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» 2014年06月10日 10時57分 UPDATE

一人前に育つのは20人に1人? 過酷すぎる仕事

セールス歴30年以上の著者が語る、驚くべき訪問販売現場の過酷な仕事内容とは。書籍『人間の習性』から訪問販売の裏話を紹介します。

[新刊JP]
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 「訪問販売」にポジティブなイメージを持っている人はあまり多くないだろう。押し売りをしてくる、しつこいなど、どちらかというとネガティブな印象が強い。

一人前に育つのは20人に1人? 過酷すぎる仕事 一人前に育つのは20人に1人? 過酷すぎる仕事

 だからこそ、訪問販売のセールスマンは、もっとも過酷な仕事の1つをこなしているいえるのではないだろうか。

 交渉のテクニックという部分では、恐らくわたしたちは彼らの仕事から学べるところは多い。『人間の習性』(弓飾丸資/著、日経BP社/刊)は、そんな訪問販売の裏話を、セールス歴30年以上の著者が余すところなく語られている。

 著者は昭和40年の半ばから訪問販売の世界にかかわり、小さなモノ(ダイヤモンドやコンドーム)から大きなモノ(瀬戸内の島)まで、約40種類もの販売に携わってきたそうだ。

一人前に育つのは20人に1人

 新人のセールスマンたちの前に立ちはだかる壁は大きい。雨の日、カンカン照りの夏日、寒い冬の雪の日……。どんな日でもひたすらに見ず知らずのお宅を一軒一軒訪問しなければならない。

 訪問販売をする中で最もつらいのは、「プライドの崩壊」であるという。「こんにちは」「失礼いたします」と訪問して歩くほとんどの先々で、跳ね返ってきて浴びせられる言葉は想像を絶する鋭さだ。

 「何だか知らないが、いらん、いらなーい」「うちは何も買わない家でーす」と、ビシャーンとドアが閉められることは日常茶飯事で、中には、「カエレーッ」「警察を呼ぶぞっー」などと怒鳴られることもあるという。

 このような過酷な環境において、セールス初心者は、ものの4〜5軒のドアを叩くだけで、マイナス思考で頭がいっぱいになってしまい、訪問の足が止まってしまう。多くの新人が辞めていき、一年後残っているのは20人に1人ぐらいの割合であると著者は述べる。

トップ15%が売り上げの8割を稼ぐ

 著者によると、訪問販売の会社ではトップ15%が売り上げの8割を稼ぐという。つまり、50人セールスマンがいれば、いわゆるトップセールスマンは、おおむね売り上げ成績の上位7、8人。販売商品や会社によって多少の違いはあっても、大きく変わることはまずないと著者は言う。

 なぜこれほどまでにトップセールスマンの力が強大なのか。その根底にあるのは、やはり訪問販売という「特異なセールス手法」そのものの過酷さにある。

 訪問販売会社でのセールスマンの平均勤続年数は、驚くべきことに平均で7カ月を割っている。社員が入社したその日にいなくなるということも、決して珍しくないという。

 したがって、短いスパンで人がどんどん入れ替わっていき、ごく一部のトップセールスマンだけが会社に残り続けるという図式が成り立っているのである。

 いかがだろうか。わたしたちが想像する以上に、訪問販売は過酷なビジネスである。

 本書では、このような訪問販売の実態のほかにも、凄腕トップセールスマンの手法、高額商品を買おうと思わせるトリック、契約をキャンセルされないための小技などが紹介されている。過酷なだからこそ、そのテクニックも洗練される。そう思わせられる一冊だ。

(新刊JP編集部)

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