次に、「読みたい本を簡単に探せるか?」をチェックします。楽天koboイーブックストアで本を探す方法には、PC向けWebサイト、PCへインストールする「Kobo Desktop」アプリケーション、kobo Touchなどの専用端末内ストア、Androidアプリ内ストアがあります。前回の調査時点と大きく異なるのは、楽天ブックス経由で購入できるようになったことと、Androidアプリ内ストアができたことです。
楽天ブックス(http://books.rakuten.co.jp/)は、本・DVD・ブルーレイ・CD・ゲームなどを扱うオンラインショップです。4月3日に、楽天koboイーブックストアの電子書籍がラインアップに加わりました。つまり、楽天ブックスで本を検索をすると、同じ本の紙版と電子版を同時に比較でき、どちらも購入できる(☆+0.5)ようになったのです。紙と電子のどちらでもいいという場合は、楽天ブックスから利用する方が便利でしょう。
なお、楽天ブックスと同じように紙と電子を同時に比較できるオンライン書店は、Amazon(Kindleストア)、紀伊國屋書店ウェブストア、honto(旧ビーケーワン)などがあります。
電子版だけを探したい場合は、これまで通り「楽天koboイーブックストア(http://rakuten.kobobooks.com/)」を利用しましょう。キーワード検索は、Googleでおなじみのサジェスト機能に対応しており、一部を入力した段階で検索候補一覧が表示されます。
ログイン済みの場合、トップページには「おすすめ」が表示されます。これは、購入履歴やプレビューをダウンロードした履歴から、関連する書籍を表示するリコメンド機能です。「おすすめ」の書影にマウスカーソルを重ねると、内容紹介と購入ボタン以外に、[興味なし]・[既読]・[プレビューを取得]が選択できます。[興味なし]をクリックすると、「おすすめ」のリストから消えます。
読みたい作品が決まっておらず、「何か面白い本はないかな?」と探す場合は、左カラムのジャンル一覧から絞り込んでいくか、トップページの特集・ランキングなどのピックアップから調べていく形になります。ジャンルにはトップページがそれぞれ用意されており、以前より「見せ方」が工夫されています。
ジャンル一覧から絞り込むと、全言語のラインアップが検索対象になってしまい、その状態から日本語書籍だけを絞り込むことができません。ただ、絞り込み後の初期表示は[人気順]でソートされており、ほとんどの場合は日本語書籍が上位に表示されます。
残念なことに、例えば作家・出版社・レーベル別などのインデックスがなくキーワード検索をするしかなかったり、複数の条件から検索結果を絞り込んでいく探し方ができない(☆-0.5)というのが前回の調査時点と変わっていません。画面上部に[無料で読める本]というリンクはありますが、「無料のコミック」や「無料の小説」といった絞り込み方ができないのです。キーワード検索の場合には[フィルター]から[無料作品のみ表示]で絞り込むことができますが、それ以外の探し方をする場合には若干不便な部分です。
検索結果一覧から作品をクリックすると、詳細画面が表示されます。詳細画面には、書影・書名・著者名・出版社・登録ジャンル・価格・購入ボタン・対応端末などの書誌情報が表示されています。[購入する]ボタンの下に[プレビューを取得]と表示されている書籍は、ライブラリに登録し専用端末やアプリのビューワから試し読みができます。
ただ、このプレビューに対応していない本が多い点が気になります。確認した範囲では、出版社やレーベルごとに対応/未対応が分かれている、[漫画(コミック)]で対応しているものは見つけられませんでした。書籍は「中身を確認してから買いたい」というニーズが高い商品(JEPAセミナーリポート:検証、電子書籍をめぐる「10の神話」でも説明のあった、いわゆる”経験財”)なので、興味を持った本がプレビューに対応していなと購入意欲を削がれてしまう可能性があるように思います。
また、AndroidアプリとiOSアプリからは評価点だけでなく、レビューを書き込むこともできますが、Webストアや専用端末ストアにはレビューが反映されず、評価点しか表示されません。FacebookやPinterestへコメントを付けて投稿することはできますが、どちらのSNSもレビュー投稿一覧だけの検索という機能がないため、ほかの人の意見を見た上で購入するかどうかを判断するのが困難です。プレビュー非対応書籍が多い点と合わせ、減点(☆-0.5)とさせて頂きます。
詳細画面下部には[関連する本]という形でリコメンドが表示されますが、例えば漫画などで続刊がある場合でも他の書籍が優先的に表示されることもあります。シリーズ一覧表示に非対応だったり、まとめ買いに非対応なのも改善を期待したい部分です。
楽天koboアプリは、GooglePlayから無料でダウンロードできます。アプリを開くと、[最近手に取った本]というライブラリ(本棚)のメニューと、[おすすめ][新作][友達が読んでいる本]といったストアのメニューが表示されます。[友達が読んでいる本]は、Facebookを連携すると[友だち]が購入した本の情報が分かるというものです。
左上のプルダウンメニューから[ストア]を開くと、アプリ内ストアへ移動します。基本レイアウトでは書影と価格だけが表示され、書影をタップすると詳細画面が開きます。Androidアプリはレビューも見られますし、プレビューに対応していればその場でダウンロードして読むこともできるので、他のデバイスに比べると利便性が高いです。
「Kobo Desktop」アプリや「kobo touch」などの専用端末内ストアは、前回の調査時点から大きく変わっていませんのでここでは割愛しますが、1点だけ[気になる本]という機能に触れておきます。この機能は、ストアを見ていて気になった本を、いますぐ購入ではなく、キープリストへ入れておくというものですが、Webやモバイルアプリからでは利用できないため、うまく活用するのが難しい状態になっています。要するに、この機能はマルチデバイス対応していないのです。
例えば、iOSアプリ(iTunes App Storeから無料でダウンロードできます)には、ストア機能がありません。これは他の多くの電子書店と同様に、AppleIDによるアプリ内決済には30%の手数料がかかってしまうのと、アプリ内決済では「Price Tier」単位でしか価格が設定できないなどの制限を回避するためだと思われます。それなのに、アプリ内で書籍の内容紹介を開くと、購入できない[関連する本]が表示されてしまう少し残念な仕様になっています。もし、[関連する本]を[気になる本]として登録して、Webからそのキープリストを確認&購入ができるなら、もっと便利に利用できるはずです。
また、モバイル向けWebサイトが用意されていない(☆-0.5)のも辛い点です。もしiPhoneしか持っていないとすると、小さい画面でPC向けWebサイトを見る形になります。楽天ブックスにはモバイル向けWebサイトが用意されていますが、楽天ブックスから商品詳細ページを開くと、PC向けページヘ遷移してしまいます。今後の改善が待たれる部分です。
このほか、TwitterやFacebookでは、公式アカウントがかなり積極的に情報発信を行なっています。新着情報やセール情報、特集のお知らせなどが随時配信されているので、フォローしておくと情報を見逃さずに済むかもしれません。
評点:☆2.0
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