出版業界ニュースフラッシュ 2014年7月第2週

出版業界で先週起こった出来事をまとめてお届けする週刊連載。7月第2週は紀伊國屋書店・高井昌史社長の講演が注目されました。

» 2014年07月14日 12時00分 公開
[新文化通信社]
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紀伊國屋書店・高井昌史社長の講演に450人参集

 7月7日、新宿南店にある紀伊國屋サザンシアターで、「われわれは今 何をすべきか 出版界に元気を取り戻そう」と題し、1時間半にわたって講演会を行い、出版社や取次会社など総勢450人が参加した。

 高井社長は、このままだと出版販売金額は2020年に1兆3000億円程度になってしまうと危機感を示した。1996年から2013年にかけて、紀伊國屋書店全体と店売の売り上げはほぼ横ばいで推移しているが、店舗数は2倍、売場面積は3倍に増幅している現状を伝えた。特に新宿においては1996年に119億円だった年商は、2013年新宿南店を合わせて売場が約3倍になったが、107億円にとどまっているという。

 消費税問題をはらむ外資系ネット書店や、公共図書館、新古書店、万引き、コミックやアダルトが中心の電子書籍を業界問題として捉え、再販制については海外の事例を紹介しながら「これで(現状のまま)いいなら良いが、本当にそれでいいのか」とし、日本には、時限再販の指定銘柄はあるものの、その硬直化した運用に疑問を呈した。

 さらに正味問題については、日販やトーハンの契約販売や出版社の計画販売を引合いに出しながら、「もっとダイナミックに展開してほしい」と話し、一般論として、「委託なら30%、買切りなら洋書同等の40〜50%のマージンが妥当ではないか」と提言。

 紀伊國屋書店が直接取引をしている出版社は計6791社。その仕入の本体価格は80億円。また、昨年末から大手町店で直仕入れを始めた出版社5社の実績をプロジェクターで紹介した。

 このほか、洋書売場を大幅に拡張している新宿南店に、海外店で従事する外国人を抜擢する人事構想も明かした。地域と連動した店づくり、「NEW Publine」の概要、講談社とKADOKAWAで取り組んでいる「日本電子図書館サービス」についても触れた。

ダイヤモンド社、『銀翼のイカロス』で5000書店に指定配本

 8月1日に発売する「半沢直樹」シリーズの最新刊『銀翼のイカロス』について、書店5000店の指定配本を決めた。特約店「ダイヤモンド・パートナーズ・クラブ」の会員85法人(約3500店)ほか、1500店から事前注文を受けて大々的に実施する。あらかじめ入荷部数を確定することで、安心して予約を取ってほしいという考えから今回初めて行った。

 発売後には著者の池井戸氏を審査委員に招き、「半沢直樹シリーズ 陳列コンテスト」を行い、優秀賞10書店で同氏のサイン会を行う。準優秀賞20書店には同書のサイン本(注文扱い)を送る。

 応募期間は8月1日から同15日まで。結果は8月下旬、フェイスブック上の「銀翼のイカロス」特設サイトで発表する。問合せはTEL03(5778)7241、同社営業部まで。

第21回「東京国際ブックフェア」など6展示会の来場者数、6万2855人に

 7月2日から5日まで東京・江東区の東京ビッグサイトで行われた第21回「東京国際ブックフェア」(TIBF)、第18回「国際電子出版EXPO」など6展示会の来場者数は、6万2855人だった。昨年の6万2570人から微増した。

 最も来場者数が多かったのは4日の1万9968人。セミナーの受講者数は4日間合計で7615人。

 主催のリードエグジビションジャパンが7月7日、発表した。

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