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» 2014年06月05日 13時47分 UPDATE

“子どもが自分の家族を殺す”非情な世界を変えるには?

少年が母親を傷つけなければいけない状況を無くすために、わたしたちができることとは。NPO法人テラ・ルネッサンスの創設者である鬼丸昌也さんの著書を紹介します。

[新刊JP]
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「僕は、お母さんの腕を切らなければいけなかったんだ」

 16歳のウガンダの少年はそう語った。その惨劇が起きたのは、少年がまだ12歳のときだった。隣村に出かけた母親を迎えにいった彼は、銃を持った兵士に誘拐され、自分の生まれ育った村を襲うように指示された。

「切らなければ、母親もお前も殺す」

 兵士たちは、子どもを絶対的に服従させるために、非情な手段を使う。人を傷つけたり、殺したりする抵抗をなくすために自分の生まれ育った村を襲わせ、大切な家族や親せき、友達を殺させるのだ。

“子どもが自分の家族を殺す”非情な世界を変えるには? “子どもが自分の家族を殺す”非情な世界を変えるには?

 これは決して特別なことではない。ウガンダでは、反政府軍が多くの子どもを誘拐し、兵士として従軍させた。その数、3万8000人。この現実に、自分は何かできないだろうかと考えた人もいれば、遠い異国の話なのだから自分には関係ないと思う人もいるだろう。

 しかし、何かを感じ、動き、現実を目の当たりにして、おのおのの想いを持って何かしらの活動を立ち上げた人たちがいる。その一人がNPO法人テラ・ルネッサンスの創設者である鬼丸昌也さんだ。

 テラ・ルネッサンスは2001年に当時立命館大学に在学していた鬼丸さんが一人で立ち上げた。設立当初は「カンボジアの地雷除去支援と地雷被害支援を通して、すべての生命が安心して生活できる社会づくりを目指す」という活動理念を掲げていたが、その後、活動の幅は広がり、現在は「地雷」「小型武器」「子ども兵」という3つの課題に取り組んでいる。

 鬼丸さんにはこうした活動を始めるに至ったきっかけがあった。もともと海外に興味があり、小学生のころの趣味がなんと「在日大使館への資料請求」。さらに、その好奇心は途切れることなく、膨らんでいく。

 決定的な言葉に出会ったのは、高校3年生のスリランカへのスタディツアーのときだった。スリランカの有名な社会活動家、アリヤラトネ博士が次のように話したという。

「すべての人に、未来をつくる力がある」

 さらに、それまで得てきた知識や情報、使命感、好奇心、そしてアリヤラトネ博士の言葉は、大学生になって訪れたカンボジアの地雷原で線となって結ばれる。

 そこで見た現実。希望を奪う悪魔の兵器“地雷”の存在。そして、その被害者の3割は子どもであるということ。鬼丸さんはカンボジアで打ちのめされた。

 鬼丸さんは、世界の紛争に先進国も加担しているとつづる。政治的、経済的な利害が絡んでいるのだ。例えば、子ども兵が持っている小型武器は先進国で生産されたもので、そこに軍需産業が発展し、先進国に莫大な利益をもたらしているという。

 しかし、一人で立ち上げたNPOを法人化し、13年間運営し続けてきたという努力は、並大抵のことではない。多くのNPO法人が運営費のねん出に四苦八苦している現実がある。いったいどのようにして彼は活動を続けてきたのだろうか。

 その答えが書かれているのが、鬼丸さんの新刊『僕が学んだゼロから始める世界の変え方』(扶桑社/刊)だ。本書は彼のテラ・ルネッサンスを立ち上げから、どのようにして運営してきたのか、どのように想いを伝えてきたのかが書かれた一冊である。

 本書の1章は鬼丸さん自身の生い立ちが語られており、2章以降は、社会起業の方法について説明されている。

 メソッドだけを抽出すれば、普通のビジネス書に書かれているような「目標を達成する方法」「やりたいことをやる方法」にも通じる内容なのだが、そうした書籍とはまるで印象が違う。それは、単に「目標を決めて達成しよう」「想いを伝えよう」とただ口で言っているのではなく、自ら重い荷物を背負った上で、一つ一つ活動を広げてきたという彼自身の下地があるからだろう。そして、それはいまなお、現在進行形であるということも特筆すべき点だ。

 3章ではプレゼンの技術がつづられている。こうした活動の成否は何よりも他者への「啓発」が鍵を握るもので、わたしたち一般市民が目を反らしたがる内容をいかに知ってもらうか、自分ごととして考えてもらうかということを、鬼丸さんは普通の人以上に考えてきたはずだ。そういった礎の上に、本書の内容があるのだ。

 プレゼンやコミュニケーション術、目標達成の仕方などは、ビジネスパーソンにとっても非常に効果的なスキルとして使えるだろう。社会起業に興味がある人はもちろんのこと、社会活動にあまり興味がない人にも役立つはずだ。

(新刊JP編集部)

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