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» 2013年10月08日 11時30分 UPDATE

ヒッ! 美しすぎる! 本物の王子様が愛で世界を救う『王子降臨』

既存の小説ジャンルではとても言い表せない、唯一無二の「王子」が活躍する小説『王子降臨』を紹介します。

[ラノコミどっとこむ]
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 いつか、わたしにも白馬に乗った王子様が現れて……。

 そんな儚き乙女の願いは今も昔も変わらず、王子様というものはあらゆる女子を夢中にさせる存在である。カッコよくて、優しくて、まるで王子様のような人。そんな存在へのあこがれが、2次元3次元問わず、多くの女子を惹きつけてやまないのは紛れもない事実だ。

王子降臨 王子降臨

 だがしかし、まさか、本当に! 本物の王子様が降臨する時代がくるなんて思いもしなかった。それも戦国時代に! 『王子降臨』(小学館ガガガ文庫)には、その名の通り、金髪碧眼、麗しき西洋の気品漂う本物の王子様が降臨している。

 ときは戦国。空は哭き、地は痩せ、人心は乱れ、まさに地獄のような時代。光の国から一人の王子がこの地に舞い降りた。両親を失い、ひとりで生きてきた少年・鳶丸(とびまる)は、ある日、天女と見間違うほどの美しき男性と出会い、その身を助けられる。

「私は、王子。光の国から姫を探しにやってきました」

 麗しき王子に一目惚れしてしまった鳶丸は、王子と行動をともにし、王子が引き起こすさまざまな奇跡を目にする。枯れた泉に水を湧かせ、難病の少女を救う王子。外見だけではなく、内面までもが美しい王子の様子には、善者も悪者も老若男女問わず、ついには略奪を繰り返す女盗賊、暈魔盗賊団の首領・暈魔蛾彩(かさまがあや)までも虜にしてしまう。

 やがて、探していた姫が、人々を苦しめる岐賀城の悪しき領主、鬼真壁の異名を持つ真壁弾正(まかべだんじょう)に囚われていると知った王子は、悩みながらも行動を起こす。

 といったあらすじをご紹介すると、賢明な読者ならこう思わざるを得ないだろう。ツッコミが追いつかない!と。

 しかし、このぶっとんだ世界観やハチャメチャな設定も、なぜか王子という存在の前では納得してしまう。すべてに寛容になってしまうのが本作の凄いところである。それもそのはず。王子自身はいつだって至って真面目なのだから。

 王子の美しさはイケメンなんて、そんな陳腐で容易な言葉ではとうてい言い表せない。王子を目の前にすれば、動物でさえ王子に恋をする。森羅万象が、王子に手を差し伸べてくれる。

 物語を読み進めると、そんな王子のいる風景が、わたしの頭の中にも自然と広がっていく。ああ、王子様……! 醜女たるわたしの脳内にまで降臨なされるなんて……! と恍惚の表情を浮かべてしまうことは必至だ。

 王子の美しさは罪? いや、正義である。王子の美しさは文字通り、世界を救うのだ。世にはびこる名ばかりの雰囲気イケメンですくわれるのは、精々足元ぐらいだが、王子は違う。彼は間違いなく世界を救うのだ。

 そりゃあ、やんちゃ系達観ショタボーイの鳶丸もおいらだって王子様の子どもをみごも……なんて思わず言っちゃうわけである。

 鳶丸くん、君はいったい何を言っているのだね……? と普通なら、人生の道を大きく踏み外そうとしている少年を優しく諌めるべきなのだろう。けれど王子を前にすれば 「ああ、そうですね。誰だって、たとえ男だって、王子様の子どもなら喜んで産みたいと願ってしまう、そう王子様ならね」 と思ってしまうのも納得していただけるだろう。

 だが、時は戦国乱世。物語の行く末は、王子の美貌のようにきれいなまま……では済まされず、そこには非情な現実が待ち受けていた。残虐非道な真壁の行い、死人が絶えぬ戦い。それでも物語の最後は不思議と爽やかで、希望に満ち溢れている。

 ページをめくる手は、決して重くならない。そのページに描かれているのが全裸の王子と鳶丸というだけで。

王子降臨。

 果たしてこの小説はどのジャンルに属するものなのだろうか。シリアスな場面に突然起こるシュールな笑い。時代劇? ファンタジー? ボーイズラブ(BL)? 既存の小説ジャンルではとても言い表せない、その姿はまさに王子そのもの。王子小説。紛れもない唯一無二の存在。

鳶丸。光があれば人は起ちます。

 そういった王子の姿、言葉がわたしの脳裏から離れない。間違いなく、王子はわたしの光。わたしも王子の虜である。

(評:ラノコミどっとこむ編集部/やまだ)

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