BOOKSHOP LOVER=本屋好きがお届けする詳細な本屋レポ。本屋が好きならここに行け! 今回は東京・学芸大学駅の「SUNNYBOY BOOKS」を紹介。
梅雨も明けて気持ちが良い日が来るかと思っていたのだがいきなりの猛暑。困ったものである。そんな中、我々は本屋巡りをしている。
メンバーは地元に本屋を開きたいというK男と本屋を卒論のテーマとしている学生K子。ある会でご一緒したことでこの本屋巡りをすることとなったのだ。
目的地は東横線学芸大学駅にあるzine専門店「MOUNT ZINE」と、今回取り上げる学芸大学駅にある「SUNNYBOY BOOKS」。そのときは勢い余って、代々木公園近くの古本屋「リズムアンドブックス」にも寄ったのだが、MOUNT ZINEと同様に次回以降に紹介したい(以下は2013年6月23日の記録だ)。
都立大学駅から徒歩5分ほど。住宅街の中にあるこの店の外観は白い外壁に大きな窓。外に置かれた均一棚でそれと分かるが、一見オシャレなカフェのようでもある。
入ってみると店内の涼しさに救われる。先に書いたようにこの日は暑かった。2リットルペットボトルを一気飲みできそうな程だ。
ほぼ正方形の形の店舗には真正面奥のレジを除いて壁沿いに手作りと思しきスチールの骨組みと木板の本棚がある。こういう本棚が欲しいよなあ。
ひとしきり感心したあと店の真ん中に目をやると、平台の上に本や雑貨が置かれている。店内には本だけでなくバッグや文房具なども置かれ、棚にアクセントを添えているのが面白い。流れているのはアメリカンポップス。若い店主が工夫を凝らしてやっているのだろう。
この取材について話したら快くOKしてくれた。多くの本屋さんを周ってきたが、若い店主の方が撮影などにも快諾してくれることが多い。嬉しい限りである。
もちろんこのような雑貨中心ではない多くの本が周囲の本棚にたくさんあるが、心配しないでほしい。SUNNY BOY BOOKSは棚にジャンル名が書いているのでお目当ての本を探しやすくなっている。「ライフスタイル」や「児童」「文学」「デザイン」といった具合である。特に強いのはコミックと文学だろうか。某新古書店にはないような品ぞろえに嬉しくなってくる。
とはいえ具体的な書名がないと想像がつかないだろう。僕が独断と偏見に基づいて読みたいと思った本を6冊ほど挙げておこう。ジャンルに偏りがないように挙げると『おやつストーリー』『25時のバカンス』『世界のすべての7月』『ゾンビ伝説』『装幀のなかの絵』『いい映画を見に行こう』である。
もうひとつ。イメージしやすいように店のスターダムともいえる中央の平台を紹介しよう。ここには主に文具と小出版社の新刊本が並べられている。
文具はPORTの140文字の原稿用紙(俳句からTwitterまで)、美篶堂コトノハノート、ファーストユニバーサルプレスの原稿用紙などで、本は『本の島々』『朗読劇 銀河鉄道の夜』などである。何となくでもイメージできただろうか?
もしイメージできなかったら確かめに行ってほしい。もちろんイメージできた人も同様だ。もちろん古本屋だから中身は頻繁に入れ替わるだろう。ここで取り上げた数少ない本も次行ったときにはなくなっているかもしれない。
だが、それでも僕はこの本屋さんが近くにほしい。通勤帰りに寄れるような場所にあってほしい。なぜなら好みど真ん中の品ぞろえだからである。
僕が好きな石川直樹さんの写真集やアートやデザイン関係の品ぞろえ。サブカル好きが喜びそうなマニアックなコミック(知ってはいるが読んだことないものばかり)に夏葉社さんや四月と十二月文庫。書店業に関連した本も結構ある。その上、値段はお手ごろとくればこれはもう……!
本好きなら誰もが一度は願ったことがあるはずだ。自分の好みの本屋さんが近くにあれば……と。ぼくにとってはそんな本屋さんがSUNNYBOY BOOKSなのだ。新刊書店でそう思ったことは他にもあるが古本屋さんでは少ない。デザイン、写真、本の本などといったキーワードにピンとくる人はぜひ寄った方が良い。
本屋開業を目指す本屋好きサラリーマン。ブログ「BOOKSHOP LOVER」を中心に活動。同名のネット古本屋も営み、「Cannes Lions 2013 Book Project」ではプロデューサーを務める。理想の本屋さんを開くべく本の世界で縦横無尽に活動中。好きな作家はクラフト・エヴィング商会。一番好きな本屋は秘密。
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