出版業界ニュースフラッシュ 2014年6月第2週

出版業界で先週起こった出来事をまとめてお届けする週刊連載。6月第2週は集英社の決算発表のほか、「デジタル・オンデマンド出版センター」の設立などが発表されています。

» 2014年06月16日 18時30分 公開
[新文化通信社]

「デジタル・オンデマンド出版センター」を設立、テスト販売へ

 現在、30万点といわれる「品切れ・重版未定」など、事実上絶版となっている書籍を1冊から“復刊”させることで、出版社が課題にしている少部数ニーズに応える同センター。PDFの制作・監理、印刷・製本、物流までをパッケージ化して提案する。

 光和コンピューター、大日本スクリーン製造、メディアテクノロジージャパン、京葉流通倉庫など6社が運営する。出版梓会の会員出版社などを中心に5社・14銘柄のリメイク版を製作。今秋から本格的な始動を目指す。

 テストマーケティングにおけるデータ化費用は、底本を提供した場合は2万円、PDFデータを提供した場合は1万円。印刷・製本代はA5判・並製(カバー、帯、スリップなし)、256ページの場合、820円が標準仕様となる。このほか出版社のリクエストに応じて判型なども変更できる。最少ロットは50冊。PDFの所有権は出版社に帰属する。

大阪屋、大幅な赤字に

 6月12日開催の第67期(平成25年4月1日〜同26年3月31日)決算説明会の概況は、売上高が前年比18・7%減の766億5300万円。ブックファーストやアマゾンなど大口取引先の帳合変更が響き、前年に比べ176億円のマイナス。

 売り上げ減に伴い、売上総利益も2割近く落ち込み、販管費を8.5%圧縮したものの、それをカバーしきれず、8億1400万円の営業損失に。経常損失は8億0300万円、当期純損失は13億7400万円。

 会計の適正化のため、期首利益余剰金等修正額41億1500万円を計上した結果、債務超過が一気に膨らんで56億円の債務超過となった。今年4月に41億円強で旧本社(大阪・西区)を売却しているため、現時点での債務超過は約14億円。

 売却益で借入金約18億円を返済する一方、正社員134人のリストラなどで財務面を強化を推進。「KBCの強みなどを生かしながら、関西圏の書店の半分以上が活用できる取次会社を目指し、新商材・サービスの開発を進めたい。今回の決算で新生大阪屋に生まれ変わるためのスタート地点に立った」と決意を新たにした大竹深夫社長。

「半沢直樹」シリーズの最新刊、8月に初版25万部で

 ダイヤモンド社は8月1日、半沢直樹シリーズ最新刊となる池井戸潤『銀翼のイカロス』を初版25万部で発売することを決めた。6月11日から書店での予約を開始した。本体1500円。

 TBSドラマ日曜劇場で大ブレイクした原作『オレたちバブル入行組』『オレたち花のバブル組』(文春文庫)に続き、『ロスジェネの逆襲』(ダイヤモンド社)から2年。シリーズ第4弾となる。

集英社、女性誌3誌が大幅伸長

 6月10日、東京・日比谷の帝国ホテルで「感謝の会」を行い、東田英樹専務が第73期(平成25年6月1日〜同26年5月31日)の同社販売部の売上高について、前年比2.6%減となる見通しと発表。高森茂取締役は女性誌『eclat』(エクラ)が19カ月連続で販売部数を伸ばしているほか、『BAILA』(バイラ)は直近5年間の平均実売数が右肩上がり、『Marisol』(マリソル)も今年2月から3カ月間、前号比40%増、61%増、23%増と大幅伸長している現状を伝えた。

 同社は8月8日に創業88周年を迎える。当日は傑作小説大全「冒険の森」(全20巻・2015年5月刊行開始予定)など、創業90周年を見据えた大型企画4点を紹介。137法人・210人の書店経営者が出席した。

青空出版、事業停止に

 青空出版(東京都新宿区高田馬場1-29-7、高杉具伸代表)は6月9日、営業を停止して自己破産申立の準備に入った。同社は1991年3月に設立。2000年3月にオデッセウス出版から現屋号に社名変更していた。同社および高杉代表の代理人は、弁護士の岩本康一郎氏。

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