インタビュー
» 2013年08月13日 13時00分 UPDATE

新しいマーケティング手法をビジネス小説で説明した理由 (1/3)

「O2O」を理解できる小説を出版した中沢敦さん。物語の中にもアドバイザー的立ち位置で登場する中沢さんにインタビューを行った。

[新刊JP]
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 FacebookやTwitterなどをはじめとしたSNSの普及によって、各企業のプロモーションのやり方は大きく変わった。その中でも今、注目を浴びているのが「O2O」(オンライン・ツー・オフライン)という新しいマーケティング手法。しかし、まだこのマーケティング手法を説明している書籍は少なく、どの本を選べばいいのか分からないという方も多いはず。

fhfig528.jpg 『なぜ小さなコスメ店が大型ドラッグストアに逆襲できたのか?』著者の中沢敦さん

 株式会社パルディア代表取締役社長の中沢敦さんが執筆した『なぜ小さなコスメ店が大型ドラッグストアに逆襲できたのか?』(中経出版/刊)は、糸川市という架空の地方都市のシャッター商店街にあるコスメ店を経営することになった若い女性(有村小雪)が、郊外にできた大型ショッピングモールのドラッグストアに戦いを挑んでいくというビジネス小説。その中でO2Oを駆使した店頭プロモーションが展開されており、非常に分かりやすく、マーケティングの先端が理解できる内容となっている。

 今回は、著者でこの物語の中にもアドバイザー的立ち位置で登場する中沢さんに、本の話からマーケティングの最先端までお話をうかがってきた。

(新刊JP編集部)

進化し続けるマーケティングの最先端とは?

―― 本書は、最新のネットマーケティングの手法が詰め込まれたビジネス小説となっていて、非常に読み応えのある内容ながら、今、小売店ではどのような店頭プロモーションをすべきかが分かる一冊でした。マーケティングのやり方は常に新しくなっているんですね。

中沢敦さん(以下中沢) ありがとうございます。おっしゃる通り、マーケティングの手法はどんどん新しくなっていますね。特にスマートフォンが広く普及してきているのが大きな要因で、この本の軸の1つにもなっているO2O(オンライン・ツー・オフライン)という新しいマーケティング手法も、スマートフォン普及の潮流の中で注目を浴びるようになっています。ただ、このO2Oは新しい考え方ということもあって、体系化して説明している本がまだないので、店頭プロモーションの専門家として本を出して、世の中の人たちにより認知してもらおうとしたのが、この本を書く始まりの部分でした。

―― 体系化して書くということは、当初はこのような物語形式ではなかったということですか?

中沢 そうなんです。もともとはO2Oの専門書を出したいと思っていたんです。例えば、『60分で理解できるO2O』とか。

―― それも面白そうな本ですね。ところで、いままでのお話の中にも出てきて、この本の軸の1つにもなっている“O2O”とはいったいどういうものでしょうか。

中沢 これは、いわばオンラインとオフラインの連携です。以前、『クリック・アンド・モルタル』という用語があったのを覚えている人も多いと思いますが、それは、例えば『ぐるなび』などのサイトでお店を探して、クーポンを発行して予約する……というような、オンラインで情報を集めたり予約をしたりして、実際の店舗へ誘導するというものでした。そうした手法が、スマートフォンやソーシャルメディアの普及によって進化をとげて、O2Oになったんです。

―― つまり、さまざまなオンラインのツールとリアル店舗を連携させるということですね。

中沢 簡単に言えばそうなりますね。ソーシャルメディアやスマートフォンを含めた形で、オンラインでプロモーションを仕掛けて、来店促進を計るということです。

―― 本作はとある地方のシャッター商店街にあるコスメ店を継ぐことになった「有村小雪」という登場人物が、郊外の大型コスメ店に勝負を挑むという設定になっていますが、モデルとなったエピソードはあるんですか?

中沢 エピソードそのものにモデルはありません。ただ、舞台については、小雪たちが住んでいる街は岩手県一関市を下敷きにしています。

 でも、実は地方の都市はどこも同じ風景になりつつある状況があるんです。街の中心の商店街は寂れてきていて、郊外にはイオンさんのショッピングモールがあって、TSUTAYAさんがあって、ヤマダ電機さんがあって……という具合ですね。だから、特に地方にお住まいの方は、「これはうちの町のことじゃないか」と思う人も多いと思います。

―― モデルがない状況で、どのようにして本書を組み立てていったのですか?

中沢 実は、O2O自体が新しい考え方ということがあって、まだデータや事例がそこまで蓄積されてはいません。ただ、ローソンさんですとか、成功している例もあるので、そういった事例を参考にしながら『将来的にはこういったプロモーション展開をすれば成功するだろう』というところを書いていきました。新しいマーケティング理論は実際にどう生かせるのか、読者の皆さんがイメージできるように書きましたね。

―― また、本書には中沢さんご自身が小雪の元上司、そして独立後のアドバイザーとして登場されます。なぜ、ご自身を登場させたのですか?

中沢 これは主人公の小雪が一人で勝手にマーケティングを勉強して身につけていくよりも、指南役がいて、読者も小雪と一緒に学べるという風にした方が分かりやすいだろうと思ったからです。また、わたし自身が登場したのは、わたしが社長をしているパルディアが店頭プロモーションやO2Oを専門に行っている会社だということもあるので、それならば……という理由なんです(笑)

―― 確かにこの本の場合は、全部がフィクションであるよりも、ご本人が登場された方が説得力は増すと思いました。また、さまざまなマーケティング手法や考え方をどう使えばいいのか、というところが学べるので分かりやすかったです。

中沢 そうですね。知識よりも、実際に使ったイメージを大切にして書きましたから(笑)

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