インタビュー
» 2014年08月14日 11時50分 UPDATE

肩、腰、ひざ……体の痛みが慢性化する理由

現代人につきまとう慢性化した体の不調。今回は、たかこ整骨院院長の高子大樹さんにインタビューを行い、体の痛みが慢性化する原因と対策について聞きました。

[新刊JP]
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 オフィスワーカーなら肩こりや頭痛、肉体労働者なら腰痛やひざ痛など、どんな仕事をしていても体の不調はつきまといます。特に30代以降ともなると、体のどこも痛くないという人の方が少ないかもしれません。

肩、腰、ひざ……体の痛みが慢性化する理由 肩、腰、ひざ……体の痛みが慢性化する理由

 ところで、体のどこかが痛い時、私たちはマッサージに通ったり、患部に湿布を貼ったりしますが、あまり良くならないか、一時的に症状が和らいでもすぐにまた痛み出して、慢性化してしまうことが珍しくありません。これは一体なぜなのでしょうか?

 今回は『「黒幕」を知れば痛みは治る!──あなたの痛みが治らない「本当の理由」』(自由国民社/刊)の著者で、 トレーナーとして2006年のFIFAクラブワールドカップに参加した経験を持つ、たかこ整骨院院長の高子大樹さんにインタビュー。体の痛みが慢性化する原因と対策についてお聞きしました。


―― 『「黒幕」を知れば痛みは治る!──あなたの痛みが治らない「本当の理由」』についてお話をうかがえればと思います。本書で書かれている「痛みの「黒幕」が痛い場所にあるとは限らない」という高子さんのお考えはとても納得できるものでした。

 例えば「肩こり」の場合、黒幕となっていることの多い箇所はどこなのでしょうか。

高子 その人の生活状況にもよるのですが、例えば座ってデスクワークをする人に多いのが、股関節や足の付け根の筋肉が固くちぢこまってしまった結果、上半身が前傾してしまって肩に負担がかかるというパターンです。

―― 心当たりがあるお話です。腰痛に関してはいかがでしょうか。

高子 デスクワークの方の腰痛はタイプが2つあって、背中が丸くなることで腰痛を引き起こすパターンと、肩こりと同じく股関節が固くなって腰痛が起きるパターンがあります。

 この本で書いている“痛みの「黒幕」”とは、簡単に言ってしまうと「普段の癖」なんですよ。誰にでも普段から意識しないでやっている姿勢の癖や動きの癖があると思うのですが、その癖を長期間続けることによって、借金が増えるように体のゆがみが蓄積されていき、あるタイミングで痛みが出るようになる。

 ただ、蓄積した結果痛くなるということで、本人が原因に気がつかないんですよ。話を聞くと「急に痛くなった」と言うんですけど、本当はそうじゃないことが多いんです。

―― 例えば右手で?づえをつく癖がある人が、今度は左手で?づえをつくことで骨格的にバランスが取れたりといったことはあるのでしょうか。

高子 そこが微妙なところで、右手で?づえをつく癖がついてしまっているものを逆の手に変えても、背骨が右側に曲がったまま左に傾いただけ、ということになる可能性もあります。癖と逆のことをやったからといって左右対称になるとは限らないんです。

―― 慢性的な体の痛みは、肩こりでも腰痛でも痛みが起きるメカニズムとしては共通するところが大きいのでしょうか。

高子 本にも書いたのですが、縮んだ筋肉が原因で周囲の筋肉が引っ張られるということでいうと、メカニズムは一緒といえるかもしれませんね。

―― 痛みの「黒幕」は普段の癖だとおっしゃっていましたが、普段の癖によって使わない筋肉が縮こまってしまうわけですか?

高子 いえ、むしろ逆で、使いすぎて縮こまることが多いです。

 あまり意識することはないかもしれませんが、椅子に座るだけでも腸腰筋という、股関節付近の筋肉を使っています。この筋肉が緊張していることで上半身が支えられているわけですが、緊張して縮みすぎると上半身は前かがみになり、そうなるとバランスを取るために今度は顎が上がります。どんどん無理な体勢になってくるわけです。

―― 高子さんは街中で人の態勢や体の動きを観察するのがお好きということですが、やはりどこかしら体が歪んでいたり、動きがおかしい人は多いのでしょうか。

高子 そうですね。やっぱり楽をしようとして、体重をどこかに預けてしまうんですよ。筋肉よりも骨や関節の方が支える力が強いので。立っている時も、両足に均等に体重をかけてまっすぐ立ち続けると筋肉を使いますが、膝をロックして片足に体重をかけると骨で体重を支える形になって、筋肉はあまり使わずに済みます。そちらの方が楽なんです。

 でも、こういうのが長期間積み重なると、体がゆがんでしまったりするわけです。若い子を見ていても、今はかわいい女の子だけど、この姿勢では将来膝が変形してくるな、とか思うことがありますよ。10年後、20年後に気づいても遅いので、若い人にもぜひ読んでほしいですね。

―― 女性といえばヒールの高い靴を履くことが多いですが、体格のバランスが崩れやすいのではないですか?

