出版業界ニュースフラッシュ 2013年8月第5週

出版業界で先週起こった出来事をまとめてお届けする週刊連載。8月最終週は、電子書籍業界で懸案となっている海外事業者への消費税課税を求める動きが活性化しています。

» 2013年09月02日 11時30分 公開
[新文化通信社]
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業界9団体、「海外事業者に公平な課税適用を求める対策会議」を発足

 文字・活字文化推進機構、日本出版インフラセンター(JPO)など出版業界9団体は8月8日、同対策会議を発足した。アマゾンを始めとした、サーバを海外に置く事業者による電子書籍(デジタルコンテンツ)の販売は、消費税が課税されない。紀伊國屋書店の高井昌史社長が、7月2日に開催された「フューチャー・ブックストア・フォーラム」(FBF)においてこの問題を指摘し、JPOが対応を検討していた。

 対策会議では、すでに「海外事業者のコンテンツに対する公平な消費税課税に関する要望書」をまとめており、今後、活字文化議員連盟、電子書籍と出版文化の振興に関する議員連盟、経産省、各政党の税制調査会に提出する。

 対策会議の会長は肥田美代子氏(FBF会長)。9団体は文字・活字文化推進機構(=事務局)、JPO、書協、雑協、取協、日書連、日本電子書籍出版社協会、出版文化産業振興財団、電子出版制作・流通協議会。

集英社決算、減収減益に

 8月29日、第72期(平成24年6月1日〜同25年5月31日)決算を発表し、売上高は1253億4900万円(前年比0.6%減)、当期純利益は31億8200万円(同15.2%減)だった。売上高の内訳は、「雑誌」が774億6600万円(同5.7%減)、「書籍」が171億2200万円(同4.0%減)、「広告」が114億5300万円(同2.7%増)、「その他」(版権、ウェブ、物販)が193億0800万円(同29.3%増)だった。

 役員人事では石渡孝子、郄森茂、茨木政彦の3氏が取締役に新任。鈴木寿夫専務は退任し、顧問に就いた。

光文社、3年連続で増収増益決算

 8月26日、講談社の本社で株主総会および取締役会を行い、第69期(平成24年6月1日〜同25月5月31日)決算と役員人事を決めた。

 総売上高は249億5900万円(前年比1.3%増)、営業利益20億8600万円(同33.5%増)、経常利益25億0700万円(同40.5%増)、当期純利益21億9200万円(同96.0%増)。雑誌・書籍の販売収入は同1.7%と前年実績に及ばなかったが、広告収入が同3.2%増、「その他の収入」が42.1%と伸長した。

 役員人事では、高橋基陽社長が代表権をもって会長に、丹下伸彦専務が代表取締役社長に昇任。また、烏山公夫氏(マーケティング局長)が取締役に、残間直巳氏が監査役に新任した。

『永遠の0』(講談社文庫)、300万部突破

 百田尚樹氏の同作が、9月11日に流通する44刷の重版で、累計300万部に達する。同書は2006年に太田出版が単行本を発売し、2009年7月に「講談社文庫」に。

 発売から3年3カ月の2012年10月に100万部を突破。また、今年の4月に百田氏が『海賊とよばれた男』(講談社)で「2013年本屋大賞」を受賞したことで、「永遠の0」も加速し、同6月に200万部を発行していた。

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