出版業界ニュースフラッシュ 2014年3月第4週

出版業界で先週起こった出来事をまとめてお届けする週刊連載。3月第4週は書店向け“デジタルラック”や、村上春樹氏の新刊が発売前に重版などが話題になりました。

» 2014年03月31日 11時00分 公開
[新文化通信社]
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村上春樹氏の新刊、発売前に10万部を重版

 文藝春秋は4月18日に発売する村上春樹氏9年ぶりの短編集『女のいない男たち』(本体1574円)について、発売前に10万部の重版を決めた。初版20万部と合わせて、早くも30万部に到達した。

 同社では3月15日から同書の発売情報を解禁。書店やネット書店での予約が相次いでいることから重版を決めた。

「ブックンロール2014」、6月27日に開催

 本や書店に関するトークと音楽ライブを融合したイベント「ブックンロール2014」が6月27日、東京・杉並区の阿佐ヶ谷ロフトAで開催される。今年のテーマは「それでも『本屋』で、生きていく」。主催はサイト「空犬通信」を運営する編集者の空犬氏。

 トークの部には、山下書店南行徳店の高橋佐和子氏、MARUZEN&ジュンク堂書店渋谷店の樽井恭子氏、BOOKSルーエの花本武氏、大盛堂書店の山本亮氏が参加。いずれも現場で活躍する中堅の30代。司会はリブロ池袋本店の辻山良雄氏が務める。

 料金は前売1000円、当日1300円(ドリンク代として別途500円)。5月10日から予約を受け付ける予定。

KADOKAWA、新社長に松原眞樹氏

3月27日、取締役会でトップ人事を決めた。松原眞樹常務(60)が新社長に、佐藤辰男社長(61)が取締役相談役に就いた。松原新社長は紀伊國屋書店会長を務めた故松原治氏の長男で、現在、紀伊國屋書店の社外取締役も兼任している。

 KADOKAWAの2014年度が4月からスタートするにあたり、期首から新体制で臨むことになった。

日販のグループ会社、ビジネスマン向け電子書籍レーベル創刊

 日販グループで、Web制作や電子出版を手掛けるクリエイターズギルドは3月27日、電子書籍レーベル「キニナルブックス」を創刊した。ビジネスマン向けに自己啓発や雑学などを提供。価格は250〜500円程度。まずはAmazonのKindleストアで配信する。

 創刊ラインアップは『1時間であなたの魅力が驚くほどアップする技術』『欧米の小・中学校で教えている人を動かす知的論理トレーニング』など8タイトル。その後は毎月5〜10タイトルずつ配信していく。

 創刊を記念して、Facebookに特設ページも開設、「いいね!」を押した人の中から抽選で100人にAmazonギフト券1000円分をプレゼントする。

第20回「編集者が選ぶ雑誌ジャーナリズム賞」が決定

 雑誌編集者ら98人が投票して決まった。大賞は『週刊文春』8月8日号に掲載された「シャブ&飛鳥の衝撃―飛鳥涼は『覚せい剤吸引ビデオ』で暴力団に脅されていた!」。今回から企画賞を新設し2作品を選んだ。授賞式は3月28日、午後6時半から東京・神楽坂の日本出版クラブ会館で。各賞の受賞作は次の通り。

  • スクープ賞=「矢口真里 夫が目にした衝撃不倫現場」(週刊女性 6月4日号)、「就活女子大生をホテルに連れ込んだ『大手マスコミ』人事部長の名前」(週刊文春 5月23日号)
  • 話題賞=「AKB峯岸みなみ EXILE弟分ダンサー宅にお泊まり愛!」(同 2月7日号)、「木嶋佳苗被告から届いた268通の手紙」(女性自身 10月22日号)
  • 作品賞=「『全聾の天才作曲家』佐村河内守は本物か」(新潮45 11月号)
  • 企画賞=「中国猛毒食品」キャンペーン(週刊文春 3月28日号〜5月23日号)、「死刑囚78人、獄中からの『肉筆』全掲載」(週刊ポスト 2月15日、22日号)
  • 写真賞=「スクープ撮! 秋篠宮佳子さまミニスカで『歌舞伎町』を満喫した夜」(FLASH 4月23日号)

SBクリエイティブ、書店向け“デジタルラック”開発

 SBクリエイティブはインテルの協力を得て、書店向けデジタルサイネージ「インテリジェント・ブックシェルフ」を開発した。本棚と情報発信機能を装備した“デジタルラック”。スマホやタブレットに専用アプリを入れた来店者が近づくと、新刊・関連書籍情報が提供される仕組み。その場で電子書籍も購入できるようにした。

 同社は2500点の電子書籍の配信ライセンスを取得しているハーレクインとタッグを組み、既存のハーレクイン専用ラックを置いている約500店舗を目標に順次拡大していく。現在、紀伊國屋書店やリブロの4店舗が導入することを決めている。

 SBクリエイティブでは、電子書籍の売り上げの一部を導入した書店に還元する考え。

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