本屋探訪記:二足のわらじ的ブックカフェ「Brown’s Books & Cafe」は下北沢にある

BOOKSHOP LOVER=本屋好きがお届けする詳細な本屋レポ。本屋が好きならここに行け! 今回は下北沢の「Brown's Books & Cafe」を紹介する。

» 2014年02月03日 12時00分 公開
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Brown's Books & Cafe

 最近は何かと下北沢に行くことが多いのだが、ここのことはiPhoneのマップ検索で初めて知った。下北沢の駅から少し外れたところにあるコンクリート打ちっ放しのビル。5階に上がるとそこには落ち着ける雰囲気の素敵カフェがある。今回の本屋探訪記は「Brown's Books & Cafe(ブラウンズブックス&カフェ)」(以下は2012年8月11日の記録だ)。

謎のぬいぐるみがお出迎え

 エレベーターを降りると目の前は窓で謎のぬいぐるみが出迎えてくれる。毛むくじゃらだけど何て名前の動物だろう。

 右折するとすぐ店内。窓からの光が心地よい絶妙な明るさの店内はほぼ正方形。右辺の奥にカウンター席と事務空間、左辺奥とカウンター席の手前、入り口に面した辺にそれぞれ本棚がある。席はカウンターと窓沿い、さらにカウンター前の大テーブルにも幾つかある。カウンター席に座ると素敵マダムが迎えてくれた。

美味しいメニュー

 ここに入った理由はiPhoneマップで見つけたというのもあるが、実は小腹を満たしたかったというのが本当のところだったりする。カウンター席に座った僕は迷わず紅茶とサンドイッチを注文した。

 ブックカフェのメニューなので期待していたと言えば嘘になるのだが、注文したメニューはこれがまた美味かった。写真を撮り忘れたのが残念なことこの上ないのだが、食事を取るという意味でもこの店は良い店だと思う。

『BARFOUT!』のインタビュー場所

 驚くなかれ。何とBrown's Books & Cafeは店の宣伝用フリーペーパーを持っている。しかも、ただのフリーペーパーではない。読み応えがたっぷりの雑誌『BARFOUT!(バァフアウト!)』のインタビュー記事が載っているのである。何せ僕は宣伝用フリーペーパーだとは知らずに読みものとして既に持っていて、この店に来てから初めて気づいたくらいなのである。素晴らしいクオリティのフリーペーパーなのだ。

 それもそのはず、このBrown's Books & Cafeは『BARFOUT!』の編集部でもあるのだ。店内をよく見るとカウンターの奥に作業場のような場所がある。そこで作業するのだろう。平日は編集部で土日はブックカフェ。二足のわらじ的な空間の使い方である。

左辺奥の本棚

 さて、前置きが長くなったが本棚の説明に入ろう。まずは左辺奥の本棚から。Brown's Books & Cafeではジャンル分けがほとんどないので、品ぞろえを挙げてみる。

 山田詠美、政治の本、『近代ヤクザ肯定論』などヤクザ系、『東京カフェを旅する』、漫画『ヒート』『サンクチュアリ』『ゴルゴ13』が下段2段を2列占拠、漫画『アドルフに告ぐ』、村上龍、『阪神間モダニズム』『世田谷ライフ』『本屋さんへ行こう』『ブルータス』『散歩の達人』など雑誌、山本直樹『レッド』、手塚治虫。

 さらに、ジムキャロル、五木寛之、アラン『幸福論』、『ジャンコクトー全集』『ヘンリミラー全集』『スターバックス成功物語』『セゾンの活動』『セゾンの歴史』などだ。

 マンガが3分の1、雑誌が3分の1、ほかのハードカバーや文庫が残りといった構成となっている。面白いのがセゾンについての本が2冊もあったことだ。しかも、社内向けのものである。なぜここにこんな本があるのだろうか。何か関係があるのだろうか。謎は深まるばかりである。

入り口に面した辺の本棚

 入口まで戻ってすぐ横の本棚を見ると『BARFOUT!』が棚3つすべてを占領している。それはそうだ。この店でインタビューをしているのだから。

 この『BARFOUT!』棚の隣にはビジネス本がメインの棚がある。一番上だけは本の本で、『編集王』や『東京BJ』『噂の真相イズム』『青春の少年ジャンプ』など。中段以降はホリエモンの本や『マイクロトレンド』『ドラッガー名言集』『バズマーケティング』など。

 下段は有名人の本が多い。『壁を破る言葉』、北野武の本、大橋巨泉の本などだ。最下段は絵本。この店に来てビジネス書を読むのはどうも変な感じがするが、あるのだから読む人がいるということだろう。

店舗右辺カウンター席前の壁棚

 ここには3列の棚がある。『窓際のトットちゃん』や『ダディ』、江口寿史など有名人系の本からマンガ、スポーツ、音楽ジャンルの本が置かれている。

 マンガ『あぶさん』や村上龍、矢沢永吉、井上陽水、尾崎豊、みうらじゅん、美輪明宏、そのほか野球関連の本、ジョン・レノンの本、マドンナの本、ボブ・ディランの本、マイケル・ジャクソンの本、『ストッパー毒島』『デトロイトメタルシティ』『ベック』、そして『月刊カドカワ』も置かれていた。

店主の本棚、持ってきました

 カオスな棚である。ビジネス系の棚かと思ったら突然マンガが出てきたり音楽の本が出てきたり。

 選書したり棚づくりをしたりというよりはまさに個人の本棚をそのまま持ってきたような棚である。その分、Brooklyn Parlorとは違う気安さがここにある。

 だからこそ、本目当てでこの店に来ると火傷することがあるかもしれない。そこは店主の好みと合わなければ仕方ないのだ。その場合は、持参の本を読みつつお茶とケーキに舌鼓を打つのが良策だろう。

 下北沢で歩き疲れたときにはぜひ行ってほしいと思えるブックカフェだった。

著者プロフィール:wakkyhr

本屋開業を目指す本屋好きサラリーマン。ブログ「BOOKSHOP LOVER」を中心に活動。同名のネット古本屋も営む。このほか、電子雑誌「トルタル」や本と本屋とつながるWebラジオ「最初のブックエンド」、NPO団体「ツブヤ大学」に本に関するイベントの企画班として参加。「Cannes Lions 2013 Book Project」ではプロデューサーを務める。理想の本屋さんを開くべく本の世界で縦横無尽に活動中。好きな作家はクラフト・エヴィング商会。一番好きな本屋は秘密。

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