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» 2014年04月30日 11時43分 UPDATE

日本の貧困の最底辺 「出会い系」で売春するシングルマザーたち

現代日本の深刻な問題であるシングルマザーの経済的困窮。今回は、「出会い系」で売春するシングルマザーたちに焦点を当てた書籍を紹介します。

[新刊JP]
新刊JP

 現代日本における深刻な問題の1つである、シングルマザーの経済的困窮。昨年夏に話題を呼んだ、シングルマザーの過酷な生活を描いたテレビドラマ「Woman」(日本テレビ系列、2013年7月から9月に放送)を見て、問題意識を持った人も多いのではないでしょうか。

fhfig1115.jpg 日本の貧困の最底辺 「出会い系」で売春するシングルマザーたち

 そんなシングルマザーの闇に焦点を当てているのが、2010年に出版された『出会い系のシングルマザーたち――欲望と貧困のはざまで』(鈴木大介/著、朝日新聞出版/刊)。著者の鈴木大介さんは、『家のない少女たち』で知られるルポライターです。

 出会い系サイトには、30代〜40代前半のシングルマザーの女性が多数アクセスしていると言います。著者はこの実態を探るべく、自ら出会い系サイトにアクセスし、約20人の「売春するシングルマザーたち」を探し当て、取材を重ねていきます。

 浮かび上がるのは、日本の貧困の最底辺といえる、哀しい実態でした。

売春したきっかけは「寂しかったから」

 著者の取材によると、昨今の風俗産業で求められる条件は非常に高いそうです。従って、30代〜40代前半のシンングルマザーの女性は、風俗店で働くことが難しい場合が多く、結果として出会い系サイトにシグルマザーがなだれ込む事態になっているのだと言います。

 ところが、著者が彼女たちに出会い系サイトで売春したきっかけを聞いたとき、複数の女性から返ってきた答えは「だって寂しかったから」でした。

 著者はその答えに「大いに混乱した」と述べ、次のように書きます。

生きるか死ぬかの経済的困窮の中で、身を売るという手段を選ぶならば「やむを得ず」という言葉が当てはまる。だが「寂しかったから」売春するシングルマザーというのは、僕の理解を超えていた。
(中略)30歳も超えようという大人の女が、しかも子を持つ親が、「寂しいから売春した」といって、そこに同情の余地があるはずがない。はずがない、と思っていた僕が、実は浅はかだった。(『出会い系のシングルマザーたち』40-41ページより引用)

 「圧倒的な寂しさ」を生み出す離婚、シングルマザーという特殊な環境と心理。子育て、貧困、うつ、借金、介護……出会い系サイトで売春するシングルマザーたちの生活は、惨たるものでした。そんな環境から生まれる「圧倒的な寂しさ」が、彼女たちを出会い系サイトへ駆り立てているのかもしれません。

生活保護を受給できないわけ

 著者によると、取材対象者のほぼすべてが、精神科に通院していたといいます。うつ病でまともに動くことができず、預金は底をつき、家賃の支払いのためにクレジットカードでキャッシングをし、出会い系サイトで出会った男性からもらうお金が唯一の収入……。

 そんな状態のシングルマザーに、著者は取材の中で、生活保護を受給してはどうかと勧めます。ところが、彼女たちは世間体や子どもがイジメの対象になるのではといった恐れから、生活保護を申請しようとしなかったといいます。

 また、生活保護を受給しようとしない理由として、もう1つ彼女たちが挙げたのが、「婚活にさし障りがある」という理由です。

 「売春するシングルマザー」と「婚活」。意外な組み合わせに思えますが、「この苦しさから抜け出す手段って、再婚以外にあるのかな?」とつぶやく彼女たちの「婚活」は、彼女たちにとって、最後の希望の綱となっている状況でした。

 本書を読んで浮かび上がってくるのは、出会い系サイトで売春するシングルマザーたちの、圧倒的な貧困。彼女たちの実態は自己責任論だけで片づけられるものでは決してありません。

 「心から望むのは、福祉を含め、社会全体の力で子どもを育てていくことが『当たりまえ』に感じられる世の中になってほしいということだ」(『出会い系のシングルマザーたち』172ページより引用)――著者は本書の最後でそうつづっています。

(新刊JP編集部)

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