高子 そうですね。ハイヒールを履くと、距骨という足の甲の骨が前にズレてきます。それが股関節や首の痛みに繋がりやすいんです。

―― そういった体の痛みが出ないようにケアする方法はありますか?

高子 足指の掴む力を鍛えることです。先ほどお話ししたように、ハイヒールを履くとどうしても距骨が前に出てしまいますが、足指の掴む力が強ければブレーキになってくれます。普段からからこの力を強化しておくといいと思います。

 また、女性は腰の形が男性と違っていて、普通に立っていても男性より少し前傾気味になります。それでハイヒールを履くものだから余計に前傾することになって、腰を痛めやすい。

 ただ、これは下腹部に力を入れてグッと締めることで解決できます。足指と下腹部の二点を、ハイヒールを履く方は気をつけていただきたいですね。

マッサージでは治らない! 体の痛みの本当の原因とは?

―― 本書では、痛みの「黒幕」を探る方法が書かれていますが、それ以前に体を痛めないためにどんなことをすべきなのでしょうか。

高子 本の中にストレッチのやり方が載っていますが、ポイントは左右差をチェックすることです。

 なぜ体がゆがむかというと、利き腕を使いやすくなるからという一面もあるので、ある程度のゆがみはあってもいいのですが、あまり体の左右差が大きくなってしまうと痛みに繋がってしまいます。だから、普段から左右差を意識してなくすように体操や運動をしていると痛みは防げると思います。

―― ストレッチ以外ということですと、散歩やジョギングなどがいいのでしょうか。

高子 ラジオ体操とか、シンプルなものでいいんですよ。簡単なことをいかに左右を意識してやるかというのが大事です。

肩、腰、ひざ……体の痛みが慢性化する理由 肩、腰、ひざ……体の痛みが慢性化する理由

―― 私たちはどうしても体が痛いと「マッサージ」「湿布」という発想になりがちです。痛みの原因が他の場所にあるとすると、この方法では治りません。

高子 炎症ですとか、その部分自体を痛めているのであれば湿布やマッサージは効果があります。ただ、それで治らない場合は痛みの原因となっている場所が別にあると考えていただきたいです。

 通常、炎症は3日から4日で収まるとされているので、「3、4日湿布を貼っていても痛みが取れない」というのは、別の原因を考えてみるタイミングの一つの目安になると思います。

―― 体の痛みの「根本的な解決」となると、どんなことが必要なのでしょうか?

高子 「黒幕」になっている箇所、つまり筋肉が縮まってしまっている箇所をいかに見つけて緩めてあげるかということです。筋肉を緩める方法はいくつかあって、ストレッチで伸ばしてあげるのもいいですし、運動をするのもいいです。温めるやり方も筋肉を緩めて弾力を取り戻すのに有効です。

―― 固くなっているところをストレッチなどで伸ばしてしまうと、今度はその部分が痛くなってしまうのではないかと思いますが、その辺りはいかがでしょうか。

高子 そこは刺激の入れ具合次第といいますか、力の入れ方次第ですね。確かに、あまりぐいぐい強く伸ばしてしまうと、「伸張反射」というのが起こって、筋肉がかえって縮んでしまいますから、あまり強く伸ばさずに気持ちいいくらいで止めておくのがいいのではないかと思います。

―― 慢性的な痛みを抱えやすい人、抱えにくい人に特徴はありますか?

高子 同じ作業を長時間続ける人は、やはり慢性的な痛みが出やすいです。それと、これは経験から感じていることなのですが、性格的には真面目な人は痛みを抱えやすい。なぜかはわかりませんが。真面目な人ほど、力の抜き方はうまくないというのは言えると思います。そういう人ほど左右差を意識して体操をしていただきたいですね。

―― 仕事中など、手が離せない時にどうしても体が辛くなってしまったら、どんなことをすればいいですか? 応急処置的にできることがあれば教えていただきたいです。

高子 これは難しい質問ですね。痛い場所にもよるのですが、例えば腰痛であれば冷やすのは1つの方法です。冷やすことで痛覚刺激が麻痺するので、一時的に痛みが和らぐことがあります。ただ高齢者の場合は、冷やすと患部が固まりやすいので、逆に温める方が効果的です。

―― 最後になりますが、肩や腰などの痛みに悩む方々に向けてメッセージやアドバイスがありましたらお願いします。

高子 余裕がないと、体の「痛い部分」だけにしか目が行かないものなのですが、もしその痛みが長引いているなら、その痛みの原因は別の場所にあるのではないかという視点を持ってみてほしいと思います。

 人間の体っておもしろいもので、何もしていないのに痛みが取れることもあるんですよ。でもそれって治ったわけではなくて、脳の働きで一時的に痛みがなくなっているだけで、状況はどんどん悪くなっていきます。

 本当にひどい状態になる前に、痛みの「黒幕」を見つけて、根本から治していただきたいです。自分だけでなく親の世代にも使える内容ですので、周りに体の痛みに悩んでいる人がいるなら、この本を手渡していただけたらうれしいですね。

(新刊JP編集部)

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