次に、「読みたい本を簡単に探せるか?」をチェックします。
紀伊國屋書店ウェブストアは、AmazonのKindleストア、楽天ブックスの楽天Kobo電子書籍ストア、hontoと同じように、紙と電子を同時に販売している「ハイブリッド型」の書店です(☆+0.5)。紙の本は日本語の書籍・雑誌だけではなく、洋書、洋古書、海外雑誌も取り扱っています。
紀伊國屋書店ウェブストアはPC WebとモバイルWeb(URLはPCと同じ)があり、Kinoppy アプリストアはAndroidアプリとiOSアプリにあります。iOSアプリにストア機能が搭載されている電子書店は珍しいです。Windows(タブレット含む)やMacから利用する場合は、Webから探す形になります。
読みたい本の書名などが分かっている場合は、最上部の検索欄左側の[和書を探す]プルダウンを[電子書籍を探す]にしてキーワードを入力すればOKです。サジェスト機能にも対応しています。
紙と電子の両方を検索結果に表示できる(そして絞り込みもできる)Amazon.co.jpやhontoネットストアとは異なり、[和書を探す]の検索結果には紙の本だけ、[電子書籍を探す]の検索結果には電子の本だけが表示され、同じ画面では比較できません。
検索結果一覧の初期状態は、並び順が[売れている順]、表示方法が[画像あり]で、それぞれ[指定なし][新着順]と[画像なし][サムネイル]に切り替えられます。リニューアル前と変わらずいずれの場合も表示件数は最大10件で、やや一覧性に欠けます。また、[新着順]を選択してもシリーズが発売順に並ばない場合があります。
検索結果一覧からの絞り込み条件は、出版年月と著者名のみです。以前は出版社やジャンル(レーベル名を含む)でも絞り込めたので、リニューアル後の方が不便になっています。これにより、コミックとラノベの両方が存在する場合に区別がしづらいなど、全般的に目的の本を探し出すのがやや困難です(☆-0.5)。
作品タイトルの表記が統一されていないケースも目立ちます。例えば『進撃の巨人』は、1巻が「進撃の巨人 〈1〉 Shonen magazine comics」、2巻が「進撃の巨人 〈2〉 少年マガジンコミックス」、9巻が「進撃の巨人 〈9〉 少年マガジンKC」、10巻が「進撃の巨人(10) 進撃の巨人」と、レーベル名の表記や有無・巻数の括弧がバラバラになっています。
読みたい作品が決まっておらず「何か面白い本はないかな?」と探す場合は、左カラムの[ジャンル一覧]や[フェア]、中央カラムの[文芸][ビジネス][新書・選書][コミック][ライトノベル][雑誌]タブや、ベストセラー、PICK UP、特集バナーなどから絞り込んでいきます。
前項「ラインアップは充実しているか?」でも触れましたが、ジャンル一覧では一部のレーベルだけがサブジャンルに表示されます。以前は「文庫 > 日本文学 > 文春文庫」といった形で、レーベル名も左カラムに一覧表示されていたので、一部のレーベルだけが表示されるのはかなり違和感を覚えます。
例えば、講談社ノベルスの本は[文芸]の中の[ノベルス-講談社ノベルス]に登録されており、[ノベルス]にはありません。逆に、[ノベルス]には講談社BOXや朝日ノベルス・ソノラマノベルスなどの本が登録されていますが、これらのレーベルは[文芸]を開いても左カラムには表示されないのです。
作品詳細画面の書誌情報は、書影・タイトル・著者名・原作者・キャラクターデザイン・レーベル名・出版社・レーベル名・作品解説文・ファイル形式・ファイルサイズ・発売年月・ISBN・NDC分類・対応端末・お試し版ダウンロード・同じシリーズの商品一覧などです。
新たに「この商品が入っている本棚」と評価点表示、[著者名をお気に入りに登録する][続刊のお知らせを受け取る]ボタンが追加されています。SNSへのシェアは、Twitter・Facebookに対応しています。
お試し版ダウンロードは、用意されていない作品もあります。確認した範囲では、コミックにはサンプルが用意されていない場合が多いようです。
作品詳細画面にもジャンルの表記がないため、コミックとラノベの両方が存在する場合などに区別が困難です。また、発売年月は紙の本が出版された年月の情報で、紀伊國屋書店ウェブストアで配信開始されたのがいつかは分かりません。以前は発売年月日まで表示されていたのですが、年月だけになってしまいました。
以前は存在していた「著者紹介」情報や、「この本を買った人はこんな本も買っています」や「同じ分野でこんな商品が売れています」といったリコメンドもなくなり、自分がクリックした情報に基づく「最近チェックした商品」が表示されるのみとなっています。
また、紙と電子の両方を扱っていますが、電子版のページには紙の本の価格やページ数といった情報が載っておらず、[紙の書籍はこちら]というボタンがあるだけです。紙の本のページにも電子版の情報は載っておらず、電子版のページへのリンクが貼られているだけです。
このように、作品詳細画面も、以前より情報が少なくなったり、機能が省かれていたりと、本を探す際にストレスを感じる点が目につきます(☆-0.5)。
新機能の「この商品が入っている本棚」は、ユーザーが「ほしい物リスト」と「買ったものリスト」から公開したものが一覧で見られる機能で、作品詳細画面には評価点だけが表示されます。作品詳細画面からリンクされているのはあくまで本棚で、ユーザーによるコメントは一覧からたどって探す必要があります。
また、Kinoppy アプリストアの評価点・レビューと、ウェブストアの評価点・レビューは別系統です。Kinoppy アプリストアには以前から評価点とレビュー機能があり、ウェブストアには後から「この商品が入っている本棚」として機能追加されましたが、Kinoppy アプリストアにある評価点・レビューはウェブストアからは見られず、別系統にしているメリットはまだ感じられません。
続いてモバイル向けWebサイトをチェックします。レスポンシブデザインを採用しており、URLはPC向けと同じです。キーワード検索時のサジェスト機能が効かないほか、出版年月と著者での絞り込みができないなど、機能的にはPC Webより劣っています。
続いて、Android向けアプリ「紀伊國屋書店Kinoppy for Android」の場合です。アプリはGoogle Playから無料でダウンロードできます。
ストア機能はイチオシ新作や特集一覧・配信予定リストを表示する[おすすめ]と、検索機能の[ストア]に分断される形になりました。[おすすめ]は書店の平積みのように、書影だけがズラッと並ぶ形です。書影の解像度が低いのが残念です。
筆者の場合、メニューとして分断されたことで、[おすすめ]はまったく見なくなってしまいました。前回調査では、ウェブストアには辛い点数をつけたものの、Kinoppyストアには比較的高い評価を付けていただけに、この施策の意図はどう解釈すべきか理解に苦しむ部分です(☆-0.5)。
検索結果一覧は、並び替えや[画像なし]といった表示切り替え機能がありません。スクロールすると自動読み込みされ、ヒットした全件が表示されます。一覧の状態で著者名、出版社と、Sony Readerに対応している場合にアイコンが表示されますが、レーベル名は表示されません。絞り込みは、Reader対応と、トレースズーム対応だけが可能です。
続いて、iOS向けアプリ「紀伊國屋書店Kinoppy for iOS」の場合です。iTunes App Storeから無料でダウンロードできます。
Android向けアプリと基本的には同じで、[おすすめ]と[ストア]が分断されています。
Twitterの公式アカウントは積極的に情報発信していますが、あまりユーザー・読者との交流をしている様子はありません。Kinoppy 開発チームは交流にも積極的です。
評点:☆2.0
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