出版業界ニュースフラッシュ 2014年4月第4週

出版業界で先週起こった出来事をまとめてお届けする週刊連載。4月第4週は改正著作権法が成立したことが大きな話題となりました。

» 2014年04月28日 12時06分 公開
[新文化通信社]
新文化通信社

改正著作権法、4月25日に原案通り成立

 第186回通常国会の参議院本会議が4月25日午前11時から開かれ、出版権を電子書籍に拡張するなど「著作権法の一部を改正する法律案」(改正著作権法)の採決があり、賛成225票、反対1票で成立した。

 同法には「真に実効性ある海賊版対策の実施」「一定期間後に具体的な検証を行い、必要に応じた見直しを検討」「紙媒体の出版権の設定を受けている出版権者であっても、インターネット上の海賊版又はDVD等の記録媒体等による海賊版に対し差止請求を行うことができる契約慣行の改善や『みなし侵害規定』等の制度的対応」などを盛り込んだ付帯決議がつけられている。

出版協、改正著作権法の見直しを要求

 4月25日に成立した「著作権法の一部を改正する法律」(改正著作権法)に関し、日本出版者協議会は「看過できない問題があり、日本の知の伝達と継承を担ってきた出版者を危機に陥れる可能性がある」とし、早急な政府の見直しを求める声明を発表。

 声明では出版者に対する出版権が紙媒体と電子媒体で一体的に付与されていないため、「アマゾンなどの巨大な電子配信業者によって電子出版市場が支配される道をひらいた」とする一方、紙媒体の出版権しか有さない出版者は「デジタル海賊版を差し止められず、海賊版対策として致命的な欠陥がある」と指摘。

 一体的な出版権の設定でない場合、出版者が価格決定権を失い、値引き競争に巻き込まれ、紙の本の売行きに悪影響を及ぼす可能性を懸念。フランスの「電子書籍の価格維持法のような法整備が求められる」としている。

トーハン、8年ぶりの増収決算

 4月24日、藤井武彦社長が東京・目白のホテル椿山荘東京で行った「全国トーハン会代表者総会」で、第67期(2013年4月1日〜2014年3月31日)決算の売上高が約4926億円(前年比0.2%増)で増収の見通しと報告した。増収決算は8年ぶり。利益面については、未確定であると話した。

 同社長は、「返品率を下げることを目標にはしない。商品回転率を高めていく結果として、軽減できるようにする」と基本姿勢を示し、書店の「売上げ最大化」「利益改善」「顧客サービスの向上・強化」について全力を尽くすと話した。

 近藤敏貴副社長は、TONETS Vなどを活用した店頭施策、新刊事前申し込みサービス、ブックライナーによる日曜祝祭日の店着サービス、e-honとDIGITAL e-honのポイントをリアル書店で活用できるようにするなど、店売、外販、客注、複合化で様ざまな施策を発表した。当日は317人が出席した。

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