これが無料? 大学生が作るフリーペーパーがすごい

今、大学生の間でフリーペーパーが熱い。コンテストに電子化、大学生の作るフリーペーパーの魅力に迫る。

» 2014年03月31日 12時00分 公開
[宮澤諒,eBook USER]

 ここ数年、大学生の間でフリーペーパーが盛り上がりを見せているのをご存じだろうか。フリーペーパーというと、駅のラックに置いてあったり、本屋の店先に並んでいて、地元のおいしいお店や、バイト情報などが載っているものを想像する人が大半かもしれない。しかし、大学生たちの作るフリーペーパーはどうやらそういったものとは違うようだ。

センスが光るフリーペーパー

『Chot★Better』 『Chot★Better』(『Chot★Better』のサイトより引用)

 こちらは『Chot★Better』という京都大学の学生たちが作るフリーペーパー。「あなたの学生生活を "Chot★Better" にする」をコンセプトに、大学生ならば誰もが気になる内容を取り上げている。発行部数はなんと1万部というから驚きだ。

『TELSTAR』 『TELSTAR』(『TELSTAR』のサイトより引用)

 『TELSTAR』は宇宙をテーマにしたフリーペーパー。高校生や大学生世代に宇宙開発の魅力について知ってもらい、宇宙開発を盛り上げていきたいという宇宙好きの熱い思いが詰まっている。

『おてもと』 『おてもと』

 フリーペーパーのフリーを「自由」と捉えたかのような作品がこちら。学習院大学の学生(と同大学の卒業生)が作る『おてもと』だ。A3のわら半紙にどこか懐かしい絵柄、大学生とは思えない達観したような文章が読む者を飽きさせない。

表現したい大学生たち

 なぜこんなにもフリーペーパーが大学生の心を捉えているのか。それは大学生の表現をしたいという気持ちを実現するのにピッタリの媒体だからではないか。自由な内容で書くことができ、人に読んでもらうことで満足感を得ることができる。そして、パソコンの普及により誰でも作ることが可能となった。

全国で唯一の学生フリーペーパーの祭典「SFF」

 フリーペーパーを作っている学生ならば恐らく一度は耳にしたことがあるかもしれない。それが学生フリーペーパーの日本一を決める祭典「SFF(Student Freepaper Forum)」だ。SFFは「学生フリーペーパーを文化に」をテーマに掲げ、昨年2013年の開催で8年目を迎えた。当日は全国から集まった数百人の学生であふれかえり、そこかしこでフリーペーパーを片手にトークが繰り広げられる。決勝のプレゼン大会では、プロの編集者やコピーライターに批評を受けることができる。

 前述した『Chot★Better』『TELSTAR』『おてもと』もSFFに参加し、2011年には『おてもと』、2012年には『Chot★Better』、2013年には『TELSTAR』がそれぞれ日本一の称号を手にしている。

広がるフリーペーパーの電子化

 そんなフリーペーパーにいま電子化の波がきている。

 「学生の熱意は、限りない可能性を持つことを証明する」を理念に活動するAGESTOCK実行委員会は、全国の学生が作るフリーペーパーをより多くの人に知ってもらい、盛り上げていきたいとの思いから、学生フリーペーパー展「FREE PAPER MUSEUM」という活動を行っている。同サイトには50冊近い電子化されたフリーペーパーが並び、自由に読むことができる。

 このように大学生たちは身近な人たちに読んでもらうだけに留まらず、ネットを介してより多くの人たちに作品を届けることにこれからのフリーペーパーの可能性を感じているのではないだろうか。もともと無料のフリーペーパーは商業誌に比べ、電子化する際の手間も少ない。また、電子化することで音楽を流したり、動画を埋め込むなど多彩な表現も可能となる。ぜひこれからの学生フリーペーパーの動向に注目してもらいたい。

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