BOOKSHOP LOVER=本屋好きがお届けする詳細な本屋レポ。本屋が好きならここに行け! 今回は東京・代々木八幡にある「リズム&ブックス」を紹介。
6月23日の本屋巡りで訪れた古本屋である。都立大学駅から行きやすい本屋ということで訪ねたのが「リズム&ブックス」だった。
「リズム&ブックス」。素敵な名前である。「リズム」と付くからには音楽本が多いのだろうか。
着いてみると雑居ビルの一階。しかも入口は薄暗いビルの奥にある。こういう怪しげな雰囲気が好きな僕はワクワクしながら中に入った(以下は2013年6月23日の記録だ)。
店内に入るとおもちゃ箱のような内装に驚く。もちろんほとんどが本だが、その品ぞろえは一筋縄ではいかないものばかり。ところどころに雑貨があったりレイアウトの工夫があったり見ていて飽きない。
流れているのはアメリカのポップス。奥に細長い形で真ん中に店舗を分けるように本棚が一列置かれている。
見て回ると品ぞろえもカオスで楽しい。
女性向けの本を入り口付近に集めつつ、奥には本好きが喜ぶようなマニアックなものも多い。デザイン・アートから思想・哲学、過激派的な本まで置いてあるのだが、一番驚いたのはテレビやプロレス本など軽めの本が多いことだ。
大抵の場合、古本屋といえば新古書店でない限りデザイン・アートなどオシャレ系の本か文学・思想など読み物系の本が多いのだが、ここには平成初期や昭和のお茶の間が好きだったであろう本がたくさん置いてある。『3年B組金八先生』や力道山の本にここまでの棚を割くのは珍しいだろう。しかも、ここにいると読みたくなってくるから不思議だ。
そんな何から何までおもちゃ箱なリズム&ブックスで僕が読みたいと思った本がこれだ。『関東やくざ者』『プロレス大研究―“最強の座”をめぐる男達の血闘5000年』と他4冊を同列に置くことでリズム&ブックスらしさを出してみた。
ガーリーな棚にはじまり文学を経てドギツい革命本に至る。親和性が微妙に高いアートの棚のあとになぜかの大衆本。音楽本棚で安心して子供向けで入口に戻る。残しておいた中央の本棚にはキノコ本がニョキニョキとその存在を主張し雑貨と混じりながらUFOと交信。アート本もあったことを思い出して入口側まで戻る。再びのお母さん向けの本に癒されて、夢野先生に怪しい世界に連れ込まれる。最後に見たのは淡く果てしない性の夢。
ここまで書いて改めて思うのは節操のない品ぞろえ。だがそれがいい。おもちゃ箱をひっくり返したような程よいチャンプルー感に身も心も絆されて気付いたときには目当ての本をレジに持っていくこと間違いなしである。
いやこれはなかなかに得難い経験であった。
本屋開業を目指す本屋好きサラリーマン。ブログ「BOOKSHOP LOVER」を中心に活動。同名のネット古本屋も営み、「Cannes Lions 2013 Book Project」ではプロデューサーを務める。理想の本屋さんを開くべく本の世界で縦横無尽に活動中。好きな作家はクラフト・エヴィング商会。一番好きな本屋は秘密。
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