出版業界ニュースフラッシュ 2013年12月第2週

出版業界で先週起こった出来事をまとめてお届けする週刊連載。12月第2週は、第48回書店新風賞の発表などがありました。

» 2013年12月16日 12時30分 公開
[新文化通信社]
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日教販、6期ぶりの赤字決算

 12月13日、第65期(平成24年10月1日〜同25年9月30日)決算の概要を発表した。売上高は310億9200万円(前年比6.6%減)、営業利益3億0971万円(同約36%減)、経常損失9684万円、当期純損失1億6408万円。赤字決算は59期以来、6年ぶり。同社では、家電量販店とネット書店の販売を撤退することを決めており、12月に取引きを終えるという。

 売上高の内訳は、「書籍」約230億円、「教科書」73億円など。教科書を除く返品率は21.4%(同3.2ポイント減)。経費も削減したが、営業利益の減少から経常ベースは損失となった。

 役員人事では、経営企画部長の宮下謙一氏が取締役に新任。12月20日に行われる株主総会で決議される見通し。

第48回書店新風賞に『人生はワンチャンス!』(文響社)

 12月11日、書店新風会が発表した。会員書店のスタッフから候補518点が挙がり、投票により決定した。

 最終選考では同書のほか、『ロスジェネの逆襲』(ダイヤモンド社)と『医者に殺されない47の心得』(アスコム)が残ったという。事業拡販委員長の小林卓郎委員長(煥乎堂)は「『人生はワンチャンス!』に多くの書店員がコメントを寄せた。読者も書店員も楽しませた本」と総括。

 同書は昨年12月に初版1万8000部で発売。現在43万8000部(18刷)。文響社が設立して3点目の書籍だった。『人生はニャンとかなる!』と合わせて102万部を超える大ヒット作になっている。

書・雑協など出版団体、「特定秘密保護法」への抗議続々

 日本書籍出版協会(書協)、日本雑誌協会(雑協)、日本出版者協議会は、12月6日に参議院本会議で可決、成立した「特定秘密保護法」に対する抗議文を発表した。

 書協「出版の自由と責任に関する委員会」と雑協「人権・言論特別委員会」は、出版者は「政府が秘密とする情報でも、当然国民が知っておくべき情報については、すみやかに読者に伝える社会的責務を負っている」とし、同法律が「取材・記事作成に重大な障害となる」と指弾。出版協も「民主主義への暴挙」であり、「断固反対」の意志を表明している。

 なお、児童書出版関係者有志328人も、11月29日付けで特定秘密保護法案の廃案を求める共同声明を発表していた。

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