Pocketbook CADのレビュー

電子ペーパーを用いたデバイスを電子書籍リーダー以外に展開しようとするPocketbook。13.3インチのFina電子ペーパーを採用する「Pocketbook CAD」に勝機はあるだろうか。

» 2014年02月13日 18時15分 公開
[Michael Kozlowski,Good e-Reader Blog]
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 Pocketbookは標準的な電子書籍リーダーの製造をやめ、より特定の市場をターゲットにしている。同社はAutodeskのCADソフトウェアを利用していて、1日使用してもバッテリー切れを起こさないデバイスが必要なデザイナーをターゲットにしている。CES 2014で目にしたこのデバイス「Pocketbook CAD」のプロトタイプのレビューをお伝えしよう。

 PocketBook CAD Readerは13.3インチのスクリーンを搭載し、「Fina」と呼ばれるE Ink技術を利用している。Finaは超軽量のガラス基板を用いており、片手で容易にホールドできる。1GHzデュアルコアCPU・2Gバイトメモリ・16Gバイトの内部ストレージを搭載する。ネットワークはWi-Fiのほか、オプションで3Gモジュールを追加できる。大容量8000mAhのバッテリーのおかげでデバイスを数日間利用できる。

 このデザインフレンドリーなデバイスはAndroid 4.0.4を搭載し、最終製品はかなり直感的なインタフェースを備えるはずだ。最近開いたCADドキュメントが画面上部に表示され、5つのドキュメントを表示するのに十分なスペースがある。ディスプレイ左手にはデバイスにバンドルされたAndroidアプリが表示され、ほかにも幾つかのウィジェットが均等に配置されている。

 CES 2014で展示されていたものは、基本的に自動車、飛行機、建造物の概略図のCADドローイングをスライドショー形式でループしていた。これは、デバイスがサポートするドローイングのタイプを示すためのものだ。筆者はループを見ているだけでは飽き足らず、違う画面を確認しようとしたのだが、そこからすべてが非常におかしな方向へと進んだ。ループを外れると標準Androidインタフェースが表示された。ここでは何も機能せず、『設定』をクリックして幾つかのオプションを選択したが、まったく反映されなかった。『ギャラリー』はクラッシュし、まったく機能しなかった。Pocketbookは明らかに自社の新CADリーダーをコントロールされた環境で展示し、ソフトウェアの未来の方向性を示したかったようだ。明らかにこのデバイスは更なる開発を必要としており、現状では使いものにならない。

 このデバイスの市場は存在するだろうか。多くの本気のデザイナーはiPadのようなタブレットを利用している。Pocketbookは製造原価を下げるのに十分な量のデバイスを製造できないので、価格は400ドル近くになりそうだ。しかし、このデバイスは本当に軽量で、直射日光下で利用でき、Autodeskのソフトウェアを利用するCADドローイングはどれでもレンダリングできる。非常に特定のニッチ市場向けで、電子読書ソフトウェアすら搭載していない。

 最後に、Pocketbookは非常に優れた動画を作成しており、その中でCADリーダーがどのように現実世界で利用されるか実例を上げている。これまで見た中で最高の動画の1つで、制作価値は高い。E InkによるとPocketbookは動画の制作に1万5000ドルしかかけておらず、それにはポストプロダクションも含まれている。

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