少しずつ分かり合っていく不器用なオトナの恋物語 『Bread & Butter』1巻レビューその人の焼くパンは、しあわせの味がしました

主人公が迷い込んだ一風変わったパン屋で待っていたのは……? しあわせの味に出会ったことから始まる恋物語、『Bread & Butter』第1巻をレビュー。

» 2014年05月19日 12時05分 公開
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わたしと結婚しませんか?
パンを買いに来ただけだったのに
気がつくと 結婚することになっていて
怒涛の急展開

 文房具屋の片隅でパンを焼く変わったお店と、その店主。あることがきっかけで自信をなくしかけていた女性が、その店主の焼いた、しあわせの味に出会ったことから始まる恋物語――。

Bread & Butter 1巻 Bread & Butter 1巻

 『砂時計』『Piece』などの人気作を手掛けた芦原妃名子氏の最新作、『Bread & Butter』(マーガレットコミックス)をご紹介します。

 学校で起きたある事件をきっかけに教師を辞め、婚活を始めることを決意した主人公・柚季。

 ある日、物思いにふけりながら歩いていた柚季は、ぼーっとしすぎていたせいかいままで来たことのない通りに出てしまい、そこで気になるお店を見つけます。

 そのお店――原文具店はどこからどう見ても文房具屋。しかし、その店頭にあったのは「パンあります」という張り紙。不思議に思った柚季が入店すると、そこにいたのは店主の洋一と、素朴ながら美味しそうなパンがところせましと並べられているところでした。

大きな手 パン屋さんて 指が太くなるって聞いた事あるな
自分の手でモノを生み出して 人に売る
こういう仕事は いいな
日々 成果が目に見える

 見た目は同じように見えるのに、給食のコッペパンとはまるで違うパンの味に感動する柚季。

マニュアル通りに作られた素朴なパンなのに
感動するくらいおいしいと思う日も
苦しくて飲み込めない日もあった
わたしの12年間は そんな日々だった

 数日後、結婚相談所から紹介された2人の男性と会ってみる柚季ですが、自分が相手に求めるものが何か分からず、自信をなくしてしまいます。

 そんな折、柚季はパンを買いに再び原文具店を訪ねてみることに。元気が出るパンをください、と冗談めかして言う柚季に対し、バゲットの試食を勧める洋一。彼女はそこで再び、あのしあわせの味に出会います。

 その後も洋一と話を続けながら、彼に勧められるがままバゲットに合わせてさまざまなものを食べていた柚季は、洋一の一言で自分が元気を回復していたことにふと気づきます。

――この人は「メンドクサイ系」だ……
でも嫌味じゃない もっと話したい
何があったんだろう?
時間が足りない もっとここにいたい
わたしは“この人と”美味しいご飯が食べたいなあ
毎日 一緒に

 まさか柚季の脳裏に浮かんだこの思いが、後に彼女自身思いもよらなかった展開を呼ぶことになるなんて……。一筋縄ではいかないオトナの恋が、パンの香りに包まれて、優しく、ゆっくりと始まります。

 タイトルにもある『Bread & Butter』には「生業」「生活の糧」という意味があるそう。美味しいパンとお仕事に囲まれて、柚季の恋がこの先どのように成長していくのか、期待です!

(評:ラノコミどっとこむ編集部/やまだ)

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