インタビュー
» 2013年12月27日 12時53分 UPDATE

「天上天下唯我独尊」の本当の意味 (1/2)

つらいことや悲しいことがある日々を幸せに過ごすにはどんな心がけが必要なのでしょうか。『ほとけ様に教わった 毎日をハッピーにする90の方法』の著者であり、住職である南泉和尚にお話を伺いました。

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 生きていればうれしいことがある半面、つらいことや落ち込むこともあります。もしかすると「いいことと悪いことは半分半分」というのはウソで、実際は悪いことの方が多いのかもしれません。

 そんな人生を、幸せを感じながら生きていくにはどんな心構えとは何か? いったいどうすればわたしたちは毎日ハッピーに生きられるのか?

 そのこつを探るべく、今回は『ほとけ様に教わった 毎日をハッピーにする90の方法』(ディスカヴァー・トゥエンティワン/刊)の著者で、秩父札所十三番曹洞宗慈眼寺の住職である南泉和尚にお話を伺いました。

fhfig829.jpg ほとけ様に教わった 毎日をハッピーにする90の方法

―― 『ほとけ様に教わった 毎日をハッピーにする90の方法』について、まずはこちらの本をお書きになったいきさつについて教えていただければと思います。

南泉和尚(以下、南泉) 僕はお寺の住職なのですが、そのお寺で幼稚園を経営していて、それが非常に苦しい時期があったんですね。要するに子どもが集まらなかったりとか、何かトラブルが起こるとか。それを何とか乗り越えることができて、同じような幼稚園・保育園の経営者にその経験を話していたんですけど、だんだん話を聞いてくれる人が増えていって一般の会社員の方などからも「すごく勇気をもらえた」などといってもらえるようになったんです。

 それで「もしかしたら自分の経験や考えてきたことは、ほかの人の役に立つのかもしれないな」という気持ちが少しずつ出てきて、本として出せたらいいなと思うようになりました。

―― 本書には、お釈迦様の説話をベースにした、心を軽くしてくれるお話が90個集められていますが、本当は載せたかったけど今回の本には入れられなかったお話もあるのではないですか。

南泉 それはもう、本当にたくさんあります。今回の本ではお釈迦様の説話の中から分かりやすいものをピックアップして、各章のテーマに沿って書いていきました。

―― 執筆時に注意した点がありましたら教えていただければと思います。

南泉 一般の方は、仏教というと「お経は何が書いてあるか分からないし、難しい」というイメージがあると思うんですけど、実はそんなことはないですし日常生活からかけ離れたものでもありません。

 そういうことを伝えたかったので、できる限り分かりやすく伝えるというのはすごく意識しました。

―― 確かに、この本はかなりシンプルな言葉で書かれていますね。

南泉 何で仏教に難しいイメージがあるのかというと、やはり仏教には長い歴史がありますから、時には天才的な人が出てくるわけですよ。そういう人の中にはお釈迦様の教えを哲学的にとらえて難しくまとめ上げようとする人もいたんです。もちろん、それはそれで仏教の1つの形ですし、修行に修行を重ねて仏教の摂理を研鑚し続ける人も必要なんですけど、それだとお釈迦様の教えが一部の人のものになってしまう。

 でも、ほとんどの人はそんなことはしていなくて、普通の生活をしているわけですし、僕にしてもお寺の中にはいますけど生活自体は一般の方と変わりません。それを考えると、もっと別の伝え方があるのではないかと思いました。

―― 南泉和尚が理事長をされている幼稚園も仏教に基づいた教育が行われているのでしょうか。

南泉 そうですね。僕が直接教えているわけではないのですが。

―― 子どもたちにお釈迦様の教えを聞かせたりするとどんな反応があるのでしょうか。

南泉 お釈迦様の子どもの時の名前を知っているかと、子どもたちに聞くと、みんな「ゴータマ・シッダールタ」と返してくれますね。

 「花祭り」というお釈迦様の誕生日を祝うお祭りがあるんですけど、その日にはお釈迦様の有名な「天上天下唯我独尊」という教えについて園長が話して聞かせています。

 これは誤解されがちなんですけど、天にも地にも我一人ということで、一人一人がとても大切な存在なんだよ、ということ。だから、「わたしも大切、あなたも大切、お互いにみんな大切なんだよ」というようなことを子どもにも分かるように伝えるのですが、わたしよりも園長の方が上手ですね。実は園長は僕の妻なのですが。

―― この本は「人生をハッピーにする」という目的で書かれています。しかし、現実には多くの人が生活の中に幸せを見つけられずにいます。「ハッピーに生きられない」原因はいったいなんなのでしょうか。

南泉 1ついえるのは、ほかの人と自分を比べてしまうことです。そして「人より劣っている」「人とずれている」などと考えてしまう。まずそういう比較をなくすことが大事だと思います。「自分は自分、他人は他人」でいいじゃないですか。

 そして、今あるもの、今持っているものに感謝することですね。自分の持っていないものを追いかけるのではなく、自分の中の宝物に目を向けましょう、ということです。

 仏教には「仏法僧」という3つの宝物があって、一般生活に置き換えて話すと「仏」は先生とかメンターで、「法」は計画です。5年後、10年後に自分は何をしているかというライフプランですね。最後の「僧」は「仲間」です。この3つはハッピーに生きるためにとても大事です。

 ただね、この3つがあっても困難や苦労は必ずやってきます。その時に逃げてしまうのか、それとも「これは俺が成長できるチャンス」と思えるかというのは大きな違いですよね。

 つまり、みんな自分の受け止め方次第なんですよ。プラスに受け止めるかマイナスに受け止めるかで答えは変わる。だとしたら、ハッピーに生きたいのであればもう自分でハッピーだと思ってしまえばいい。「自分はハッピーで、この先どんなことがあっても必ず乗り越えられる」って自分で信じ込んでしまえばいいんです。

―― しかし、将来のことについてはおそらく誰でも不安で、「必ず乗り越えられる」とはなかなか思えないものです。そういった未来ヘの不安にはどのように対処していけばいいのでしょうか。

南泉 どんなものであれ「不安」っていうのは将来のものです。つまり、まだ実際には起こっていないわけです。

 「お金がなくなったらどうしよう」も「仕事がなくなったらどうしよう」も、みんなまだ起こっていないことです。そんなことは起こってから考えればいい。

 そして、もし不安が現実になってしまったら「チャンス」ととらえればいいんです。

―― そういった考えが持てるようになるにはやはり修行が必要なのでしょうか。

南泉 そんなことはありません。僕が坊さんだからできるわけじゃなくて考え方を変えれば誰でもできることです。

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