。

 本書は社会の中で居心地の悪さを感じながらもがいている人へのヒントを多く含んでいるともいえるでしょう。

(新刊JP編集部)

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